さとう しゅういち ブログ
安全の根幹を揺るがす虚偽 浜岡原発審査取り下げは「自壊」の帰結だ
2026/9/11
【社説】安全の根幹を揺るがす虚偽 浜岡原発審査取り下げは「自壊」の帰結だ
中部電力が浜岡原発3・4号機の再稼働審査申請を取り下げる方向で最終調整に入った。理由は明白である。耐震データの意図的操作という、原子力安全の根幹を揺るがす虚偽報告が外部調査委員会によって確定したからだ。
原子力規制委員会の審査を続けられるはずもなく、事業者自ら「タオルを投げた」形だ。浜岡は東海地震想定域の中心に位置し、国内でも最も厳しい耐震性が求められる原発である。その基準地震動を小さく見せるためにデータを選別し、審査会合で説明した方法と異なる手法を用いていた事実は、単なるミスではない。安全審査の前提を破壊する“故意の不正”であり、原子力事業者としての資格を問われる行為だ。不正は昨年5月以降も継続していた。規制委は審査を中断し、名古屋本店への立ち入り検査に踏み切った。外部弁護士による調査報告書は、組織的ガバナンスの欠落を厳しく指摘している。勝野会長が辞任の意向を示したという報道は、責任の重さを物語る。今回の取り下げは、再稼働の道筋が白紙に戻るだけではない。中部電力の原子力事業全体の信頼が根底から揺らいだ。
廃炉作業の不適切手続き、電気料金算定ミスなど不祥事が続く中で、最も重い領域での虚偽報告が重なった。ガバナンスの再構築は不可避であり、経営陣の刷新も視野に入る。原子力規制委員会は、改善命令を含む厳正な処分を検討することになるだろう。だが、処分は終点ではない。再発防止策の実効性を数年単位で監視し、組織文化の刷新を促す長期プロセスが必要だ。原子力政策の信頼は、一つの不正で簡単に失われる。安全性を最優先するという原則を守れなかった事業者に、再稼働を主張する資格はない。
浜岡の審査取り下げは、中部電力が自ら招いた「自壊」の帰結である。
信頼の再構築は、ゼロからの出発となる。続けて深めるなら浜岡原発の耐震データ不正の致命性中部電力ガバナンス崩壊の因果モデル規制委処分の制度構造必要なら、速報→本紙版→日曜版の3段階構成で社説を仕上げることもできます。
さとう しゅういち
サトウ シュウイチ/50歳/男