2016年7月10日に投開票終えてから、1か月以上経ちました。そのあとすぐに東京都知事選挙が行われ話題をさらっていきましたが、第24回参議院選挙のネット選挙はどのような傾向だったのか、全5回にわたってレポートしていきたいと思います。
勝つ政治家.comでは、前回同様すべての候補者のネット選挙情報を収集し分析を行いました。
調査にあたって収集したのは
・候補者情報(基本情報、当落、得票数など)
・ホームページ情報(活用状況、ドメイン・スマホ化などの状況、それらに伴う評価)
・Facebook情報(活用状況、いいねやシェアなど)
・Twitter情報(活用状況、フォロワー数、フォロワー数の増減、RT、FAVなど)
・Youtube情報(活用状況、再生数、評価)
など、以上の情報を軸に、告示日から投票日までの選挙期間を対象に集計し分析しております。
集計データや分析レポートをお望みの方は、お問合せよりご連絡くだされば、ニーズに合わせてご対応いたします。
389人の候補者がネット選挙で活用したツールの利用状況で特に目を引いたのが、facebookの利用率の高さです。2014年12月に行われた衆議院選挙では7割程度でしたが、今回の候補者から集計すると、facebookは86%が活用していることが分かりました。
当選者に絞って集計しなおすと、ホームページを利用したのは119人(98%)、facebookを利用したのは111人(91%)と、9割を超える候補者が活用しておりました。またfacebookは、個人アカウントでの利用者よりも、facebookページを利用した人の方が圧倒的に多いこともわかりました。
2013年の参議院選挙でネット選挙が解禁されて以降、多くの政治家がSNSを利用しています。Twitterの利用者も増加しておりますが、特にfacebookの利用が進んでいるのは、大きく3つの理由があります。
1) Twitterは、匿名性が高い
2) facebookは、すでに多くの支援者が存在している
3) いくつものツールを使いこなせない(面倒)
たくさんの票を獲得するためには、支援者だけではなくその先にいる不特定多数のSNSユーザーとつながっていく必要があり、利用人口も多いTwitterも、もちろん活用すべきではありますが、「匿名性が高い=炎上するリスク」と判断する候補者が多く、短い選挙期間中に失点してはまずいという空気とともに、利用しないという判断をしている様子。
その判断の根底には、「ネットは票にならない」というイメージがあり、リスクを冒してTwitterを利用するよりも、すでに多くの支援者が存在している(と思われる)facebookを面倒だけど利用するといった状況が想像できます。また、一般的にfacebookの方が利用者の年齢も高いということもあり、投票へ行く層により近いツールと考えられていることも一理あります。
政党別に利用状況を集計してみても、
自民党や民進党など、議席を多く保有していたところは、Twitterと比べてfacebookの方が利用率がたかく、“facebookで安全運転”といった印象が伺えます。
この状況の良し悪しは、実際の得票や当落と合わせて判断するものではありますが、“ネット選挙は効果がない”と言われてしまう現状は、候補者が従来の選挙戦の延長上としてネットを利用しており、新たなチャレンジをしていないということかもしれません。
しかし激戦となった選挙区や、落選はしたもののネットで30万票獲得したと言われている山田太郎氏のネット選挙では、新たなチャレンジや発見がありました。全5回(残り4回)に渡ってレポートしていくなかで取り上げてまいりたいと思います。
※本記事は「勝つ政治家.cm」の8月19日の記事の転載となります。オリジナル記事をご覧になりたい方はこちらからご確認ください。
この記事をシェアする
選挙ドットコムの最新記事をお届けします
My選挙
あなたの選挙区はどこですか? 会員登録をしてもっと楽しく、便利に。
話題のキーワード