2025/10/29
皆さん、こんにちは。枚方市議会議員のかじや知宏です。
10月27日、枚方市議会の総務常任委員会で東京都新宿区を訪れ、外国人施策の先進事例について視察しました。
新宿区は、外国人住民の割合が**約14%にのぼる全国有数の国際都市で、留学生や専門職として働く若い世代が多く、飲食・ITなどサービス産業が中心の就労構造が特徴で、行政・地域・学校・NPOが連携して支援を進めています。
一方、枚方市の外国人比率は**約1.7%**と低い状況にありますが、技能実習などの在留資格で製造業などで働く外国人住民が増加しており、これから本格的な対応が求められます。
背景や規模は異なりますが、新宿区の取組には学ぶ点が多くありました。
今回は、視察の内容をわかりやすく紹介するとともに、枚方市の今後の施策展開についてもお伝えします。

新宿区では、区民の約14%が外国人で、その数は約5万1千人に上ります。
国籍は中国・韓国・ネパール・ミャンマーなど多様で、特に留学生が多いのが特徴です。
若い世代の転入出が活発で、まさに「国際都市・新宿」の様相を呈しています。
新宿区役所1階と「しんじゅく多文化共生プラザ」に外国人相談窓口を設置。
英語・中国語・韓国語など6言語に対応し、専門スタッフや通訳ボランティアが支援しています。
年間約6,000件もの相談が寄せられており、在留手続・子育て・福祉など生活全般に対応。
さらに、外国人相談窓口だけでなく、すべての窓口でテレビ電話通訳システムを導入するなどICTの活用も進められています。
相談員にはベテランが多く、行政サービスに熟知している一方で、相談件数の増加に対して人材確保や通訳スタッフの高齢化が進んでおり、世代交代の際のスキルの継承が課題になっているとのことです。

教育現場でも、外国にルーツを持つ児童生徒への支援が充実しています。
新宿区では、**教育センターによる「日本語初期指導」**を実施し、来日・転入直後の子どもたちに対して約30時間の集中指導を行い、
その後は小・中学校での授業に円滑に参加できるようサポートしています。
さらに、学校内での支援として、
教員が行う「日本語サポート指導」
外部講師による「国際理解教室」
学校への通訳派遣(令和6年度:311件)
などがあり、子どもたち一人ひとりの日本語力や背景に合わせた支援を実施しています。
特に、日常会話が可能でも学習言語に課題がある児童には、「特別の教育課程」による段階的な日本語指導も行われており、教育現場でのきめ細やかな支援体制が整っています。
こうした教育支援の充実は、単なる語学指導にとどまらず、
「日本の学校生活に自信を持って参加できる環境」を整える点で、枚方市にとっても大きな学びとなります。
新宿区では、区内10か所で日本語教室を開催し、子どもから大人まで学べる環境を整備。
また、「多文化共生まちづくり会議」や「多文化共生連絡会」を通じ、地域団体や外国人コミュニティ、教育機関、NPOなどが連携して情報共有・交流イベントを開催しています。
行政・地域・市民が連携する仕組みがしっかりと機能している点が印象的でした。
枚方市でも、外国人市民は令和7年6月末時点で6,721人(市人口の約1.7%)。
コロナ禍で一時的に減少しましたが、近年は年間600~800人のペースで増加しています。
今後は、国の入管法改正により「育成就労制度」が創設され、長期在住者の増加が見込まれています。
枚方市では、こうした状況を踏まえ、令和8年度に外国人相談窓口を新設する方針を決定。
中心となるのは「広聴相談課」で、国の外国人受入環境整備交付金を活用し、
在留手続・雇用・医療・福祉・教育・子育てなどを多言語で相談できる体制を整備します。
今年度(令和7年度)は、電話通訳サービスの試行やFAQ(よくある質問)の充実、関係部署との連携強化を進めています。
📌 今回の視察で強く感じたのは、
「制度を整えるだけでなく、地域とのつながりをどう作るか」という点です。
新宿区の成功の背景には、行政・地域団体・教育機関・NPOが互いに支え合う仕組みがあります。
多文化共生の要は「支援」よりも「共創」、つまり地域がともに学び、関わる関係性です。
枚方市は、外国人比率こそ低いものの、今後の増加を見据えて早期に環境を整える段階にあります。
🟢 学校現場での日本語学習支援の充実
🟢 地域コミュニティやボランティアとの連携強化
🟢 ICTを活用した情報提供(AI翻訳やオンライン相談)
これらを同時に進めることで、**“多文化共生のまち・枚方”**を実現できると考えています。
多文化共生のまちは、「外国人のため」だけではなく、誰もが安心して暮らせるまちの実現につながります。
枚方市はまだ外国人比率が1.7%と低い段階ですが、いまのうちから仕組みを整えることが大切です。
今後の外国人相談窓口の設置に向けて、
誰もが言葉や文化の違いを越えて支え合えるまち・ひらかたを目指して、議会としても引き続き取組を進めていきます。
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