さとう しゅういち ブログ
米国の中東敗北と新たな外交軸──イランの「平和都市ネットワーク」を日本は活かせ
2026/9/16
◆ 社説:米国の中東敗北と新たな外交軸──イランの「平和都市ネットワーク」を日本は活かせ
米国防総省が、中東各地の米軍基地が大被害を受け、迎撃能力が飽和し、弾薬不足に陥っていると公表した。
これは単なる軍事上の不具合ではない。
米国が中東での軍事的優位を維持できなくなったことを、自ら認めたに等しい。中東の新しい戦争様式──安価なドローン、巡航ミサイル、飽和攻撃──は、米軍の巨大基地モデルを時代遅れにした。
米国は中東をかき回すだけかき回し、構造的に収拾不能な状態を残して退きつつある。
その余波は、紅海危機、マンデブ海峡危機として日本の物流にも直撃する。こうした中で、日本が取るべき外交軸は、米国の影に隠れることではない。
むしろ、日本が独自に持つ“平和都市ネットワーク”という外交資源を最大限に活かすことである。イランは、広島・長崎が主導する平和首長会議に、
日本以外で最多の1016都市が参加している。
これは偶然ではない。
イランは化学兵器被害の歴史を持ち、反核・反非人道兵器の市民世論が強い。
つまり、イランは“反核の文脈では広島に最も近い国のひとつ”である。この横のネットワークは、軍事同盟とは異なる。
国家間の緊張を超えて、都市・市民社会がつながる構造であり、
米国が中東で影響力を失いつつある今こそ、
日本がイランとの対話の回路として活用できる唯一の資源である。IAEA理事会で日本がイラン非難決議に賛成したことに対し、
イラン外務省報道官は「結果を思い知ることになる」と強い反発を示した。
しかし、ここで関係を断つ必要はない。
むしろ、平和首長会議という“市民レベルの信頼資産”を使い、
イランとの対話を再構築することが、日本外交の責務である。米国が退きつつある中東で、日本が守るべきは、
米国の形式主義ではなく、
広島・長崎が築いてきた反核の横のネットワークである。被爆国として、そして中東と深い経済的結びつきを持つ国として、
日本はこのネットワークを外交の前面に出し、
中東の安定に向けた独自の役割を果たすべきだ。
さとう しゅういち
サトウ シュウイチ/50歳/男