2026/6/24
昨日の内外情勢調査会山形支部講演会は、東京農工大農学部の小池伸介教授。毎日話題になっているクマの専門家です。
例年であれば数種類あるどんぐり類が、いずれかの種類はきちんと生育して実を結ぶのだが、昨年は軒並みほぼ全ての種類で不作となり、ドングリ類を探すためにクマの行動範囲が広がって、従来であれば奥山に押し込められていたクマが、この50年間の森林開発で緩衝帯が消え、さらに狩猟自粛や捕獲上限設定などで数量管理されるなどした結果もあいまって、市街地に出没する要因になったことなど、先生の研究の成果を踏まえて示していただきました。
クマの生態については、実はまだまだわからないことが多いとのことで、生態管理でクマの首に付けたカメラや位置把握トレースでやっと少しづつわかってきているのが現実なのだそう。
昨年全国で1万2千頭の駆除が行われていてもそれがオスなのかメスなのかすらもわからないらしく、性別、年齢(歯でわかる)のデータがあれば、クマの成長や繁殖、生息数などがよりわかるようになるとのこと。
データを踏まえて生息数管理等ができるようになるので、各県で駆除した10%程度の個体については、性別、年齢などのデータ収集をできれば、今後のクマ対策の一助になるとのことでした。
その上で、先生から行政への提言として、例えばゾーニングを図るということが政府のクマ被害対策ロードマップや県の予算などでも対策項目として挙げられるのですが、誰もゾーニングをどうしたら良いのか、そしてそれが効くのかわからない状況なので、試行錯誤をしながらも、①「居てはいけない場所」にクマがいない状態を実現し、そこに出る前に捕ること、②クマに取って魅力的でない場所を作ること(例えば見通しが良くて自分の行動が丸見えの場所を作る=緩衝地域だけでなく、管理強化地域を作る)、③緊張関係を構築して、クマの警戒心を高め、プレッシャーをかけ続け、クマの分布を山側に押し戻すのことが必要なのではないかとのことでした。
また、そうした対応をするには、専門知識を有する行政職員が重要で、2年に1回で代わってしまう職員ではなく、じっくりと腰を据えて対応できる専門知識を有する職員の採用が非常に重要であるという提案を示していただいたところです。
人材育成という話になると、どうしても、「ガバメントハンター」のような話になるわけですが、それだけでなく、「野生動物職」のような職種を設けて異動のない正職員を複数、計画的に配置する体制整備が必要ではないかとのことでした。なお、このことについては、2019年に学術会議から出ている答申にも含まれているとのこと。そして、これを設けた秋田県はかなり大胆な対応をし始めているようです。
人材育成という点では、大学教育との連携も進んでおり、東京農工大、酪農学園大、山形大、岐阜大が協定を結んで、「野生動物管理教育コアカリキュラム」も開始しているとのことであり、山形大の知能も活用できるようです。
先日の山形新聞の県議会議員座談会でも述べたのですが、やはり時間がかかる人材育成が非常に重要であり、今から取り組まないとこの先の対応を万全なものにできなくなる可能性があると思うのです。
その意味でも、先生が示された人材育成の在り方は、大きな示唆ではないかと思ったところです。
今夜(6月24日)の19時30分からのNHKクローズアップ現代にもご出演とのこと。拝見したいと思います。
中長期的にはなるかもしれないが、専門知識を持って野生動物の管理をしっかり行っていくことが、人間社会の安心・安全を確保するのに必要であるということを改めて認識することのできた講演だったと思います。



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