安全保障関連法案に反対する一連の抗議行動は、8月30日の国会議事堂周辺で最大の盛り上がりに達しました。Twitter上では午後4時30分に800ツイート/分を記録し、1日トータルで50万ツイートの反応が表れました。
また、この日の参加者数で主催者発表の「12万人」と警察発表の「3万人」との間に大きな差があり、ネット上では人数の割り出し方などを巡って参加人数論が起こるなど、違った盛り上がりも見せています。(8月31日産経「安保法案反対デモ、本当の参加者数を本社が試算」)
数の話では橋下徹大阪市長のこのツイートも話題となりました。
日本の有権者数は1億人。国会前のデモはそのうちの何パーセントなんだ?ほぼ数字にならないくらいだろう。こんな人数のデモで国家の意思が決定されるなら、サザンのコンサートで意思決定する方がよほど民主主義だ。
— 橋下徹 (@t_ishin) 2015, 8月 31
その一方で、「自民党総務会では1日、デモが話題に上り、丹羽雄哉元厚相が『これまでデモにあまり関心のなかった人まで参加し、声を上げていた』と発言し、より丁寧な説明の必要性を強調した。二階俊博総務会長によると、『国民の理解がまだ深まったとはいえない』『国民が安心できる答弁を政府に求めたい』といった意見も出たという。」(9月4日朝日)とも報道されており、デモの影響は決壊した鉄柵の奥にまで達したようです。
こうした様々な「反響」を呼び起こした今回のデモ。参加者の動機は様々ですが、その牽引役として注目を浴びているのは大学生が中心の団体SEALDsでしょう。31日にはその活動が「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日系)でも取り上げられ、放送前後から翌日にかけて「SEALDs」のワードツイートがピークに達しました。一躍デモ会のホープとなったSEALDsに反応する、政治家という大人たちの反応をまとめてみました。
デモの群衆の中には、以前から野党議員がマイクを持つ姿も見られましたが、30日のデモでは民主、共産、社民、生活の野党4党首が政権批判のスクラムをがっちり組んで共闘をアピールしました。 民主党は公式サイト上で、各議院がSEALDsを擁護しており、枝野幸男幹事長、細野豪志政策調査会長もデモ入りしています。
日本共産党の志位和夫委員長も「力を合わせよう!」とエールを送っています。
「SEALDs呼び掛け 全国60カ所でデモ」(東京新聞)! 素晴らしい! 北海道から沖縄まで若者の連帯の輪が広がった! 未来を守るため力を合わせよう! http://t.co/HXoj5i5NBK
— 志位和夫 (@shiikazuo) 2015, 8月 24
また、生活の党の小沢一郎代表はSEALDsについて「ようやくそういうグループが、多くの学生に語りかけて運動しているということは、大変良いことだと思っています。」(7月21日記者会見)と評価しており、社民党はオフィシャルツイッターで度々SEALDsをリツイートしています。
さて、SEALDsに好意的な声とは逆に、非常に厳しい批判も起こりました。有名なのは先日もお伝えしたスキャンダル報道がとまならない武藤貴也衆議院議員 のこのツイート。
SEALDsという学生集団が自由と民主主義のために行動すると言って、国会前でマイクを持ち演説をしてるが、彼ら彼女らの主張は「だって戦争に行きたくないじゃん」という自分中心、極端な利己的考えに基づく。利己的個人主義がここまで蔓延したのは戦後教育のせいだろうと思うが、非常に残念だ。 — 武藤貴也 (@takaya_mutou) 2015, 7月 30
その後、「金」と「色」のスキャンダル報道では「利己的」というキーワードが金色のブーメランフックとなって武藤氏を襲いました。
また、福岡県の小坪慎也行橋市議会議員が「#SEALDs の皆さんへ。就職できなくて #ふるえる」という記事をSNSで拡散させ、ブランド力のない大学でSEALDsに参加する学生は就職が不利になると主張しました。
#SEALDs の皆さんへ①就職できなくて #ふるえる https://t.co/SWdTk0ZSm9 ②③と続編をアップすることで、当時、私に向けれた意見(ほぼ罵倒)は、論拠を失ったと思うがどうなのだろう。 さらに④を公開予定。 pic.twitter.com/Ae8zkZpn9C — 小坪慎也 (@kotsubo48) 2015, 7月 29
以前からささやかれていたテーマに火と油をそそぎ、「学生への脅迫ではないか?」として大きな議論を巻き起こしました。
安保法案の審議が大詰めを迎える今月中旬まで全国各地でデモは続くと見られ、こうした賛否の声も一層高まっていくでしょう。以前もお伝えしましたが、デモと若者への政治家の声として、故・田中角栄氏の言葉を、今一度かみしめてみたいと思います。田中氏は60年安保闘争で学生運動を経験した早坂茂三氏を秘書に迎え入れました。こうした懐の深い議員が今どれだけいるのでしょうか?
田中角栄(第64・65代内閣総理大臣)
(自民党本部前でデモをする学生たちを見て)「日本の将来を背負う若者たちだ。経験が浅くて、視野はせまいが、真面目に祖国の先行きを考え、心配している。若者は、あれでいい。マージャンに耽り、女の尻を追い駆け回す連中よりも信頼できる。彼ら彼女たちは、間もなく社会に出て働き、結婚して所帯を持ち、人生がひと筋縄でいかないことを経験的に知れば、物事を判断する重心が低くなる。私は心配していない」(『オヤジの知恵』早坂茂三【著】 、集英社、2002.4.2)
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