2026/7/28
民報「きずな」ではこれまで、川内市医師会立市民病院をめぐる動きについて、「国いいなりに病床削減」と報じてきました。
今回、情報開示請求によって、薩摩川内市の補助金を受けて薩摩川内市医師会が外部の調査会社に委託した「外部環境調査報告書」を入手しました。その内容から、病床削減への懸念がいっそう明らかになりました。
報告書は、国の「地域医療構想」に基づく必要病床数と、現在の病床数を比較しています。
川薩二次医療圏では、2023年度の病床数1,638床に対し、2025年の必要病床数は1,356床とされ、全体で282床「過剰」と評価されています。
とりわけ急性期病床は、現在735床あるのに対し、必要数は422床とされ、313床多いとの推計です。一方、リハビリや在宅復帰を支える回復期病床は、307床に対して499床が必要とされ、192床不足しています。
つまり、この報告書が示しているのは、急性期病床を減らし、その一部を回復期などへ転換するという、国の地域医療構想に沿った再編の方向です。
さらに報告書は、川内市医師会立市民病院の病床稼働率を69.6%、済生会川内病院を60.9%とし、「急性期一般病床を有する2病院の病床稼働率が低い」と評価しています。
こうした数字は今後、「使われていない病床が多い」として、病床削減や病院機能の集約を進める根拠にされる可能性があります。
また、薩摩川内市の人口は、2020年の約9万2,400人から2050年には約6万8,000人へ減少すると推計されています。入院患者数も2030年頃をピークに減少し、2050年には2020年比で8.5%減る見込みです。
医療・福祉分野の働き手についても、2020年の7,465人から2050年には4,896人へ減少すると推計されています。
報告書は、人口減少、患者数の減少、医療従事者不足、病床稼働率の低さを並べることで、病床削減や病院再編の必要性を強調しています。
しかし、病床は平常時の稼働率だけで判断できるものではありません。
地方の病院には、救急医療、感染症流行、災害時の患者受け入れ、離島・へき地医療を支える役割があります。薩摩川内市では、原発事故を含む大規模災害への備えも欠かせません。
余裕のある病床は、単なる「無駄」ではありません。市民の命を守るための安全余力でもあります。
国は、地域医療構想について「単なる病床削減ではない」と説明しています。しかし実際には、国が示した必要病床数を基準に、病床数や病院機能の見直しが進められています。
今回の情報開示によって、病床削減が地域住民の要望から出発したものではなく、国の地域医療構想に沿って具体化されていることが、よりはっきりしました。
問われるべきは、国の数字に合わせて何床減らすかではありません。
市民の命を守るために、どの病床と医療機能を残すのか。
病院再編や病床削減について、市は結論を急ぐのではなく、報告書の内容を市民に明らかにし、十分な説明と議論を行うべきです。

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