2026/8/6
【北海道大学雨龍研究林に学ぶ――「森を育てながら使う」北海道の森林政策へ】
本日8月6日は、北海道大学北方生物圏フィールド科学センター雨龍研究林を訪れ、天然更新と択伐を中心とした森林管理について学びました。
ご案内いただいた北海道大学の坂井励さんには、森の中を歩きながら、一つひとつの樹木や植物を前に、森林がどのように世代交代を繰り返していくのかを丁寧にご説明いただきました。
特に印象に残ったのは、「天然更新」という考え方です。森林は、人が苗木を植えなくても、親木から落ちた種子や、すでに育ち始めている稚樹によって次の世代へ命をつないでいく力を持っています。しかし、その力を生かすには、ササの繁茂や光の入り方、樹種ごとの特性を見極めながら、長い時間軸で森全体を管理していくことが欠かせません。
その考え方を実践するのが「択伐」です。一度にすべてを伐採する皆伐ではなく、成熟した木を選びながら利用し、次の世代の森林を育てていく施業です。
今回、私の認識が大きく変わったのは、その経済性についてのお話でした。皆伐は効率的な方法と思われがちですが、その後には植栽や下刈り、獣害対策など、多くの人手と費用が必要になります。一方で、天然更新を生かした択伐は、森林が本来持つ再生力を活用しながら、良質な木材を育て、高付加価値の林業へとつなげる可能性があります。「量を追う林業」から「森の価値を高める林業へ」という視点は、大変示唆に富むものでした。
また、雨龍研究林では1982年から長期観測区を設け、40年以上にわたり森林の変化を記録し続けています。どの木を残し、どの木を伐るのか。その判断を支えているのは、経験だけではなく、長年にわたって蓄積された科学的なデータです。北海道の森林政策にとって、このような「知的資源」はかけがえのない財産だと感じました。
北海道は全国一の森林面積を有しています。森林は木材を生産する場であるだけでなく、水を育み、生物多様性を守り、気候変動対策や防災にも重要な役割を果たす社会資本です。だからこそ、「伐るか、守るか」という二者択一ではなく、「育てながら使い、その価値を高める」という発想が、これからの森林政策には求められているのではないでしょうか。
この雨龍研究林一帯は、かつて北海道大学演習林だった土地の一部が、王子製紙による電源開発へとつながり、現在の朱鞠内湖へと姿を変えた地域でもあります。北海道の森林は、豊かな自然を育んできた一方で、近代化や産業開発の舞台ともなってきました。その歴史には光と影の両面があります。
午後は、その「影」の歴史を今に伝える笹の墓標展示館を訪れます。同じ土地に刻まれたもう一つの歴史については、改めてご報告したいと思います。
そして、北海道ではこれから森林づくりに関する計画の見直しが進められます。今回の視察で学んだ天然更新や択伐、長期的なデータに基づく森林管理、そして森林の価値を高めるという視点を、少しでも北海道の森林計画や森林政策に反映できるよう、今後の議会での議論にも生かしていきたいと思います。
なお、このフィールドは、渕上 綾子道議会議員が、元職時代に丹念にミズナラの更新などについて研究されたフィールドとのことで、そこにも感銘しました!









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