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投票率向上の“ネック”と言われた、超めんどくさい「不在者投票」が変わる



古野 香織
古野 香織

20160908


昨日、自民党が次の衆院選までに「不在者投票の簡素化」を検討しているというニュースが飛び込んできました。
今年の参議院選挙で18歳の投票率が51.17%だったのに対し、19歳は39 .66%と大きく低迷したことから、高校生だけではなく住民票を移していない「大学生世代」の投票率アップを狙ったものと思われます。


このニュース、同世代に投票を呼びかける活動をしてきた現役大学生としては、「つ、つ、ついにキタ―――!」とうれしい悲鳴を上げずにはいられません。大学生の投票行動を考えたとき、実は「不在者投票の利用」が重大なキーポイントになるからです。
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投票には行きたいけど・・・な大学生


わたしは中央大学の選挙啓発サークルVote at Chuo!!で、参議院選挙前の2週間ほどにわたり大学内にブースを設置していました。その名も“問う票所”。18歳選挙権により今年から大学生が全員投票できるようになったことで、今回初めて選挙に行くという学生のために、選挙に関するわからないこと・不安なことを聞いて一緒に解決しようという企画でした。


ブース期間中には、なんと400名以上の中大生が来場。「投票には行きたいけど、不安や疑問だらけ」という声が毎日のように寄せられました。


その中でも特に多かったのは、「住民票を移していないが、どうやって投票したらいいのかわからない」という質問。こういった学生に対して、私たちは「不在者投票っていう制度があるんです。知っていますか?」と投げかけます。たいていの学生は、そんな制度があったんだ!と驚いたり、制度自体は知っていたけど複雑そうだと思って避けていた……という反応でした。


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そもそも不在者投票とは、選挙期間中に名簿登録地(自分の住民票のある自治体)から離れた場所にいても、滞在先の場所で投票ができるしくみです。仕事や旅行などで、前住んでいた場所から比較的長期間離れて暮らしている場合を想定された制度ですが、親元をはなれて上京してきた大学生の多くも、この制度を利用する可能性が高いのです。





7割の学生が住民票を移していない


Vote at Chuo!!で行った中大生1,000名を対象にしたアンケートによると、2015年7月のデータでは一人暮らしの学生のうち79%、2016年7月では76%もの学生が住民票を現住所に移していないという結果が出ました。つまり一人暮らしの学生のうち、7割以上の学生がわざわざ地元に戻るか、不在者投票制度を使わなければ投票できないことになります。
不在者投票はものすごく面倒な手続きをしなければならず、その結果、ほとんどの人が投票に行っていません。


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さらに今回の参議院選挙で、住民票を移していない中大生のうち64%が投票を棄権し、20%が地元に戻って投票、不在者投票をしたのは16%にとどまりました。住民票を移している学生が少ないうえに、不在者投票の利用者もまだまだ少ない。こういった現状を打破するためには、自民党が掲げたような「不在者投票の簡易化」に向けた法改正もひとつの有効な手段となりそうです。





不在者投票はものすごく面倒くさい


では実際にこの不在者投票って、どれくらい複雑なのでしょうか。総務省のHPには、不在者投票の方法の欄に


(1)名簿登録地以外の市区町村の選挙管理委員会における不在者投票


(2)指定病院等における不在者投票


(3)郵便等による不在者投票


の3つが記載されています。このうち(2)は都道府県の選挙管理委員会が不在者投票のために指定した病院・老人ホームのみ、(3)は身体障害者手帳か戦傷病者手帳を持っているかつ特定の要件を満たした選挙人のみが利用できる方法なので、ここでは一般の大学生が利用できる(1)の流れを説明します。


まず、旧住所地の自治体のホームページなどから「不在者投票請求書」をダウンロードし、必要事項を記入したうえで、住民票のある自治体の選挙管理委員会宛に郵送で送ります。このときメールやFAXなどは使えず、本人の自筆のみが有効となります。そうすると旧住所地の選管から、投票用紙入りの封筒が送られてきます。このとき、封筒の中にさらに小さい封筒が入っており、これを開封すると投票ができなくなってしまうので要注意です。これらの届いた書類を一式もって、最寄りの選管にいき投票します。そうするとこの投票用紙が旧住所地の選管に送られて、やっと一票が行使されるのです。





投票率向上のカギとなる


どうですか。この説明を、なんとなく立ち寄ってみただけの大学生にした後の、彼らの顔を想像してみてください。どんなに、初めての選挙だしせっかくなのでやってみませんか?と言っても、「ちょっと今日は時間ないので、良いです……」と断られてしまうことも少なくありませんでした。それでも、1人でも多くの大学生に一票を行使してほしい!と必死だったので、自分たちにできる簡易化はできる限りやりました。まず、不在者投票請求書は総務省が発行しているものを100部ほど印刷しておいて、封筒や切手などもすべて用意しました。家にプリンターなどがなく、めったに郵便などを利用しない一人暮らしの大学生にとって、選管のHPから書類をダウンロードして印刷して、さらに1回分の切手と封筒を買うだけでも相当な手間になってしまうからです。これを自分でやってくださいとアナウンスしても、相当投票したいと意欲のある学生以外は、途中で投げ出してしまう可能性も十分にあります。自民党青年局幹部は、「インターネット世代の若者には郵送など煩雑な手続きを嫌う傾向にある」とみて、ネットの活用を含めて手続きの簡素化を盛り込んだ法改正を目指しているとのこと。この読みは、現役大学生としてはかなり“アリ”だと思います。


他にも、投票用紙を請求してから一票を行使されるまでのプロセスがすべて郵送で行われるため、かなり時間がかかります。場所によっては1週間かかるという自治体もありました。これでは投票日の前日に、選挙に行きたい!と思い立った学生がいたとしても、不在者投票は棄権せざるを得ません。今回の問う票所ブースでも、投票日が近づくにつれて不在者投票の質問も激増。せっかく投票したいという学生が目の前にいるのに、間に合わないかもしれないと伝えるのは心苦しかったです。不在者投票のやり方が簡単になれば、時間短縮も見込めるため、より多くの学生に利用してもらえるようになります。


今回の参院選。中大生が投票を棄権した理由で、ダントツ多かったのは「住民票を移していなかったから」というものでした。これは「そもそも関心がなかった」「行っても意味がないと思った」という回答の約6倍の数です。若者の投票率アップに向け、いまこそ不在者投票や住民票の問題を解決すべきです。現役の大学生として、今後の法改正による若者の投票環境の向上に期待を寄せています。


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古野 香織

古野 香織

選挙ドットコム インターン。中央大学法学部政治学科に在学中。20歳。大学2年生の時に選挙啓発サークルVote at Chuo!!を立ち上げ、現在メンバーと一緒に「中央大学を日本一選挙がアツい大学にする」という目標を掲げて奮闘。これまでには付属高校での主権者教育授業や、大学ミスコンとコラボして選挙啓発を行うなど、大学生だからこそできる独自の企画を実施。若者の投票行動や選挙制度、シティズンシップ教育などを広く勉強中。

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