さとう しゅういち ブログ
ICCは中国を捜査しないのか――制度への誤解と、日本の対中抑止力としての加盟の意味 ― 加盟国...
2026/8/22
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ICCは中国を捜査しないのか――制度への誤解と、日本の対中抑止力としての加盟の意味
― 加盟国管轄という国際法の原則を踏まえた冷静な議論を ―
国際刑事裁判所(ICC)が、ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルのガザ侵攻、米国のアフガニスタン作戦を捜査する一方で、中国のウイグル問題を捜査しないことをもって「偏っている」「怪しからん」と批判する声がある。
しかし、この批判はICCの制度そのものへの誤解に基づいている。
ICCは、ローマ規程に基づき 加盟国の領土で起きた犯罪、または加盟国の国民が加害者となった犯罪 にのみ管轄権を持つ。
これは「事後法で裁かれた東京裁判の苦い経験」を踏まえ、日本を含む各国が慎重に設計した原則である。
非加盟国の国内問題にICCが介入すれば、国際法の根本原則を損ない、恣意的な裁判となりかねない。
◆ 加盟国で起きた犯罪を捜査するのは当然である
ウクライナ、パレスチナ、アフガニスタンはいずれもICC加盟国である。
したがって、
ロシア軍によるウクライナでの戦争犯罪
イスラエル軍によるガザでの人道問題
米軍のアフガン作戦における違法行為
これらをICCが捜査するのは制度上当然である。
一方、中国はICC非加盟国である。
そのため、ウイグル問題はICCの管轄外となる。
これは中国を忖度しているのではなく、国際法の原則に基づく制度的制約である。
◆ ICC加盟は「対中抑止力」としても機能する
この制度は、日本にとって重要な意味を持つ。
日本はICC加盟国であるため、仮に中国が日本に侵攻した場合、
日本領土で起きた戦争犯罪はICCの管轄となる。
その結果、
中国の国家主席
軍司令官
作戦責任者
などに ICC逮捕状が発出される可能性がある。
ICC加盟国は120か国以上に及び、英・仏・独など中国と友好関係を持つ国も含まれる。
逮捕状が出れば、これらの国への習近平氏の訪問は事実上不可能となり、
外交が大きく制約される。
これは中国にとって重大な政治的・外交的コストであり、
日本への軍事行動に対する抑止力として機能する。
◆ 制度を理解しない批判は、結果として日本の利益を損なう
ICCが中国を捜査しないことをもって「偏っている」と批判することは、
制度の根本を誤解した議論であり、
日本が得ている対中抑止の利益を見落としている。
ICCは、
事後法禁止
加盟国管轄
国際法の安定性
という原則に基づき運用されている。
この制度を軽視することは、国際法秩序の弱体化につながり、
結果として日本の安全保障を損なう。
◆ 結び
ICCは中国を捜査しないのではなく、制度上捜査できない。
そして日本がICC加盟国であることは、
国際法秩序の維持だけでなく、
中国の軍事行動に対する抑止力としても重要な意味を持つ。
さとう しゅういち
サトウ シュウイチ/50歳/男