半袖が心地よくなりはじめた5月初旬、代々木公園とその周辺で「東京レインボープライド2016」が開催されました。LGBTと呼ばれるセクシャルマイノリティへの理解を深めることを目的としたイベントです。2013年から開催され、年々参加者を増やしているこのイベント。今年の参加者は75,000人を超え、アメリカ大使のキャロライン・ケネディ氏など、各界の著名人が参加しました。その中でも特に話題になったのは、自民党政調会長である稲田朋美衆議院議員(福井1区、当選4回、早大卒)が参加したことです。なぜ、自民党役員が参加することが話題になったのでしょうか。
自民党は、「保守政党」といって日本の伝統など“昔ながらの価値観”を重視しています。それ故、家族形態としては男女の夫婦によるもの以外には基本的に否定的な立場をとっています。一方でLGBTの人々は同性とパートナーシップを結び、家族関係を築きます。
これまで、LGBTの権利を主張するのはリベラルな社民党を中心とした少数政党ばかりが目立っていました。2011年に、日本で初めてゲイをカミングアウトして出馬した石川大我豊島区議も社民党に所属しています。
両性による家族形態を重んじる自民党は、2015年に成立した渋谷のパートナーシップ条例にも反対を示していました。当条例の制定においては、メディアも大きく取り上げ、賛否はあるものの概して社会の変化を歓迎するムードがありました。しかし、谷垣幹事長は「自分は、伝統的な価値観の中で育っており、自分の価値観に従って述べてよいかどうか、非常に迷うところだ」と断わりつつ、「家族関係がどうあるかというのは、社会の制度や秩序の根幹に触れてくるものだ」とコメント(2015年3月10日NHKニュース)。また、同条例制定の際、自民党会派の渋谷区議も条例に反対していました。
そのような動きがあった型こそ、そんな自民党がLGBTへの理解を深めようという動きを見せること自体が、この問題にとっては大きな前進としてとらえられ、話題になりました。加えて、「政調会長」という政策を取りまとめる重役が出席していることから、自民党の政策やマイノリティへの施策の変化が見て取れるかもしれません。
そんなレインボープライドに参加したのは自民党だけではありません、民進党や公明党、共産党や社民党に至る多くの政党が参加しました。また、5月27日には民進党・共産党・社民党・生活の党の4党がLGBT権利保護に関する法案を共同提出しています。リベラルなマイノリティの活動から始まったLGBTへの理解や権利保護は、多くの人を巻き込んだ「パレード」として歩き出しています。
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