今週に入り、安倍首相は臨時国会召集の見送りを明言しました。
これによって憲政史上初めて、通常国会のみで1年を終えることになります。
野党各党から「憲法違反だ」と批判が上がっているほか、自民党の野田聖子前総務会長も疑問の声をあげています。
閉会中審査には積極的に応じるそうですが、それはつまり「(たった2日の)閉会中審査は怖くない」ということでしょう。
実際、先週行われた閉会中審査には緊張感がありませんでした…。
新聞各紙も不満だったようで、閉会中審査について以下のような論調を展開しています。
新聞各紙の論調(11/11〜12日付)
・読売新聞:閣僚追及不発気味
・朝日新聞:逃げ切りは許されない(社説)/攻めきれぬ野党
・毎日新聞:野党、攻めきれず
・日経新聞:甘い野党の追及に安倍政権は慢心するな(社説)
・東京新聞:臨時国会を開いてこそ(社説)/安保法質疑ほとんどなし
・産経新聞:返り血怖い民主弱腰/民主、参院でも論戦不発
以上のように、「甘い」「攻めきれず」「不発」「弱腰」などの言葉で野党を批判しています。
新閣僚の「政治とカネ」疑惑、TPP大筋合意、一億総活躍、アベノミクス、普天間基地移設など、限られた時間の中でテーマを広げすぎたと指摘しています。
たしかに、あるテーマに少しだけ触れて「時間がないので次に…」という姿が見られました。同時に、新聞各紙の言葉の裏には「政府・与党はもっと追及されるべきだ」という共通認識があるのだと思います。
「(もっと追及されるべきなのに)野党は甘い」、「(もっと追及されるべきなのに)野党は攻めきれていない、不発だ」ということです。
それがどのテーマを指すのかは各紙で異なるかもしれませんが、高木復興相の「政治とカネ」疑惑に関しては各紙とも批判的な論調を展開しています。TPPや一億総活躍、アベノミクスなどについては、各紙で見解が分かれているようです。
秋の臨時国会は、安全保障関連法の「説明を重ねる場」(野田前総務会長)となるだけでなく、通常国会閉会後に進展のあった論点(TPP、新閣僚、一億総活躍など)を議論する場となるはずでした。
先日の閉会中審査では野党が批判されましたが、時間が足りなかったのも事実だと思います。こうした重要なテーマがたくさんあるからです。
そして周知の通り、憲法第53条に「いづれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」と規定されており、これに基づき、衆議院も参議院も4分の1以上の議員が要求書を提出していました。
それなのに、臨時国会を開かずに(中身のない)閉会中審査で済ませようとは、まさに「政治は数であり、数は力」(田中角栄元首相)ですね。その”数”を決める来夏の参院選に向けて、通常国会ではどのような議論がされるのでしょうか。
それにしても、1月4日召集なんて…。
この記事をシェアする
選挙ドットコムの最新記事をお届けします