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「ぶっちゃけ、選挙資金どうしてるんですか?」無所属・横粂勝仁候補|最年少区議の選挙現場レポート

2016/7/3

伊藤 陽平

伊藤 陽平

今回は、人気バラエティ番組あいのりの「総理」としても有名な横粂(よこくめ)勝仁候補に取材をさせていただきました。ポスターに書かれている「議員報酬ゼロで働きます」という強烈なメッセージが印象的な、現在34歳の若い候補者です。ちょうど選挙期間中に息子さんが2歳になるなど、まさに子育て真っ只中でもあります。

横粂候補は、どこの政党にも所属しておらず、無所属の候補者です。日本では、無所属から国会議員になることは非常に難しく、前例も多くありません。
今回、どのような想いで立候補され、なぜ無所属なのか、ご本人にお伺いしました。
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当選が厳しいと言われる「無所属」での挑戦

1_small—(伊藤陽平新宿区議)選挙戦が始まってから、感触はどうでしょうか。
横粂勝仁候補:もちろん朝の時間帯はみなさんお忙しいのでそんなに反応があるわけではありませんが、日中は徐々に徐々に、ご反応をいただいてますね。

—(伊藤)率直に勝機はどのくらいあると思われていますか。
横粂勝仁候補:私の中では、皆さんの声が高まれば6人目までに入れるという思いでやってますね。

—(伊藤)なかなか無所属で東京選挙区だと議席を取るのは相当厳しいとは思いますが、そこを持ってもいけるとお考えでしょうか。
横粂勝仁候補:そうですね。無所属、無報酬というのは未だかつて存在したことがないので、それに対するご支援の輪は徐々に広がっていて。もちろん、「おかしい、やりすぎ、パフォーマンスだ」というマイナス意見もありますが、プラスの意見としては、「それだけ今の政治がおかしいんだ」というご意見はありますね。
立候補した人数も日本一。東京選挙区の候補者一覧・争点などはこちら >>

 

無所属の過酷な選挙活動

2_small—(伊藤)選挙のボランティアの方はいつもどのくらい来ていらっしゃるんですか。
横粂勝仁候補:本当に「その日だけ」で来ていただける方に助けていただいている、というかたちなので、基本は一人でやってます。大変ではありますが、ただやはり、一人で選挙を勝ち抜く苦労というのも経験になります。

—(伊藤)出馬するにあたり、ご家族の反対はありましたか。
横粂勝仁候補:最初は(家族は)二重の意味で反対していて、まずは政治の世界に出ること。ようやくプライベートな部分ができて、結婚もして、子どももできて、という状況なので、やっぱり政治の世界ではプライベートがなくなるということで、普通の人は反対しますよね。さらにそこに加えて、無報酬っていうと、家族は一番心配するので、当初は反対していました。
ただ、それ相応の覚悟を持って準備をしてきたことはわかっているので、「6年間ひもじくなってもいいからやってみたら?」ということになりました。
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ぶっちゃけ、選挙資金はどうしてるんですか?

—(伊藤)選挙資金はどうされていますか。
横粂勝仁候補:まず、お金をかけないってことですね。でも最低限お金がいる部分に関しては、3年半の浪人期間に弁護士として構築したお金があります。無所属、無報酬で戦い抜くための準備をしてきました。
ただ、6年分の貯蓄ができてるわけではないです。そのあとはひもじくも生きるということと、政治家の理想としては、田中角栄さんの「日本列島改造論」のように、何か自分の政策、自分の想いを本にして出すことで、その印税をいただくということを考えています。政治家と何か違う職業で儲けるのではなく、政治家の心情を訴えた本を出してやっていきたいですね。

(伊藤)無所属では、党にいるよりも当選確率は低いのではないでしょうか。それでも党を出たということに関して、どうお考えですか。
横粂勝仁候補:まず、一番の違いは党からのお金があるかないかです。普通の時でも、党からは活動費が出ていましたし、ただの候補者の時から月50万出ていましたし、公認料でももらえる、派閥とかグループに入っているとさらにもらえる。数百万、数千万の資金があるかないかは全然違います。
当選確率も、何党というだけで何万、何十万って票があって、私はそれがない状態で、完全に「横粂」って存在だけで50万、60万取らないといけないので、それも大きな差です。
無所属でやることのメリットというのは、大きなしがらみに関係なく、自分なりの行動ができることで、それは選挙で自分なりのこだわりをやれるのも特徴です。党でやると党の面子があるとか、そういったことで好きな選挙戦もできない。さらに当選後は政党のイエスマンとして、何党は賛成だから賛成、反対だから反対、となり、もう考えない政治家になってしまうんで。

 

民主党所属の衆議院議員を辞め、それでも無所属を選ぶ理由

—(伊藤)当時(国会議員をされていた時)にも、そう感じられたんですか。
横粂勝仁候補:これは自己反省も含めてなんですよ。自分が信念を持っていて、全部法案がわかっていて、「賛成なのに反対にさせられた」「反対なのに賛成にさせられた」という経験がそこまであるわけではないですが、自己反省としては、ぬるま湯に浸かっているとそこに違和感を感じられなくなっちゃうんです。別に党のせいでそうなっていると思ってる人はほとんどいなくて、それが当たり前になっちゃう。
途中から、「何も考えず賛成してるって恐ろしいことだな」って感じ始めました。賛成と反対が書かれた法案の一覧が配られるので、その通りやるだけです。

—(伊藤)こうした状況では、政治と金の問題も解決しないのでしょうか。
横粂勝仁候補:結局ぬるま湯につかると、あとは党の意向に従ってれば議員になり続けられる。6年間だと1億3200万円も報酬があるんですよ。宝くじに当たるくらいのこの金額が、大人しくしてればまた入ってくる。冒険する必要がないっていうか、まさに意向のままに動けばいいって話になっちゃいますね。それを私はやりたくないですね。

 

1,000万円の借金を背負ってまで活動を続ける

—(伊藤)(前都知事の一連の報道に関して)多くの都民の方はお金の問題で怒っていらっしゃいました。「議員報酬ゼロ」については、どのように評価されると考えていらっしゃいますか。
横粂勝仁候補:やっぱりまず言われるのは「生活どうするの」っていうことと、「無報酬だと責任が伴わないんじゃないか」と。
生活費に関しては先ほど説明しました。責任がなくなるというのはとんでもない話で、無所属無報酬という立場で見たら、逆に厳しい目で見られるわけで、「無報酬だから遊びます」ということになれば大バッシングになるわけで、そんなことはできません。お金に関して言えば、弁護士をやっている方が所得は良かったですし、政治家の時はマイナス1000万で借金を背負ってしまいました。お金が欲しかったら弁護士をやればいいっていう話になるし、そうじゃないやりがいでやってるので、無責任になるという心配はいらないと思います。

定数の6名が、主要政党で全て埋まってしまうことになれば、何も政治は変わらない。同じことの繰り返し。政治と金の問題なんて、もう何十年も同じことが言われていて、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」で、舛添さんの話が終わったら、はい終わり、となる。「自分たちも追求されない。」「自分たちでルールは変えない。」と。
あと、議員報酬のことも、私は別に全員ゼロにするということは言ってなくて、減らすということで、東日本大震災という大きなことがあったのに、みんなが切り詰めているのに、政治家は2割だけ削減、それを1年間で戻してしまった。みーんな知らんぷり。
あれだけのことが起きても1円も変わらない報酬を、横粂みたいにまさに吹っ切れたというか、アホだと思われるかもしれないけど、無報酬くらいやらないと1ミリも変えられないからやってるんだという想いを、ご理解いただきたいと思います。

—(伊藤)18歳選挙権が話題になっていますが、最後に若い候補者として、若者へのメッセージをお願いします。
横粂勝仁候補:若者(の有権者)は数も少なく、「大した数じゃないだろう」となめられてしまっていることに対して、「今後日本を50年、60年生きるのは俺たちなんだ」という気概を示していただきたい。
他の諸先輩方だけに日本を決められてしまうのは自分たちにとって損だし、選挙は自分たちの力を示せる時なので、「投票に行く」という選択をしていただきたいですね。

3_small

横粂候補は、自身がチラシの入ったスーツケースとスピーカーを担ぎ、一人でひたすら声をあげながら街を歩き続ける、という過酷な選挙活動を行っていらっしゃいました。その姿からは、横粂候補なりの覚悟が感じられました。
他の陣営とは異なり、まったく組織のない選挙は本当に厳しいもので、基本的には全て自分でやらなければいけません。
トンデモ議員を選ばないために有権者がすべき3つのこと >>

政治家を志した原点は、お父さまが亡くなられたということとインタビューでおっしゃっていました。こちらのページにもその想いが掲載されていますので、ぜひご一読ください。
>>  よこくめ勝仁の想い(政策)

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伊藤 陽平

伊藤 陽平

28歳、現職最年少の新宿区議会議員。元学生起業家。当選前から、インターネットでの選挙啓発として、衆議院議員選挙(東京一区)の全候補者へインタビューを実施し、話題となる。その後、統一地方選に立候補し、ネット選挙活動を展開し当選。議会質問のオンライン公募などインターネットを活用した政治活動を展開する。現在は現職議員として、政策立案に人工知能を活用することにも挑戦。365日ブログを更新するブロガー議員。

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