選挙をもっと身近に感じるための選挙カルチャー入門。今回は良質なドキュメンタリーや、投票率向上への熱い思いが込められた選挙映画をご紹介します。
恥ずかしながら、僕はここ数年選挙に行っていません。誰にも投票していないし、誰かに投票しなければならぬという義務感を燃やしたこともない。でもそれは僕が自堕落だからでもない……はず。それに、政治に興味がないからではありません。ちょっと深い理由があるのですが、それはおいおい明らかにしていく予定。
とにかく少しずつ、選挙に行けるカラダになろうとリハビリをしていこうと心に決め、まずは「選挙」に興味がもてるように選挙カルチャーをいろいろと追い掛けていこうかなという次第なのです。
それで今回取り上げるのは「映画」。
はいそこ、「ありがちな企画ー」とか言わないの!
「世の中に映画の題材にならないネタはない」。そんな格言があるのかないのかも分かりませんが、世間には選挙を題材にした映画が存在するのです。海外では盛んに作られていますが、日本ではやや低調な印象。「大統領選」という国家元首を決めるような巨大な選挙がないためでしょうか。
しかし、勝ち目の薄い選挙であっても一生懸命に挑む政治家達をとらえた良質な作品が、邦画における選挙映画の特徴です。今回はそんな選挙映画(邦画編)をご紹介します。
「観察映画」という手法で日本ドキュメンタリー界に一席を投じた想田和弘監督による選挙映画シリーズ。「選挙映画」といったらこれは絶対にかかせません。その一作目である「選挙」は2005年に公開されました。
主人公は40歳で自民党公認候補として川崎市議会補欠選挙に出馬した山内和彦。知名度もなければ選挙についてはズブの素人でした。片っ端から声をかけてお辞儀をくりかえし、挙げ句の果てにはバス停の人にまで声をかけていきます。その甲斐あって見事当選。
ところが、それから六年後、福島の震災をきっかけに今度は完全無所属で出馬します。その様子をとらえた「選挙2」では、自らを支えてくれた自民党のサポーターたちに対する葛藤や、原発事故に対する山内さんの怒りが克明に描かれています。しかし、結果は落選。そののちも山内さんは他の選挙区に出馬しています。
これは2作品続けて見て欲しい映画です。裏の主役は奥様で、夫の「無茶」を必死に支える姿に胸を打たれます。
藤岡利充監督「立候補」(2013年)
2011年大阪府知事・市長選に立候補したマック赤坂、外山恒一、羽柴誠三秀吉らの活動を追ったドキュメンタリー。
当時は橋下府政の是非による「維新か反維新か」で盛り上がりましたが、その一方でなぜ彼らは300万円の供託金を払ってまで「負けにいくのか」。泡沫候補たちの悲しい決意がなんとも言えません。
34歳・ミュージシャン・三宅洋平。政治経験全くなし。地盤もカネもないたった一人のアーティストが2013年の参議院選挙で戦う姿を追ったドキュメンタリー「選挙フェス!」。緑の党では当選枠を得られず落選となりましたが、得票数は17万票を越えました。この様子に迫ったドキュメンタリーがこちら。街頭ライブを「選挙フェス!」と呼び、インターネットを通じて多くの若者たちの共感を得ていく姿が印象的です
実はこの作品はまだ見ていないのですが、ちょっと話題の自主制作映画「ニート選挙」。ニートから市議会議員に当選した鈴木公成さんの人生をドラマに仕立てた作品だそうです。30歳のニートが商店街活性化のためになぜか選挙に立候補するというコメディタッチの作品で、オール新潟ロケ! 新潟県民多数参加! 若者の選挙の啓蒙にうってつけ! とのことですが、まだ上映の機会が少ないようです。
上映してくれる映画館や教育期間を募集しているようですので、投票率向上のため上映してみたい自治体はコンタクトをとってみてはいかがでしょうか。
社会派エンタメで鳴らす一倉治雄監督作品。
吉田栄作が緒形拳の秘書になる硬派な政界映画です。内閣解散や政治闘争など、どすぐろい感じの映画ですが、後半の選挙シーン。当選枠をライバルの二人の議員が争うシーンはすごいこう、緊張します! 少々古い映画ですが、ああ、1990年代を懐かしみながら観てはいかがでしょうか。
といったところで今日はおしまい。次は洋画篇です。
<<選挙が苦手な人でもコメディからサスペンスまで必ず釘付けになる「選挙映画」【洋画編】
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