さとう しゅういち ブログ
米国の退潮と武器市場の多極化──日本は「陣営の時代」から脱却せよ
2026/9/18
◆ 社説:米国の退潮と武器市場の多極化──日本は「陣営の時代」から脱却せよ
米国防総省が、中東各地の米軍基地が大被害を受け、迎撃能力が飽和し、弾薬不足に陥っていると公表した。
これは単なる軍事上の不具合ではない。
米国が中東での軍事的優位を維持できなくなったことを、自ら認めたに等しい。
その直後、サウジアラビアが中国製爆弾を使用していることが報じられた。
長年「米国の最重要同盟国」とされてきたサウジが、米国製ではなく中国製の兵器を選ぶ。
この事実は、冷戦型の「西側 vs 非西側」という陣営構造が完全に崩れたことを象徴している。
現代の武器市場は、陣営ではなく市場で動く。
サウジは中国製爆弾を使い、UAEはトルコ製ドローンを採用し、
トルコはNATO加盟国でありながらロシア製S-400を購入する。
イランはロシアに無人機を供給し、イスラエルは中国にサイバー技術を売る。
武器は、価格・性能・政治条件で選ばれ、陣営をまたいで流通する。
米国の退潮は、この多極化を加速させた。
安価なドローンや巡航ミサイルによる飽和攻撃は、米軍の巨大基地モデルを時代遅れにし、
中東諸国は「米国だけに依存すると危険だ」と判断した。
その結果、サウジの中国製爆弾使用は、単なる兵器選択ではなく、
中東が“米国の庭”ではなくなったことの外交的宣言でもある。
日本は、この構造変化を直視しなければならない。
紅海・マンデブ海峡・ホルムズの三重不安は、日本の物流とエネルギーを直撃する。
米国の形式主義──正統政府だけを支援し、実効支配者を無視する外交──に巻き込まれれば、
イエメン内戦のように、現場の力学を読み誤り、危機の渦中に引き込まれる。
被爆国として、そして中東と深い経済的結びつきを持つ国として、
日本は「陣営の時代」から脱却し、
実効支配者を見る現実外交と、平和首長会議など横のネットワークを活かす独自外交へ舵を切るべきだ。
さとう しゅういち
サトウ シュウイチ/50歳/男