
さて、学習指導要領については、現在、改訂に向けた取り組みが進められ、主権者教育についても検討されています。図表4に示すように、学習指導要領改訂の視点の1つである「何を学ぶか」における具体的な取り組みの1つとして、公民科における「公共(仮称)」の設置が示されています。

図表5には、「公共(仮称)」の科目イメージを示しています。「公共(仮称)」は公民科における必履修科目に位置付けられ、他教科とも連携しながら、主体的な社会参画に必要な力を、実践的に育む科目として設置されることが求められています。図表5にもあるように、政治分野にとどまらずに法律や経済活動への研究がなされていることや、多様な学び方、多様なアクターとの連携の必要性が指摘されていることは、シティズンシップ教育とのかかわりからも望ましいことと言えそうです。
なお、次期学習指導要領は、平成28年度中に中央教育審議会における答申の取りまとめに向けた検討が行われています。仮に、予定通り取りまとめが行われた場合、前回改定時のスケジュールを参考にすると、高等学校において改定後の学習指導要領が反映されるのは平成34年度となることが見込まれます。

さて、18歳選挙権に向けては、各政党とも様々な取り組みを行っていますが、学校教育の分野ではどのようなスタンスとなっているでしょうか。
新科目公共については、自民党の提言に沿う形で具体化が図られているのではないかといった報道(注3)がありますが、直近の公約集や提言でも図表6に示すように新科目「公共」の必要性が主張されていることが確認できます。
一方、民進党はどうでしょうか。旧民主党時代の活動となりますが、党内の主権者教育の検討部門がまとめた提言書からの抜粋を図表6に示しています。同提言書は政府への申し入れも行われています。(注4)
このように、政治の世界においても若者の政治参加に向けた教育や学習指導要領を軽呈することの必要性が認識されていることが分かります。

さて、ここまで、現在の主権者教育を取り巻く状況や今後の見込みを概観してきましたが、1つの疑問が浮かびあがってきます。それは、主権者教育に関するルールの中では、政治的中立性の確保のように取り扱い方法への配慮・制限はあるものの、現実の政治的なテーマを扱うこと自体を禁止するような規定はないということです。それにもかかわらず、メディアの報道や政治の世界の主張・提言などでは、学校で政治的なテーマを扱うことは避けるような風潮があると認識されている。このギャップはどこからきているのでしょうか。
その原因を探る手掛かりとして、次回は最近の「模擬選挙」の事例を題材に、主権者教育の実際の様子を見てみたいと思います。
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<参考>
(注3)自民党の機関誌の案内(機関紙「自由民主」 『「首都決戦」必勝へ 東京都議選告示』 2561号(平成25年6月25日号)発行のおしらせ)によれば『自立して生きる若者を』として高校新科目―公共―プロジェクトチームの提言があったことが報じられていますが、現在、web上では公開されていないため、新聞記事による引用を行っています。
NHK「新科目「公共」で進むか「主権者教育」」
http://www.nhk.or.jp/school-blog/500/223090.html
朝日新聞「高校に新科目案「公共」「歴史総合」 18歳選挙権受け」
http://www.asahi.com/articles/ASH835VJBH83UTIL03M.html
産経新聞「高校に新科目「公共」、秋にも中教審諮問へ」
http://www.sankei.com/life/news/140722/lif1407220001-n1.html
(注4)民主党「18歳選挙権・主権者教育の推進を政府に申し入れ」
https://www.dpj.or.jp/article/107393
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