連日メディアを騒がせていた東京都知事選もついに開票を迎えました。
都民にとって2016年は「選挙の夏」だったと言えるかもしれません。
ここで思い出しておきたいのが、7月10日の参院選から本格的に始まった18歳選挙権です。参院選では各党が投票率向上のため若者向けのPRをいくつか行っていましたが、都知事選の各候補者はどうだったのでしょうか。
候補者のサイトを参照して、候補者の18歳選挙権への意識を振り返ってみました。
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まずは主要三候補から見てみましょう。
フォントや写真の使い方がおしゃれな印象のサイトを開設しているのは小池百合子氏。

主要な政策の中で若者向けに打たれているのはやはり教育分野です。「小池百合子が目指す『日本』」と銘打たれて7つの政治的方針を公開していますが、4番目に教育改革が挙げられています。その内容は「文化や伝統を重んじた教育制度・教育行政への転換」「学制改革などの教育改革」「風格のある文化国家の建設」「英語などの外国語教育を徹底」の4点で、奨学金の話題は含まれていませんでした。
広報としては、主な利用SNSはfacebook・Twitter・YouTube・ニコニコ動画で、公式サイトに最新の内容がリンクされているfacebookが中心メディアと思われます。
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同じく自民党の増田寛也氏の公式サイトは非常にわかりやすいTHE・政治家のサイトといった雰囲気です。

「増田ひろや3つの実現」と銘打った基本方針を見ていくと、「子育て・介護福祉」「防災強化」「東京五輪の成功」が示されています。
広報で面白いのが、主な利用SNSが「LINE」「YouTube」「Twitter」、そして「Instagram」である点です。現在世界的なSNSトレンドはTwitterから写真投稿を中心とするInstagramに移行したと言われており、若者の大部分が利用するLINEも開設している所を見ると、SNS利用だけで言えば増田氏が意外と(失礼)一番若々しいと言えるかもしれません。しかしInstagramフォロワーはわずか194人、投稿へのいいねは20〜30件前後と、大学生と大して変わらなさそうな運営状況でした。また、増田氏のTwitterのフォロワーは6,625人と、21万人のフォロワーがいる小池氏にはかなり引き離されてしまっている様子。

野党が推す鳥越俊太郎氏は、Twitterとfacebookの二つを稼働させているほか、動画ギャラリーというページに広報のYouTube動画を貼っています。Twitterのフォロワーは15万人強で、主に演説の様子を掲載しているのは小池氏と同様です。
準備不足が指摘されていた政策面は、政治とカネ問題の改善、五輪の成功、介護福祉やがん検診率向上などの健康問題、建物の耐震化・再生可能エネルギーの利用、正社員の増加など雇用問題、多様性の重視という6つの軸が提示されていました。また、給付型奨学金の設立は政策として明確に掲げています。
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ハッシュタグとは、TwitterやInstagramで使われる、投稿につけるタグのことです。ハッシュタグ単体で特定の内容の投稿を検索するために利用されるほか、Instagramでは「#選挙行ってきた #暑いもう夏本番 #投票所は公民館 #次も投票するぞ」などのように、投稿に対するコメントを文章まですべてハッシュタグ化してしまうことも。
「#こんなところにゆうじろう」というハッシュタグを使って広報をしていたのが谷山雄二朗氏。原宿二丁目の精肉店で声をかけると選挙ポスターをもらうことができ、それを好きなところに貼って写真を撮った上でSNSにアップしよう、というキャンペーンのようです。公式サイトには「『え?こんな所に?』という場所も大歓迎」「ゲーム感覚のイヴェント」とあるのでTwitterで検索してみると、普通に各地の選挙告知用掲示板の写メが出てきました。うーむ。
逆に、選挙スケジュールが急だったせいかポスター貼りが間に合っていなかったことを逆手に取ったのが上杉隆氏のハッシュタグ「#上杉ポスター貼られてないよ」。このハッシュタグによってポスター貼りが行われていない場所をあぶり出している模様です。上杉氏はほかにもアプリ「ポケモンGO」のパロディハッシュタグ「#ウエモンGO」も利用しているようです。若干センスがサムい……。 ちなみに、ポケモンGOのパロディーは増田ひろや氏も行なっており「#ポケモンGOで選挙にGO!」を広めていました。
実際に若者が政治系のハッシュタグを使っているかは分かりませんが、少なくとも私が大学の友人をフォローしているアカウントではそういった内容は見たことがありません。
一応公式サイトが存在する候補者はすべて見て回りましたが、漫画やゆるキャラや説明をさらに噛み砕いた説明など、明確に若者に向けたPRを行っている所は見られませんでした。参院選で自民党が18歳選挙権PRの漫画で炎上した事案は記憶に新しいかと思いますが、私自身は「若者を舐めた」やり方を選ぶのは好ましくないと思っているので、そのようなやり方をしている候補がいなかった点は良かったのではないかと思います。スケジュール上、今回はできなかった……というだけかもしれませんが。
ただ、話題としてはオリンピックや政治とカネの問題ばかりが取りざたされ、教育や雇用など若者の不安要素については議論や言及が少なかったのではないでしょうか。自分たちに向けた政策がなければ、投票する気が出なくなるのは必然でしょう。
原田曜平さんのインタビューでもあった通り、選挙広報においてターゲットを絞ることは大変難しい問題です。時間が限られている中で、すべての有権者をライフスタイルや嗜好で分けて選挙広報をそれぞれに打つ、というようなことにはならないでしょう。それは前提としても、若者を馬鹿にはせず、それでいて若者から目をそらさないでいてほしいと思います。確かに18歳19歳の有権者は大変わずかですが、これから若い世代に段階的にでも政治に振り向いてもらうために、政治の方から若者のことを見つめてほしいのです。
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都知事選を振り返っても、18歳選挙権は話題になったとは言いがたいと思います。何度も言いますが、政治分野から若い世代への働きかけは絶対にやめるべきではありません。せっかくの18歳選挙権なのですから、早いうちから政治に対して自覚と責任を持てる体制ができれば、それに越したことはないはずです!
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