みなさま、お盆休みはどうされていましたか? 幸本あかりです。
私は久しぶりに帰省して羽を伸ばしていたのですが、実家の本棚でこんな本を見つけて、国会前デモを巡るニュースを思い返していました。

『オヤジの知恵』早坂茂三【著】 、集英社、2002.4.2
タイトルの「オヤジ」とは、ずばり田中角栄氏のこと。文中でも「親方」「主人」など著者の早坂茂三氏(*)に親しみを込めて呼ばれています。その中から一つ「オヤジ」の言葉を紹介します。
第3賞 若者よ、頑固であれ
七〇年安保騒動のころである。全学連の学生たちが大デモを組織し、日米安保の自動延長反対、日米安保破棄のプラカードを手に手に持ち、シュプレヒコールを叫び、党本部前の街路を埋めて、ジグザグ行進を繰り拡げた。四階の幹事長室で窓際に立ち、このデモを凝視していた紅毛碧眼の大ジャーナリストが、佐藤栄作内閣の政権党を差配する角栄に聞いた。「あの学生たちをどう思うか。」
「日本の将来を背負う若者たちだ。経験が浅くて、視野はせまいが、真面目に祖国の先行きを考え、心配している。若者は、あれでいい。マージャンに耽り、女の尻を追い駆け回す連中よりも信頼できる。彼ら彼女たちは、間もなく社会に出て働き、結婚して所帯を持ち、人生がひと筋縄でいかないことを経験的に知れば、物事を判断する重心が低くなる。私は心配していない」
(*)早坂茂三:学生運動を経験し、政治部記者を経て田中角栄の政策秘書を23年間務める
安保反対デモの学生たちを、「日本の将来を背負う若者たち」として「真面目に祖国の先行きを考え、心配している。若者は、あれでいい。」と評価する部分に、「オヤジ」の眼差しを感じてグッときました。
それに比べると最近話題になった武藤貴也衆議院議員(自民党・滋賀4区)のツイート「彼ら彼女らの主張は『だって戦争に行きたくないじゃん』という自分中心、極端な利己的考えに基づく」という視点が、もの凄くちっちゃく感じてしまうのは私だけでしょうか。まぁ、比べるのも酷ですが…(田中角栄氏に失礼ですよね)。

デモは政治参加の一手段だと思います。荒削りな主張が混ざっていることもあるけれど、問題を「問題化」する手段として社会に必要なものではないでしょうか。私は国会前デモに参加したことはありませんし、主張も若干異なる点はありますが「真面目に祖国の先行きを考え、心配している」若者たちの行動を「自分中心、極端な利己的考え」だとは到底思えません。最後にそんな若者に向けた「オヤジ」の金言をもう一つ紹介します。
「私が若い人にぜひ言いたいのは、頑固であれということだ。簡単に妥協するな。少数派になることを恐れるな。そして意地を張れ。突っ張れ。爪先立ちをしろ。肩に力を入れろ。それが若さというものだ」────田中角栄
『捨てる神に拾う神』早坂茂三【著】、集英社、1995.5.25
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