
競泳男子400m個人メドレーの萩野選手の金メダルに始まり、テニス男子シングルスの錦織選手の日本勢96年ぶりのメダル、体操内村選手の男子個人総合の2連覇など、ロンドンオリンピックを超え、史上最多のメダル数を獲得した日本。今回のリオオリンピックでも多くの歴史的瞬間が生まれました。
しかし、華やかな舞台とは裏腹に、オリンピックで活躍している多くの選手は現実的な“ある問題”といつも隣あわせにあります。
それは、「お金」の問題です。現役選手としての競技中も、引退後もこの問題はつきまといます。今回は日本スポーツ界が抱える課題と、それを解決しようとするスポーツ庁の動きにスポットを当てたいと思います。
幼少期から人生の多くの時間を競技に費やし、その道のトップとして国を背負って世界のトップを目指すオリンピック選手。さぞ多くの収入を得ていると思いきや、一口にはそう言い切れないようです。
オリンピックは当初プロの選手の参加が認められず、アマチュアスポーツの祭典として開催されていた経緯から、現在でも多くのアマチュア選手が参加しています。アマチュア選手の中には、実業団に所属し、昼は会社の仕事として事務作業を行い、夜から競技の練習をする選手もいます。収入のメインは会社からの給料となり、他の一般就職している人と同じ給料をもらうことになります。
例えば、日本のバレーボール選手は、プロ契約をしている選手は極一部で、オリンピックで代表として活躍している選手も多くが実業団の所属となっています。バレーボールほどのメジャーな競技でさえも、このような状況です。
いわゆる「マイナー」と言われる競技を行う選手は多くの場合がプロ契約ではなく、アマチュア契約の選手として競技に取り組み世界と戦っています。
日本のスポーツ選手の多くがプロ契約を結べない理由は、そもそも日本のスポーツ産業の市場規模が小さい事に大きな原因があります。日本のスポーツ市場の規模はおよそ5兆円。世界のスポーツビジネス関連市場規模が2017年には111兆円と10年前との比較で1.5倍となる試算が出ている中、日本のスポーツ市場は年々減少傾向にあります。
日本のスポーツ市場でも大きな割合を占めるプロ野球とプロサッカーの市場規模をアメリカと比較すると3倍、5倍といった差が生じています。

(出典:スポーツ庁 スポーツ産業の活性化に向けて)
スポーツビジネス関連の市場規模が拡大する事は、スポーツ選手の収入を上昇させ、また引退後も競技に関わり続けられる可能性を広げます。
ほとんどのオリンピック選手はお金のために競技を行っているわけではないと思います。しかし、競技のために多くのお金や時間を費やすことに“採算”がとれることは日本のスポーツを発展させる上で不可欠な要素でしょう。
2015年文部科学省の外局としてスポーツ庁が設置されました。
スポーツ庁は2020年の東京オリンピックを機に、2037年までにスポーツ関連産業の市場規模を平成27年の5兆5千億円から、15兆円に拡大させる中間報告を取りまとめています。
それを達成するにあたってスポーツ庁は5つの政策方針を提示しました。

(出典:スポーツ庁 スポーツ産業の活性化に向けて)
スポーツ市場規模の拡大のためには、スポーツ市場を構成するスタジアム・アリーナ投資、 スポーツ観戦、スポーツ用品、周辺産業等に対する需要をそれぞれ拡大させることが必要であるとした上で、最も重要な政策の1つとして、スポーツ観戦にITを取り入れた新市場の創出があります。東京オリンピックは未だかつてないテクノロジーが駆使されたオリンピックとなるかもしれません。下にあるテクノロジーは、既存のスポーツ観戦を大きく変えることでしょう。

(出典:スポーツ庁 スポーツ産業の活性化に向けて)
日本のスポーツ産業の市場規模が拡大することは、「稼げる」オリンピック選手を増やします。オリンピック選手を目指す人の裾野を広げる事で、日本のスポーツ界は飛躍的に前進するでしょう。スポーツ庁の今後の取り組みに期待です。
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