7月31日に行われた東京都知事選挙は小池百合子候補が圧勝。東京都で初の女性知事の誕生となりました。
参議院選挙がかき消されるほどの注目を集めた都知事選。今後も、都議会自民党との対立など、メディアで取り上げられる機会が多いことでしょう。
そこで、今後も注目される都知事選挙について、「今さら聞けない」と題し、簡単にまとめてみました。
有力候補とされたのは、増田寛也候補(推薦=自民党・公明党・日本のこころを大切にする党)、鳥越俊太郎(推薦=民進党・共産党・社民党、生活の党と山本太郎となかまたち)候補ら。
投票率は59.73%。前回2014年2月の都知事選の投票率は46.14%と比べ、10%以上も投票率が上がっています。参院選直後の選挙で「選挙疲れ」から投票率は低下すると思われていただけに、都民の関心が高かったことが分かります。
今回の都知事選は、政治とカネの問題をめぐる舛添要一・前都知事の辞職を受けて、イレギュラーな時期の選挙となりました。
8月4日からリオデジャネイロ・オリンピックが開幕。2020年の東京オリンピック開催を控え、開会式への新都知事が出席するなら投票日のリミットは7月31日。しかも7月10日の投開票で参院選が行われており、選挙の日程は非常にタイトでした。
これまでの都知事選挙は、出馬表明を遅らせた「後出しジャンケン」が有利とされましたが、小池候補は早々に出馬表明。メディアの注目を集め主導権を握りました。
増田候補の出馬表明は参院選挙から一夜明けた11日。自民党・公明党という大きな組織をバックに戦うのであれば、小池氏に先を越されていても、参院選に一区切りがついてからではないと出馬を表明できなかったのでしょうか。
参院選では野党4党の共闘が注目を集めましたが、この枠組みが足かせとなったか、民進党は統一候補者選びで迷走しました。俳優の石田純一氏のアピールもありましたが、出馬の準備を進めていた宇都宮健児氏が鳥越氏に譲る形で候補者になったのは7月12日。選挙ポスターも告示日に刷り上がるという綱渡りの選挙戦突入でした。
事前運動の期間がほとんどなく、一斉に選挙戦へ突入という短期決戦となった今回の知事選で、小池候補はSNSをフル活用。演説会場に緑色のアイテムを持参してもらう戦術も効果的でした。
また、得体のしれない巨大権力に単身で立ち向かうヒロインのイメージを確立し、マスコミの活用も巧みでした。選挙中の小池候補に対する石原慎太郎・元都知事、石原伸晃・経済再生担当大臣(自民党都連会長)の過激な発言はかえって小池候補を利する結果となりました。
増田候補は自民党と公明党の組織力を生かした戦術で小池候補を追撃。しかしながら、元岩手県知事や元総務大臣という肩書をもってしても小池候補には知名度でかなわず、街頭演説会では応援の弁士さえ候補者名を間違える始末。安倍晋三総理の応援演説もなく、最後には「党本部に見捨てられた感」すら漂いました。
報道各社の出口調査では自民党支持層の取り込みすら小池候補の約半数に対し、約4割と及ばず、苦杯をなめました。
鳥越候補は準備不足を露呈。街頭演説会の回数は小池、増田陣営よりはるかに少なく、76歳の高齢と健康不安は払しょくできませんでした。政策についても当初は都知事選とは思えない反原発、憲法、安全保障についてコメントするなど、選挙戦の序盤から「鳥越さんで大丈夫か?」感を増幅させてしまいました。
さらに過去の女性問題を報じた週刊誌報道が追い打ちをかけることとなり完全に失速。出口調査によれば無党派層の半数は小池候補に投票。鳥越候補への投票は約2割と、最終的に得票数で小池候補にダブルスコアをつけられる結果となりました。
得票数の4番目にはジャーナリストの上杉隆候補、5番目は「在日特権を許さない市民の会」(在特会)前会長の桜井誠と、ある程度の知名度のある候補者が得票を得ました。
政見放送で物議をかもす候補者達は都知事選挙の名物でもありますが、組織力が乏しさなどから当選が難しいとされ、報道機関から相手にされなかった“泡沫候補”も、今回の都知事選では短い時間とはいえニュース番組が取り上げるなど、光が当たってきたことは時代の変化を感じさせます。
都議会は定数が127人。会派の議席数は、自民党60人、公明党23人、民進党系18人、共産党17人などとなっています。東京都に限らず、自治体の運営には首長と議会との間合いが重要になります。
「ブラックボックス」と表現した都政の透明化、オリンピック経費の検証等、虎の尾を踏みまくった小池知事が有権者と交わした約束を果たすため、自民党・公明党との関係をどう修復していくのでしょうか。
圧倒的に都民の信任を得た新知事が都議会とどう折り合いをつけるのか。来年夏には都議会議員選挙が行われます。都議会議員には人気の高い新知事と対立することで選挙民から反発を受けたくないという心理が働くかもしれません。
一方、大きく報道されていませんが、カイロ留学時代の私生活や政治資金の問題等があれこれ詮索されることにもなるでしょう。本当の厳しい戦いはこれから続きそうです。
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