2026/6/6
武雄市が抱える問題の根源を考える。
日々、さまざまな自治体や議会から相談をいただく。
今回は、福岡県内のある市議会からの相談だった。
内容は、武雄市内で行われてきた、児童生徒の習い事送迎を住民の支え合いで担う「共助版ライドシェア」の視察についてである。
この取組は、自治体、つまり武雄市の事業ではない。住民や関係団体が現場を支え、地元篤志家の支援を受けながら実証的に運行されてきた、民間ベースの事業だ。私自身も、仕組みづくりから日々の運行まで関わってきた経緯がある。
武雄市外縁部から市街地の塾、習い事、スポーツ少年団へ通う子どもたちの移動を支え、保護者の送迎負担を減らす。家庭によっては、1日あたり約1時間の送迎時間が浮き、その時間を家事や仕事に回せるようになった。
子育て支援として、そして地域の生活の質そのものを変える取組として、多くの成果を上げてきた。
それゆえに他の自治体や地方議会から視察の希望が寄せられる。その際は武雄市に視察の申込がいくのが通例だ。
ところが、今回の視察希望をめぐっての武雄市の対応は、目を疑うものだった。
先方の議会事務局が議会の公式的な視察として武雄市へ相談したところ、「市が直接行っている事例ではないので、運行団体に直接聞いてほしい」という趣旨の回答があり、実質的に門前払いだったという。
さらに、申込側の議会事務局は、同時に武雄市の交通政策、特にコミュニティバス「ほんわカー」等についても説明を受けたいと希望し、依頼を行った。
しかし、これに対して武雄市側からは、「本年度は交通部門で新規事業が多く、会議も多いため、視察の受け入れは難しい」という回答があったそうだ。申込側が「受入時期はいつでもよく、武雄市の都合に合わせます」とまで伝えても、「受入は難しい」の一点張りだったという。
武雄市内で始まった取組を、他自治体の議会が学びたいと言っている。その依頼に対し、日程調整の余地も示さず断るのであれば、それは単なる業務の都合では済まない。
ここ最近の武雄市政を見ると、「行政組織の恣意的判断」という類似の構図が繰り返されている。
・武雄アジア大学への19.5億円の公費支援と、大幅な定員割れ。
・佐賀バルーナーズのプレシーズンマッチへの2,500万円もの市費の投下。
・武雄市公式Facebookページにおける、物言う市民の排除。
・武雄市内で生まれた共助版ライドシェアの視察相談に対し、市として誠実に対応しようとしない姿勢。
一見、別々の問題に見える。
しかし、所管と意思決定のラインを見ると、事の本質が見えてくる。
もちろん最終責任者は、小松政市長である。これは当然だ。ただし、もう一人、説明責任を避けられない人物がいる。
庭木淳副市長である。
庭木副市長は、企画部とまちづくり部を所掌し、市長が指示する重要政策にも関わる立場にある。大学、スポーツ、広報、地域交通、これらはいずれも、庭木副市長の担当分野である。
なぜ、他自治体の議会が学びたいと希望する武雄市内の成功事例について、市として適切に対応しないのか。
庭木副市長は、この点について説明すべきである。
さらに、この共助版ライドシェアには、前・武雄市長の樋渡啓祐さんが深く関わってきた。仕組みづくりから運行の下支えまで、物心両面で支えてこられた。
だからこそ、今回の対応に別の事情が影響しているのではないか。
武雄市は、市制施行20周年式典においても、武雄市図書館、市民病院の民間移譲、教育改革といった樋渡さん時代の功績を歴史から消すかのように扱った。
歴代市長の樋渡さんを招待せず、武雄の歩みを振り返る動画では武雄市図書館、新武雄病院いずれもまったく登場しなかった。
今回の視察対応も、その流れと重なって見える。
樋渡さんに関係する案件には距離を置く。武雄市が直接やっていないから関わらない。外から学びに来る人がいても、市として対応しない。
これは自治体の姿勢として看過できない。
自治体の仕事は、好き嫌いで行うものではない。
どのような方にも公平公正に接するのはもちろんのこと、住民の暮らしに役立つ仕組みを生み出し、育て、必要に応じて他地域とも共有することが本来のありようだ。
武雄市には、今回の視察対応について、事実関係と判断理由を明らかにしてほしい。
特に担当の庭木副市長には、市内で生まれた公共的価値のある取組を、市としてどう位置づけるのかを示してほしい。
これでは副市長ポストをわざわざ庭木さんのために2人制にした小松政市長があまりにも気の毒だ。
今回の武雄市の一連の対応を見ていると、表に出ていない同様の問題が、ほかにもあるのではないかと感じる。
事態の深刻さを、ぜひ多くの皆さんにも知っていただきたい。

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