週刊朝日の本年1月29日号掲載の「国会で「トリプルゼロ」“サボリ”衆参議員65人」が話題となっています。この記事は、NPO法人「万年野党」の協力で、衆参全議員の国会(2014年12月~15年9月)での質問回数、議員立法の発議数、質問主意書の提出件数を調査したものです。
この調査で3項目とも「ゼロ」という「トリプルゼロ議員」が65人もいることを報じました。この65人の議員は国会で何をしていたのでしょうか。また、なぜゼロが並んだのでしょうか。ちなみに「万年野党」というNPO(特定非営利活動法人)は、本来はマスコミや野党が果たすべき「政府の監視」が十分に果たされていないとの認識から、その機能を補完するために活動しています。特定の主義主張を持つ政党や政治団体ではありません。
質問回数などの数字は客観的でわかりやすいですが、数字だけで多岐にわたる国会や政党での活動を評価できるでしょうか。
特に予算案や内閣提出法案では与党が野党に審議をお願いするという意識があります。週刊朝日の記事にもあるように、早く成立させるために与党議員の質問の機会は少なく、質問時間も短く設定されます。貴重な質問を若手議員に経験を積ませるために譲ることは人材育成の意味からも、ある程度は必要なのではないでしょうか。
また、あまり知られていませんが与党議員には委員会での定足数(委員数の過半数)を埋める役割があります。委員会で与党席に空席が目立てば、野党側の理事は委員長に「定足数に達していないのでは」と委員数を数えるように催促し、過半数が席にいなければ審議が止まることもあります。
与野党を問わず、中堅からベテランクラスの議員は国会審議の運営や、他党との調整、政党内の活動などで役職を得て忙しくなります。委員会での質問の機会はますます減ります。また、性格的に国会での質問よりも裏方を好む議員もいることでしょう。議員立法は発議者として名前が載っていても、実務にどれくらい携わったかは未知数ですし、与党議員は議員立法を発議したり質問主意書を提出したりすることは非常に少ないです。
「国会議員は各々の役割が少しずつ違うと思います。野党の若手議員が“トリプルゼロ”だとすれば問題ですが、与党の議員や、与野党のベテラン議員がトリプルゼロでも“サボり”と言えるのでしょうか。」(元国会職員)との見方もひとつの説得力を持つのではないでしょうか。
質問以外に野党議員がはたすべき役割は何があるのでしょうか。まだ政策として審議されていない社会問題などを調査し、その問題を提起し、解決に向けた道筋を探ることではないでしょうか。与野党関係ないかもしれませんが、特に野党は政治的に与党議員が取り上げにくい問題にアプローチできます。
また、一般市民や市民団体からの情報提供(いわゆる「タレコミ」)や要望もあります。貴重な情報をしっかり活用することが求められます。政権交代に向けての準備も必要です。政策面だけでなく、様々な方面への人脈づくりも怠らないようにしてほしいものです。
国会議員が「何をやっているのかわからない」ことが問題です。以前は後援会の会員などに向けた「紙媒体」の活動報告の配布が主流でしたが、ホームページやブログ、SNSなど現在では当たり前の手段で情報発信をしっかりすることが求められます。
個々の議員のホームページはもちろん、国会(衆議院、参議院、国会図書館)のホームページでは各議員の国会での質問や質問主意書の内容を見ることができます。皆さんも気になる国会議員の活躍ぶりをご自身で調べてみてはいかがでしょうか。
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