2026/5/29
ここまで私は、上天草市の人口減少のスピードがあまりにも速いこと、そしてその背景には高齢化だけでなく、転入より転出が多い社会減があるのではないか、ということを書いてきました。
では、なぜ上天草では人が出ていくのか。
なぜ、若い世代や子育て世代が残りにくいのか。
私はこのことを、もっと暮らしの目線で考えなければならないと思っています。

上天草は、決して魅力のないまちではありません。
海がある。
景色がいい。
食べ物もうまい。
人もあたたかい。
実際、外から来た人に「上天草はいいところですね」と言われることも少なくありません。
でも、ここで考えないといけないことがあります。
「遊びに来たいまち」と、「暮らし続けたいまち」は同じではないということです。
観光で来れば、景色のよさや食べ物のおいしさは大きな魅力です。
でも、子育てをしながら暮らすとなると、見えるものは変わります。
仕事はあるのか。
生活していける収入は見込めるのか。
住む場所は見つかるのか。
病院に行きやすいのか。
買い物に困らないのか。
子どもを安心して育てられるのか。
この先も、この地域で暮らしていけるイメージが持てるのか。
親の立場で考えると、気になるのはこういうことではないでしょうか。
上天草市の人口ビジョンでは、若い世代で転出超過が続き、とくに進学や就職の時期に大きな転出超過が見られると分析されています。市はその背景として、修学環境や雇用情勢の厳しさを挙げています。
つまり、若い人たちが上天草を離れていくのは、単なる気分の問題ではなく、暮らしや将来を考えた結果でもあるということです。 (city.kamiamakusa.kumamoto.jp)
これは、子育て世代にとっても他人事ではありません。
子どもが成長していく中で、
「この子は将来、このまちに残れるだろうか」
「一度外に出ても、帰ってこられるだろうか」
そう考えたことがある人も多いのではないでしょうか。
もし、地元に戻りたくても仕事がない。
暮らしたくても住まいがない。
子育てしたくても、生活のイメージが持ちにくい。
そういう状況が続けば、若い人は戻ってこられません。
残りたいのに残れない。
戻りたいのに戻れない。
私は、上天草にはそういう現実があるのではないかと思っています。
そして、それは今の子どもたちの未来にもつながる話です。
若い世代が減れば、子どもの数も減ります。
同級生が減る。
地域のにぎわいが減る。
部活動や地域行事の支え手も減っていく。
見守りの力も弱くなるかもしれない。
人口減少の問題は、ただ人数が減るという話ではなく、子どもたちが育つ環境そのものの問題でもあります。
上天草市は、移住情報サイトや空き家バンク制度を整えて、移住・定住の取り組みを進めています。これは大事なことです。
でも、制度があることと、実際に「ここで暮らせる」と思えることの間には、まだ差があるように思います。市の特定居住促進計画でも、空き家や既存施設の活用、受け皿づくり、交流環境づくりの必要性が示されています。裏返せば、まだ十分ではないということでもあるのではないでしょうか。 (city.kamiamakusa.kumamoto.jp)
たとえば、住まいです。
空き家があることと、子育て世代が安心して住める家があることは同じではありません。
場所はどうか。
傷みはどうか。
周りの環境はどうか。
学校や買い物、病院との距離はどうか。
親として考えると、見るところはたくさんあります。
また、これからの上天草にはチャンスもあります。
熊本方面とのアクセス改善が期待され、今後、人の流れが変わる可能性があります。
でも、道路ができることと、人が定着することは別です。
通りやすくなる。
訪れやすくなる。
それだけで終われば、上天草はこれからも
「来るにはいいまち」
のままで、
「住むには選ばれにくいまち」
のままかもしれません。
私は、そこを変えないといけないと思っています。
本当に必要なのは、
このまちで働けること。
このまちで子どもを育てられること。
このまちで暮らし続けられること。
そう思える条件を、一つずつ整えていくことです。
人口減少を止めるために必要なのは、気合いや根性ではありません。
親として、家族として、
「ここなら暮らしていける」
と思える現実をつくることです。
私は、上天草の課題は、単に人が減っていることではなく、
人が残りにくい暮らしの構造
にあるのではないかと思っています。
魅力があることと、暮らし続けられることは違う。
観光に強いことと、定住に強いことも違う。
その違いを直視しなければ、上天草はこれからも「いいところですね」と言われながら、住む場所としては選ばれないままになってしまうかもしれません。
だから私は次に、
どうすれば上天草を“住むまち”として選ばれるようにできるのか。
その具体策を、本気で考えなければならないと思っています。
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ナニカワ マサヒコ/54歳/男
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