2026/6/3
6月1日、日本のエネルギー未来を担う可能性を秘めた技術、核融合(かくゆうごう)について、私の視察レポートをお届けします。
核融合とは、太陽が光り輝き、膨大なエネルギーを生み出しているのと同じ現象を人工的に起こす技術です。従来の原子力発電(核分裂)とは異なり、海水を燃料にでき、CO2を排出せず、本質的に暴走のリスクがないという、まさに「夢のエネルギー」と呼ぶにふさわしいものです。
その最前線を知るため、私は日本維新の会の議員団とともに、岐阜県土岐市にある核融合科学研究所を訪問しました。
そこで私たちが目にしたのは、まさにこのスローガン通りの挑戦でした。
今回の視察の目的は、党の基本方針である「エネルギー安全保障」を最重要課題と位置づける中で、核融合エネルギーの実用化・産業化を政治としていかに後押しできるかを探ることでした。
現在、日本のエネルギー自給率はわずか15%です。この現状を打破し、持続可能な未来を築くためには、あらゆる選択肢を追求しなければなりません。その中でも、核融合は、まさに日本を救う切り札となり得ます。
研究所側からは、実用化は「急がないといけない」という認識が示されるものの、時間はかかるとのこと。私たち議員団は、迅速な社会実装に向けて全面的に協力する強い意向を伝えました。
巨大な人工太陽「LHD」と、日本の「ものづくり」
視察では、直径13m、重量1500tに及ぶ大型ヘリカル装置(LHD)を見学しました。これは、世界トップクラスの実験回数を誇る巨大な装置で、1億2000万度という超高温のプラズマを磁場の中に閉じ込め、壁に触れることなく維持するものです。

この独創的な技術は、日本の「ものづくり」の結晶であり、27年間にわたる安定した実験を支えてきました。LHDでの実験は終了しましたが、その膨大なデータと知見は、次世代装置の開発へと継承される重要な財産です。

実用化への壁、そして政治の役割
質疑応答では、実用化に向けた具体的な課題が議論されました。核融合を「高性能エンジン」に例えれば、エンジン自体は実証できましたが、社会で使える「車」(発電所)にするには、熱を取り出す材料や、燃料の取り扱いといった技術がまだ確立されていないという説明がありました。
実用化の時期については、2030年代のデモンストレーションは可能であっても、商用炉の完成は50年後になるかもしれないとの見通しが示されました。今後の商用化に向けて必要なことを尋ねたところ、
1 予算の確保と、長期的な投資
2 法制度の整備(国際基準をリードする枠組み)
3 人材の育成(世界と戦える専門家の育成)
特に人材不足は深刻であり、人材育成も喫緊の課題であることが示唆されました。
日本発の技術で世界に挑む「ヘリカルフュージョン社」
視察では、研究とは別にヘリカル方式の核融合技術の社会実装を目指すスタートアップ企業、ヘリカルフュージョン社(代表:田口氏)からも事業説明を受けました。
同社は、学術的延長ではなく「実用的なインフラとしての発電所」にこだわり、2038年頃の実用化を目指しています。ヘリカル方式は、連続運転が可能で保守も行いやすく、日本発の技術で世界に勝ちうる強みを持っています。
しかし、資金面では、米中は年間数千億円規模の投資が行われているのに対し、日本は桁が一つ小さい現状があります。規制面でも、従来の原子炉とは異なる新しい枠組みが必要です。

おわりに:政治の本気度が問われる
核融合の実用化は、単なる科学技術の問題ではありません。日本のエネルギー安全保障を確立し、ものづくり産業を再活性化させる、長期的な国家プロジェクトです。
私は、今回の視察を通じて、この「もう一つの太陽をつくる」挑戦こそが、日本の生き残りをかけた重要課題であることを痛感しました。資金、制度、人材の課題を克服し、日本がこの分野で世界を主導できるよう、政治家として全力で邁進してまいります。
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ホーム>政党・政治家>池下 卓 (イケシタ タク)>核融合:日本のエネルギー安全保障と「もう一つの太陽をつくろう」。