さとう しゅういち ブログ
猛暑と海水温上昇――“原発万能論”の虚妄を直視せよ
2026/7/15
猛暑と海水温上昇――“原発万能論”の虚妄を直視せよ
フランスで猛暑が続き、複数の原子炉が停止した。冷却水となる河川の水温が上昇し、環境基準を超える温排水を出せなくなったためだという。原発は「温暖化対策の切り札」と喧伝されてきたが、皮肉にも気候変動そのものによって原発が止まるという矛盾が露呈した。
この事実は、わが国にとって他人事ではない。日本近海の海水温は過去100年で1℃以上上昇し、黒潮域では夏季に30℃前後の高温が常態化している。海水で冷却する日本の原発にとって、これは冷却効率の低下、排水温度の上昇、そして出力抑制を意味する。すでに川内、伊方、高浜などで海水温上昇による出力調整が行われている事実を、政府はどこまで認識しているのか。
そもそも日本は、世界でも稀に見る地震・火山帯に位置する。そこへ海水温上昇、台風の大型化、海面上昇という気候変動の波状攻撃が加わる。原発は「地震に弱い」だけでなく、「高温にも弱い」。この二重の脆弱性を抱えたまま、「原発回帰」などと軽々しく口にする政治の姿勢には、危うさを通り越して、もはや現実認識の欠如すら感じる。
石油ひっ迫が現実味を帯びる国際情勢の中で、再生可能エネルギーを拡大し、石油を産業用資材として確保する戦略は極めて合理的である。にもかかわらず、原発を“万能の解”として掲げる議論が後を絶たない。だが、猛暑で止まり、海水温で弱り、地震で揺さぶられる原発に、果たして「国の電力の柱」を任せられるのか。
必要なのは、イデオロギーではなく現実だ。
そして現実は、すでに我々の足元で熱を帯びている。
さとう しゅういち
サトウ シュウイチ/50歳/男