任期満了に伴う盛岡市長選挙が16日告示され、共に無所属で4選を目指す現職の谷藤裕明氏（65）と、新人で会社社長の内舘茂氏（48）の一騎打ちの構図となりました。また同日告示された市議会議員選挙には、定数38に対して現職31、元職2、新人8の計41人が立候補しました。党派別では民主2、公明3、共産5、社民2、その他は無所属となっています。盛岡市で市長選と市議選のダブル選挙が実施されるのは、補欠選挙を除くと戦後初めてとなります。

8年ぶりの市長選の構図

前回2011年の市長選では、東日本大震災の復興を優先するとして民主党が対立候補を見送ったため無投票となり、今回は8年ぶりの市長選となりました。候補者は以下の通り。

新聞等の報道によれば、現職の谷藤氏は「特定の政党に偏らない『市民党』の立場を強調」（*1）し、古巣の自民党とは一定の距離を置くものの、「自民党支持者の多くが実質的に支援するほか、公明党の地元組織も支持を打ち出している」（*2）という。

対する内舘氏は、民主党岩手県連や生活の党県連の推薦に加え、民主党の階猛衆院議員（岩手１区）の全面支援も受けている（*3）と報道されています。

政党色を抑えて中立的な「市民党」をアピールする谷藤氏と、政党色を全面に出して支持拡大を狙う内舘氏の激しい選挙戦は、市議選とも連動して激しい選挙戦が展開されると思われます。

知事選無投票の影響

盛岡市ではこの3週間の間に市長選と市議選を皮切りに、岩手県知事選と県議選の合わせて4つの選挙が立て続けに実施されます。

• 盛岡市長選　8月16日告示、8月23日投開票
• 盛岡市議選　8月16日告示、8月23日投開票
• 岩手県知事選　8月20日告示、９月６日投開票
• 岩手県議選　8月28日告示、９月６日投開票

ところが知事選は自民、公明が支援した平野達男氏が出馬断念し、民主、維新、生活などの野党連合が応援する現職の達増拓也氏の、無投票3選の可能性が高まっています。

・岩手県知事選挙は異例の展開！対抗馬が立候補断念（8月10日選挙ドットコム）

なお、盛岡市長選で内舘氏を支援する民主党の階氏は「衆院議員だった達増氏の知事転出に伴う２００７年補選で初当選。達増氏の後援会を引き継いだ。両氏の支持層は重なる部分が多い。」（*3）と報道されており、知事選が無投票になれば勢いに乗った運動員が市長選などに加勢することが予想され、谷藤陣営を与党側と見立てた舌戦は一層激しさを増すものと思われます。

また、知事選の影響は県議選にも強く表れています。自民党の茂木敏充選挙対策委員長は11日盛岡を訪れ、平野氏出馬断念について「『県議選で知事選との連動を模索していた陣営は、戦い方の見直しが必要となった』との認識を示しました。その上で、『国会議員の応援弁士の派遣など県連の要請にはできる限り応えたい』と、党本部として支援態勢を整える方針を確認した」（*4）と報道されています。

要となる知事選が無投票となることで、盛岡市長選、市議選、そして県議選の結果にどのように影響し、また来夏の参院選の構図がどのように変わるのか、選挙ドットコムでは引き続き岩手県の選挙に注目していきます。

（*1）２氏が届け出＝盛岡市長選（8月16日時事通信）
（*2）盛岡市長選が告示　現職と新人の一騎打ち（8月16日共同通信）
（*3）＜盛岡市長選＞知事選の影響は？２陣営神経戦（8月12日河北新報）
（*4）自民・茂木選対委員長　県議選支援を約束（8月11日岩手放送）