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森 かずとし ブログ

2026年6月定例月議会報告

2026/7/1

 

6月定例月議会報告 教育の独立性は揺るがせにしてはなりません

 金沢市議会2026年6月定例月議会は、6月25日、本会議で討論・採決の後、総額54億1,131万円余の補正予算と中東情勢影響対策の1億4,800万円余の追加補正予算を可決して終了しました。 
 この最終日、議会議案として「教育基本法第14条第2項の運用方針及び認定基準の明確化を求める」意見書案をわが会派から提出しましたが、残念ながら少数否決されました。 
                            ー末尾に提案理由説明全文ー
 ただ、これに関連し、10人の連名で提出されていた「公立中学校における平和教育及び校外学習の政治的中立性と安全確保を求める陳情書」は、全会一致で不採択となりました。

◪代表質問の骨子
【質問項目】(一括質問方式)
 1.村山市政2期目の所信について
 (1)再選の選挙結果の受け止めについて 
 (2)「未来を拓く世界の共創文化都市・金沢」の視座 に映る世界の現況について
 (3)憲法公布80周年、「平和」への都市の責任
 2.未来共創計画の改訂と6月補正予算について
 (1)6月補正予算案の編成について
 (2)みらい金沢2026年度予算編成に関する要望書の反映について
 (3)中東情勢影響対策について
 (4)文化スポーツ施設利用料金あり方検討調査費
 (5)中心商店街学生交通モデル事業費について
 3.教育の独立性に関して
 4.トキの放鳥と連動した金沢の環境保全型農業の推進
 5.第6次障害者計画策定費について
 6.市民のつぶやきから
   ・伏見川PFAS汚染その後
   ・生き物の生息の変化、生態系の変化の把握を 

質問動画はこちらから配信ー

◪代表質問と答弁の全文 (一括質問と一括答弁を項目毎に並べ替え)
1.村山市政2期目の所信について
(1)再選の選挙結果の受け止めについて
森 一敏議員:みらい金沢を代表して以下ご質問いたします。まず第1は、村山市政2期目の所信について申し上げます。
 第1点目、再選の選挙結果の受け止めについてお伺いいたします。村山市長は、3月8日投開票の金沢市長選挙において、11万8、174票の得票を得て再選されました。この得票数は、投票総数の68.4%を占め、過去20年間の市長選挙をさかのぼっても、この得票数、得票率を上回る結果はなく、文字どおり圧勝の結果でありました。私自身、知事選挙と併せて現職支援の立場で選挙戦に随伴したものとして、この対照的な結果に感嘆を禁じ得ませんでした。その一方で、前回市長選挙で55.95%へと反転して高まった投票率は、今回48.59%へと7%余り低下しました。未来共創計画前進期の評価においては、KPIの進捗状況では、市民意識指標で基準値を上回った指標が2割にとどまっていることを、市長自ら課題として挙げられました。選挙結果から、首長としての上滑りがあってはなりません。
 市長は、本議会での提案理由説明に15ページを当て、選挙結果について、この間、市政の状況を鑑みながら、多くの方々のお声をお聞きする中で、改めて市政のかじ取りを担う責任の重さを痛感し、身の引き締まる思いを強くしていると述べられました。再選後の3か月、顧みた市政の状況、多くの方々の声とはどのようなものかを伺うとともに、2期目の市政に挑む決意を私からもお聞かせ願います。

村山 卓市長:32番森 一敏議員にお答えいたします。はじめに、選挙期間中はもとより、2期目がスタートして以降、市政の状況を顧みながら多くの方々のお声をお聞きする中で、都心軸の再興のほか、子育て・教育環境の充実、地域経済の振興、安全・安心の確保など、多方面にわたる市政への期待の大きさを感じており、改めて市政を担う責任の重さを痛感しております。本市を取り巻く諸課題の解決前進は言うまでもなく、充実期に入った未来共創計画の着実な実践を通して、市民一人ひとりが心の豊かさを実感し、将来にわたり活力と魅力に満ちあふれた金沢の実現に向けて、これからの市政運営に全身全霊で取り組んでいく所存であります。

(2)「未来を拓く世界の共創文化都市・金沢」の視座に映る世界の現況について
森 一敏議員:第2に、「未来を拓く世界の共創文化都市金沢」の視座に移る世界の現況についてお伺いいたします。世界は今、米国・トランプ大統領の力による平和路線により、大きな混乱に陥っております。マドゥーロ・ベネズエラ大統領夫妻を武力で拉致したことに続き、核協議最中の2月28日、イスラエルとともにイランを先制攻撃し、イランとの戦端を開きました。昨日の午前、ようやく米国とイランとの間で戦闘終結の合意が成立したとの報道が駆け巡りました。子ども、民間人を含む尊い命を奪い、世界経済に広範な影響を与えた不条理な戦争の終結は、誰もが望んでいたものです。歓迎をもって事態を受け止めたいと思います。
 いち早く金沢市議会は、中東情勢の早期沈静化と平和的解決等を求める決議を国に送付いたしました。しかしながら、高市首相は、国際法、国連憲章に違反するこの蛮行に法的評価は控えるとG7で唯一擁護する姿勢を変えないばかりか、横須賀基地配備のイージス艦や沖縄駐留の海兵隊が参戦したことから、間接的であるにせよ、日本は伝統的に友好関係にあったイラン侵略に加担する立場に立たされました。米国と協調してきた欧州諸国は、自国内の米軍基地からの戦闘行為を禁じたイタリアやスペインなどを筆頭に、トランプ大統領の軍事行動を厳しく批判し、非協力を通してまいりました。日本政府の従属的姿勢は際立っており、日本の平和主義の内実に対し懸念する市民の声は全国に広がっております。
 昨秋、高市首相は「台湾危機は存立危機時代となり、集団的自衛権行使の可能性がある」と国会答弁して以降、特にレアアースや半導体材料などの戦略資源の対日輸出規制は、本市においてもものづくり産業など地域経済に影響を及ぼし、自治体交流でも中国蘇州市との姉妹交流が中断する事態となっております。
 私たちみらい金沢は、昨年末、予算編成に関する要望書を市長に提出した際、次のように提起いたしました。「国政においては、日中関係の緊張や非核三原則をめぐる論議が生じているが、非核三原則は国是であり、平和都市宣言を掲げる本市として、独自の平和外交や平和文化を発信し、平和を願う声を内外に示さねばならない」と。本市の都市像「未来を拓く世界の共創文化都市金沢」の視座に立ち、充実期に向かおうとする村山市長には、こうした内外の情勢はどのように映っておられるのか、そのご所見をお聞かせください。

村山 卓市長:世界情勢の不安定化は、国際社会や国家間のみならず、我が国の経済や国民生活、ひいては地域社会や地域経済にも影響を及ぼす懸念事項であります。改めて、社会の安寧と持続可能な経済活動は、世界平和という揺るぎない土台があって成り立つものであるとの思いを強くしております。こうした不確実な世界情勢の中でこそ、各国が主体性を発揮しつつ、連携・協力を深めながら、異なる文化や価値観を互いに認め合い、尊重し合うことで、世界の平和と繁栄につなげていく必要があると思っています。
 私としては、心から世界の恒久平和を希求しつつ、今に息づく多様な金沢固有の文化を基軸に、まちが将来にわたり発展し、市民が安心して暮らせるよう全力で取り組んでまいります。

(3)憲法公布80周年、「平和」への都市の責任に関して
森 一敏議員:第3に、憲法公布80周年「平和への都市の責務」に関してお伺いします。私は2023年12月定例月議会で、新たな都市像をめぐる質問で、日本国憲法の前文を引用いたしました。諸国民の共和による成果、我が国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、我らは全世界の国民が等しく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。まさに第二次世界大戦の教訓として、世界の平和に対する責務というものが、都市を構成する住民にもしっかり存在していると認識いたします。
 この秋、その日本国憲法は、公布から80周年を迎えます。国会においては、改憲論議がかまびすしく、不戦憲法の改定を懸念する若年層が前面に出て、改憲反対の新たな行動が拡大する情勢です。「未来を拓く世界の共創文化都市金沢」の基盤は、言うまでもなく「平和」にあります。不戦憲法の果たしてきた役割への評価と、本市の都市としての責任について、市長のご所見を改めてお伺いします。

村山 卓市長:憲法が掲げる平和主義は大切でありまして、我が国としても世界の平和に貢献していく必要があると考えております。また、本市では「平和都市宣言」において、本市固有の歴史・文化を発信し、世界の人々と友好関係を深める中で、恒久平和に貢献をしていくということを宣言しておりまして、引き続き、人類全ての願いである世界の恒久平和の実現に向けて、不断の努力をしていかなければならないと思っています。

2.未来共創計画の改訂と6月補正予算について
(1)6月補正予算案の編成について
森 一敏議員:質問の第2は、「未来共創計画」の改訂と6月補正予算についてです。
 第1に、6月補正予算案の編成について伺います。2月に議決した骨格予算に加え、6月補正予算案が肉付け予算として計上されました。この補正予算案は、未来共創計画の改訂を裏付けるものであり、社会情勢の変化や計画の進捗を踏まえた未来共創計画前進期2年の評価と連動するものと説明されました。全会計で50億2,900万円余の本補正予算編成に当たって、市長曰く「これまでに築いてきた礎を新たな高みへと飛翔させる」との編成方針がどのように具現化されているか、連動する前進期の評価とも併せお伺いします。 

村山 卓市長:未来共創計画の前進期の評価につきまして、施策の進捗度を測る施策指標において、約7割が上昇するなど、充実期に向けた礎を着実に構築することができました。一方で、市民へのアンケート調査による市民意識指標は、約8割が横ばいまたは低下するなど、前進期2年間という限られた期間であったとはいえ、取組の効果が市民の意識や行動に十分浸透していない状況であったと捉えています。
 そのため、丁寧かつ戦略的な広報にも取り組みながら、市民の意識や行動への浸透を図っていきますとともに、計画の前進期で築いた礎をさらに高みへと飛躍させるべく、まちのにぎわいの創出と都心軸の再興に資する経費をはじめ、未来につながる子育て環境の充実策や、学生をまちなかに呼び込むための施策など、未来共創計画の改定と連動した経費のほか、先の市長選挙で掲げた公約につきましても、可能なものから本補正予算に盛り込んだところであります。

(2)みらい金沢2026年度予算編成に関する要望書の反映について
森 一敏議員:第2に、みらい金沢2026年度予算編成に関する要望書の反映についてお伺いします。先ほども触れましたように、みらい金沢は新年度予算編成に対し、安全・安心な福祉防災のまち、持続可能な魅力あるまち、未来を担う子どもやスポーツに投資をするといった、6つの柱からなる217項目の要望書を提出しております。骨格予算、今次補正予算案を通じ、これらがどのように反映できているかお聞かせ願います。

村山 卓市長:当初予算及び本補正予算を通じまして、安全・安心で災害に強いまちづくりを進めるため、能登半島地震や大雨災害からの速やかな復旧・復興や、改定した地域防災計画に基づく災害対策の強化に意を用いましたほか、武蔵ヶ辻A地区の再開発事業をはじめとした都心地区の再興や、日本銀行金沢支店跡地の先行利活用等を通じたまちなかのにぎわい創出に積極的に取り組むこととしております。さらに、中小企業小規模企業振興基本条例の具現化策をはじめとして、金沢産農水産物の魅力発信に係る経費を盛り込むとともに、通院に係る子育て支援医療費助成の18歳までの引き上げや、小・中学校の体育館の空調設備整備に向けた準備に着手するなど、子育て・教育環境のさらなる充実を図りながら、財政の健全性の確保にも心がけた次第であります。いただいたご要望に真摯に応えて、、必要な施策の予算化に努めております。

(3)中東情勢影響対策について
森 一敏議員:第3に、中東情勢影響対策について伺います。先にも触れましたように、補正予算案に、中小企業振興特別資金に中東情勢影響対策分を創設する1、550万円が新たに計上されました。中東情勢の影響を受ける市内中小企業者等の資金繰りを支援するとともに、資金の借り入れに係る信用保証料も全額助成するものです。本融資制度を創設するにあたり、中東情勢により本市・中小企業等にどのような影響が及んでいるのか、本市としてどう把握して制度設計が行われたのか伺います。
 次に、本制度の具体的内容を伺うとともに、支援の手法を制度融資の形で行うこととした判断について伺います。さらに、追加提案された国の中東情勢に伴うエネルギー高騰対策に呼応した物価高騰対策については、施策が期待する効果をどのように見込んでいるのかお答えください。財源を財政規律に逸脱した多額な予備費に求める国補正への批判や、使途の明確化を求める意見がある中、衆参1日ずつという異例の審議時間で成立させたことから、その実効性が自治体において明確にされることが求められていることに鑑みてお伺いするものです。

村山 卓市長:中東情勢の緊迫化を受けて、エネルギー価格や石油由来の原材料費等の高騰が企業活動に及ぼす影響につきましては、商工会議所などの関係機関からの意見聴取を通じて、幅広い業種で原材料費の調達コストが上昇しているほか、塗料など材料によっては調達が困難となっている状況から、今後の見通しへの不安が高まっており、地域経済に影響を及ぼしていると捉えております。
 こうした中で、先月7日に開設した「中東情勢影響対応特別相談窓口」には、資金繰りに関する相談が前年同月比、これは中小企業の相談窓口の前年同月比ですけれども、資金繰りに関する相談が約2.5倍に増加しております。不安を抱える事業者の声の把握に努めているところであります。こうした状況を踏まえまして、中小企業者の資金繰りを下支えするため、新たな融資制度として、中小企業振興特別資金に中東情勢影響対策分を創設することといたしまして、関連予算を今議会にお諮りしているところであります。

森 一敏議員:ところで、配管や内外装工事を手がける友人が、次のようにこぼしていました。「塗料の溶剤がないとよくニュースで聞いたが、必要があってコーキング剤を買いに行ったが、売り場に品物が全くない状態。入荷のめど立たずとの張り紙。仕方なく残っていた自家用のコーキング剤で何とかしのいだ。こんな有様で仕事にならん。」と。これは実態の一端であります。
 中東情勢による影響が一過性でなく、停戦に至ったとしても、戦闘により破壊されたプラントの再建、エネルギーや素材資源の調達ルートの回復には、なお時間がかかると指摘されております。14項目とされる覚書に基づく確実な停戦履行と、本格的和平の成立こそが、経済的打撃からの回復への必須の条件であります。地域経済に責任を負う地方自治体が全国的に連携し、繰り返し巻き返し、政府に対し資源の安定確保とともに、平和回復のための外交努力を促すことも必要ではないかと思います。この点についての市長のご所見をお聞かせください。

村山 卓市長:続いて、政府は中東情勢が不透明な中で、物価高騰対策としてガソリンなどの燃料油への補助を継続するとともに、夏季における電気・ガス料金の負担軽減を図ることとしたほか、地域の実情に即した支援を強化するため、過日補正予算を成立させ、重点支援地方交付金の追加交付を決定いたしました。本市としては、これを受けて、地域経済や市民生活に支障が生じないよう、エネルギー価格等の高騰による影響を強く受ける中小企業や福祉施設、低所得世帯への支援を盛り込んだ緊急所用の経費を追加でお諮りした次第であります。国の対策に積極的に呼応をいたしますとともに、連動して早期に執行することで、施策の相乗効果と実効性を高めていきたいと考えております。
 国際間の紛争への対応については、国において十分な議論を重ねた上で、適切な対応をされているものと認識しております。一方で、中東情勢の不安定化が心配される中にあって、先般の全国市長会におきまして、国際的な緊張緩和に向けて、外交面を含め、あらゆる努力を傾注することや、石油関連製品の安定供給の確保、物価高騰対策の強化を国に求める決議を採択したところであります。引き続き、状況を注視しながら、全国市長会等を通じて国に働きかけていきたいと考えております。

古谷 健経済局長:中東情勢影響対策について、融資制度の具体的内容と支援の手法を融資制度とした理由についてお尋ねがございました。新たな融資制度「中東情勢影響対策分」は、中東情勢の影響を受けた中小企業者が必要な資金を迅速かつ的確に調達できるよう支援するものでございます。
 融資の対象要件は、売上高の減少に加え、原材料費等の高騰により売上総利益が減少している事業者も含めるなど、経営実態に即した運用を行うこととしております。また、限度額は5000万円、返済期間は10年以内とし、利率は利子補給の支援により年1.4%とするなど、事業者の金利負担を軽減する条件に設定してございます。
 中東情勢の先行きが見通せない中にあっては、中小企業者が必要な時期に資金を確保するようにすることが重要であると考えており、資金繰りを下支えする手法として融資制度が有効であると判断をいたしました。

(4)文化スポーツ施設利用料金あり方検討調査費について
森 一敏議員:第4に、文化・スポーツ施設利用料金あり方検討調査費について伺います。この調査費は、いわゆる二重料金の設定を想定してのあり方検討に踏み込むものと理解しております。従来から、自治体住民とそれ以外の利用者の料金を別に設定して徴収する料金制度を導入している自治体があることは承知しております。これを市民割引料金制度として運用している場合もあるでしょう。
 議会説明資料では、文化・スポーツ施設における維持管理費の増加等を踏まえてとされておりますが、諸物価の高騰や職員給与の引上げ等、施設の管理運営に経費がかさむ状況は推察できますが、近年の本市における文化・スポーツ施設の管理運営経費の変化を説明できる具体的な数字を明らかにしてください。
 また、説明資料では、受益者負担を考慮した利用料金のあり方を検討するとしております。そのことにより、これまでの利用料金とかなり異なる料金水準となることも考えられるのか、本市として検討によって明確化したい観点や制度設計のイメージなども市民に明らかにする必要があると思います。調査・検討に当たっての本市としての課題意識、基本的な考え方をお伺いします。

村山 卓市長:次に、文化スポーツ施設の維持管理コストが上昇する中で、サービスの向上と持続可能かつ安定的な施設運営を図る上では、その財源の根幹をなす施設の利用料金の改定は避けて通れない状況となっております。その一方で、金沢の強みである文化と市民生活の距離をさらに縮め、国の豊かさにつなげたい、心の豊かさにつなげたいとの思いから、先の市長選挙の公約として、文化スポーツ施設の利用促進と市民負担の軽減を掲げたところであります。受益者負担を考慮しつつ、市民の利用を促進するための市民割引制度の導入も視野に、利用料金のあり方について検討を進めていきたいと存じます。

津田 宏文化スポーツ局長:近年の本市における文化スポーツ施設の管理運営経費の変化についてお尋ねがございました。文化スポーツ施設の管理運営経費につきましては、近年、光熱費をはじめとした物価の高騰などに伴い、維持管理コストが上昇しております。具体的には、令和元年度から令和6年度の5か年にかけて、文化スポーツ施設の維持管理コストは、金額ベースで約5億3千万円、伸び率で約30%増加しております。以上でございます。

森 一敏議員:二重料金制となれば、インバウンドや国内来街者と市民利用とのバランスや合理的な水準設定などが問われることになります。利用者を遠ざけたり、好調な交流人口の入り込みに水を差すようでは、本末転倒になります。その意味でも、多角的で重層的な調査と慎重な検討が求められます。調査・検討の体制、進め方、スケジュール、新たな料金制度への移行の目途について、どのようにお考えかお聞かせ願います。

村山 卓市長:この検討調査におきましては、他都市の先行事例を調査するとともに、新たに関係部局からなる庁内ワーキングを立ち上げ、対象となる施設や市民割引制度の導入による利点と課題、価格の設定などについて検討することとしております。加えて、社会経済情勢の変化に対応した市政運営を推進するため、有識者や公募委員等で構成する行政経営プラン推進委員会からの意見もお聞きしながら、年度内を目途に一定の方向性を定めていきたいと考えています。

(5)中心商店街学生夜間交通確保モデル事業費について
森 一敏議員:第5に、補正予算に関する質問の最後に、中心商店街学生夜間交通確保モデル事業費について伺います。本モデル事業は、商店街振興費として計上され、学生アルバイト等の夜間の移動手段を乗り合いタクシーによって確保することを目的としております。まず、このモデル事業の具体的内容と事業趣旨についてお聞かせください。

村山 卓市長:中心商店街学生夜間交通確保モデル事業費につきまして、今議会にお諮りしている、この学生アルバイトの夜間の移動手段を確保するための乗り合いタクシーを活用したモデル事業につきましては、8月以降の毎週金曜日に、終バスの後、金沢大学方面に時間帯を分けて2回、乗り合いタクシーを運行することとしております。これによりまして、店舗における人手不足の解消と商店街のにぎわい創出につながることを期待しております。

森 一敏議員:次に、乗り合いタクシーの試験運行となれば、タクシー事業者との意思の疎通が不可欠です。8月以降の運行予定であれば、事業案策定の段階でタクシー事業者との協議が行われてきたことと思います。試験運行を担う体制はどのようになるのか、お答えください。

古谷 健経済局長:次に、中心商店街学生夜間交通確保モデル事業の試験運行体制についてお尋ねがございました。本事業は、金沢商業活性化センターを事務局とする金沢中心商店街まちづくり協議会が事業主体となり、乗り合いタクシーを運行するタクシー事業者と契約することを想定してございます。市といたしましては、事業主体を支援し、緊密に連携を図りながら事業を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。

森 一敏議員:3点目に、乗り合いタクシーの試験運行によるモデル事業案は、本格運行を想定しての実証実験の側面があるでしょう。本モデル事業で検証する課題について、どのようにお考えか伺います。
 ところで、本モデル事業案が商店街振興の一環であることが報じられたことから、一部市民から学生アルバイトの時間延長は経済的利益を優先し、学生の本分である学問をおろそかにさせる愚策ではないかとの厳しい意見が寄せられました。奨学金に頼らざるを得ない当世の学生を支援する方策ならば別にあるだろうとのご意見でもありました。こうした市民感情を受け止めて、本事業の趣旨に理解を求めていく必要があります。この点についての市長のご所見を伺います。

村山 卓市長:事業化に向けましては、時間帯ごとの乗車人数や、学生や商店街関係者へのアンケートにより、事業の検証を行った上で、実施主体や料金体系、運行ルート等の運行形態を整理することが課題と考えております。
 学生の本分が学問であることは承知しておりますけれども、経済的な負担の軽減とともに、社会勉強、キャンパス内のみが学問の場ではないと捉えています。そうしたことを目的に、夜の飲食店等で働きたい学生がいるとお聞きしております。学生が各々の事情で負担のない範囲でアルバイトを行うことは、労務提供を希望する学生と、人手不足に悩む商店街の双方にとって有益なものと考えております。モデル事業の実施にあたって、その趣旨を丁寧に説明していきたいと存じます。

3.教育の独立性に関して
森 一敏議員:質問の第3は、教育の独立性に関してです。3月16日に、沖縄県辺野古沖で発生した船の転覆事故をめぐる、教育における政治的中立性が議論となっております。転覆事故により、平和学習に訪れていた同志社国際高校の生徒と船長の命が失われました。まず、この痛ましい事故で亡くなられたお二人に哀悼の念を申し上げます。
 この間の捜査や文科省の調査により、乗船に当たっての安全対策や、校外学習における危機管理マニュアルに、同校も運航団体側も認める著しい不備があったことが判明しております。失われるはずのなかった、将来ある若い命と辺野古の海を愛してきた船長の命が絶たれたことに痛切の念を禁じ得ません。事故の再発防止と校外学習等での安全管理の徹底を求める文科省通知が出されたことは当然のことであります。
 しかしながら、この事故をめぐる議論と対応が、同志社国際高校の平和学習に辺野古米軍基地建設反対運動に与するような政治的中立性を侵す傾向があるとの論調に傾き、5月22日、文科省は教育基本法第14条の政治的活動の禁止規定に違反したと、基本法制定後初めて認定し、是正指導を行いました。
 これに対し、元文部科学事務次官の前川喜平さんが政治的圧力である、「政府が中立性を判断してはならない」と異論を唱えたのをはじめ、6月9日には、長崎の被爆者ら13団体が共同抗議声明を発表して、「平和教育活動を萎縮させる」と松本文科大臣と高市総理、自民党総裁宛に送付しました。その中で、法の規定を恣意的に解釈したもので、学校教育への国の不当な介入支援に当たる。安全面の方へ配慮不十分だったとして、行政指導などを行うのは当然にして、政治的中立性に反するというのは乱暴すぎる。沖縄や長崎、広島を訪れるのは、正しく歴史を知るため、政治に批判的な見解を排除することは、思想統制につながっていくのではないかと強い危機感を表明しております。私も同様の危機感を共有いたします。
 教員を目指して、教育基本法を学んだとき、脳裏に刻まれた第10条は、「教育は不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。教育行政は、この自覚のもとに教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない」と書かれ、これを戦争反省から導き出した教育の政治からの独立性の原則と理解いたしました。2006年教育法基本法改正でも「不当な試合に服することなく」は第16条に残され、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであると規定されました。
 政治教育については、第14条で「良識ある公民としての必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならなく、法律に定める学校は、特定の政党を支持し、またはこれに反対するための政治教育、その他政治的活動をしてはならないと、政党活動や選挙運動に教育を利用してはならないと規定しているものです。その線引きは曖昧です。法の精神に照らし、行政権力の介入は抑制的であるべきです。
 折りに触れて、平和教育の大切さを語り、教育現場での実践を奨励してこられた野口教育長は、痛ましい海難事故に端を発し、教育の中立性や独立性をめぐる論争に行き着いた経過をどのように捉えておられますか。ご所見をお聞かせください。その上で、平和教育や政治教育、主権者教育のあり方についてお考えを伺います。

野口 弘教育長:沖縄県辺野古沖での痛ましい海難事故に端を発し、教育の中立性や独立性をめぐる論争に行き着いた経過への所見と、平和教育や政治教育、主権者教育のあり方についてお尋ねがございました。今回の事案につきましては、文部科学省は、当該校の所轕庁である京都府と連携した様々な確認や、現地調査をもとに、現行の教育基本法が制定された2006年以降、国として今回初めて教育基本法第14条第2項違反との見解を示したことは承知をしており、教育行政に携わる者として、この見解を真摯に受け止めたいと思っております。
 一方、この見解により、私は、現実の政治的課題を扱う主権者教育や政治教育、平和教育、さらには幅広く展開されている探究学習の取り組みが萎縮してしまってはならないとも思っており、このことに関連し、松本洋平文部科学大臣は、「平和に関する学習は極めて重要な教育活動である。基地が存在する場所を含めて、現場を訪れることを避ける必要はない。学習指導要領に基づき、多様な見方や考え方を提示して、適切に平和に関する学習や主権者の教育を行うことが重要なことと述べられております。
 私といたしましては、これまでもそうでありましたが、これからも教育の中立性や独立性を定めた教育基本法はもとより、日本国憲法、学校教育法等を遵守し、学習指導要領にのっとり、多角的・多面的な見方や考え方の視点を大切にしながら、本市での主権者教育、政治教育、平和教育、探究学習を進めてまいります。以上でございます。

4.トキの放鳥と連動した金沢の環境保全型農業の推進について
森 一敏議員:質問の第4、トキの放鳥と連動した金沢の環境保全型農業の推進について伺います。昨今では、明るい希望を感じさせる出来事として、石川県がトキの放鳥を行いました。5月31日、予定されていた18羽のうち、木箱を一斉に開けて放つハードリリースで8羽が飛び立ちました。残りの10羽は、邑知潟のゲージで2週間ほど飼育したのちに、扉から飛び放つのを待つソフトリリースが行われたところです。GPSによる位置情報が報じられると、定着に向けての期待が高まります。野生定着の鍵は、餌場とねぐらを探し当てての群れの形成と言われます。その日が来るのを楽しみにしております。
 ところで、放鳥事業は、石川県と能登地域トキ放鳥受け入れ協議会が実施主体であるため、放鳥イベントには、村山市長も前前議長も招待がかからなかったとのことでありますが、だからといって金沢市は無関係とは言えないと思います。トキの飛翔能力から金沢への飛来も十分にあり得ることです。それに備えての環境政策の推進、とりわけトキの餌となる湿地や水田に生息する生き物、ドジョウやカエル、オタマジャクシ、バッタやコオロギなどの昆虫、ミミズやサワガニ、マルタニシなどの生息できる環境を回復させる環境保全型農業を進展させることが条件になります。
 私は2023年12月、定例月議会で国のみどりの食料システム戦略に関わり、環境に配慮した持続可能な農業の振興と、食料の安全確保に向けた取り組み、みどりの食料システム法に基づく基本計画、生産者との意思の疎通、さらには所得補償にもつながる農産物の高付加価値化、中でも有機栽培や自然栽培の手法の導入、有機肥料の生産・利用拡大、市場確保策、石川県が市町と連携して導入する特別栽培米の学校給食提供の意義と課題などについて見解を伺いました。あれから3年が経過し、金沢の環境保全型農業はどのように進捗を見ているでしょうか。現況と今後の見通しについてお聞かせください。

村山 卓市長:続いて、トキの放鳥と関連し、環境保全型農業についてであります。この取組面積につきましては、令和7年度に国の環境保全型農業の取扱いが変更されまして、冬期の田んぼへの水張りが支援の対象外となりましたことから、この取組面積が本市では減少しておりますけれども、環境負荷低減の取り組みは重要でありますことから、金沢の農業と森づくりプラン2030に基づきまして、現在、特別栽培米の栽培マニュアルを作成するほか、県やJAとも連携して、環境にやさしい肥料を用いた新たな栽培技術の確立に取り組むなど、環境保全型農業を推進しているところであります。
 今後は、環境保全型農業に関する市民への啓発・普及を通じて需要拡大を図るとともに、環境負荷低減により生産された農産物の付加価値向上にも努めまして、トキの飛来にもつながるよう取組面積を拡大していきたいと存じます。

5.第6次障害者計画策定費について
森 一敏議員:第5に、第6次障害者計画策定について伺います。今年度、本市は、次期第6次障害者計画、第8次第8期障害者福祉計画、第4期障害児福祉計画を策定いたします。それに先立ち、昨年実施されたアンケート調査の結果が公表されております。そこから読み取れる課題やニーズは多岐にわたっていますが、障害のある人の立場からは、就労と所得、移動支援や行動援護など外出支援、医療費負担、住まい、在宅支援、障害への理解と差別の解消が求められ、市民、事業者等では災害時の避難への意識が上向いているように感じられます。
 本市として、アンケート調査結果や市民フォーラムでの意見集約などを通じ、次期計画策定での重点課題を抽出し、策定の方向性を導き出していきますが、そのプロセスで留意する事柄についてご所見を伺います。策定作業の進め方、スケジュールを伺うとともに、当事者や家族、関係者、事業者等の意見反映のための手続きは、どのように組み込まれるのか、お聞かせください。

村山 卓市長:第6次障害者計画につきまして、昨年度実施した障害のある方や市民等へのアンケートなどからは、障害に対する理解が十分に行き届いていない現状が見受けられまして、心のバリアフリーの推進にさらに取り組む必要があること、また、障害のある方の社会参加に対する意欲が向増し、支援ニーズがより高まっていることなどの課題があったと捉えております。
 次期計画では、こうした課題を踏まえた今後の障害者施策の方向性について、庁内での検討をはじめ、障害のある方やその家族、関係団体や施設従事者、学識経験者から構成される金沢市障害者施策推進協議会におきましても、十分な議論を行い、計画策定に取り組んでまいります。
 次期計画策定に向けた作業の進め方や具体的なスケジュールにつきましては、今後、金沢市障害者施策推進協議会の下に置きます障害者計画策定専門委員会において協議をいたします。まずは、専門委員会で計画の骨子を作成し、市民フォーラムにおいて意見を求めますほか、パブリックコメントを実施していくこととしておりまして、当事者やご家族、関係者、事業者等の声を計画にしっかりと反映させ、今年度末を目途に取りまとめをしてまいります。

6.市民のつぶやきから
森 一敏議員:質問の第6に、市民のつぶやきから申します。その第1、昨年、伏見川水系における指針値を大きく上回るPFAS汚染の問題が明るみに出ました。沿線住民からは、その後どうなっているんやろうとの声を聞きます。継続している河川水調査の結果に、汚染濃度低減の変化が現れているようですが、昨年下半期以降の濃度測定結果の推移をどう評価しているか、お聞かせください。また、排出源として特定された施設での対策はどう進捗してきたのかも明らかにしてください。
 関連して第2です。今年に入り、白山市湊町地内のDIC株式会社から、同社北陸工場、敷地内の地下水から国の指針値を超過したPFOSおよびPFOAが検出されたことが大きく報じられたことから、伏見川沿線住民の関心は高まっております。
 山科地内の伏見川で、「めっきり魚を見なくなった」といぶかるお話を最近聞くことがありました。もちろん、これだけでPFAS汚染との因果関係を云々することはできませんが、目視体感での記憶を裏付けられるような、伏見川の魚類生息と経年追跡した調査データを探しましたが、見つけることはできませんでした。
 生き物の生息の変化は、生態系の変化にもつながる要素ですから、金沢市生物多様性地域計画の推進の中で、こうした問題にアプローチできる事業計画や、例えば市民ウォッチャー活動の展開を組み込むことはできないかとの思いに駆られました。この点について、本市の受け止めを伺って、私の質問を終わらせていただきます。

村山 卓市長:最後に、生物多様性の保全のため、身近な生き物の生息状況を調査するということは、豊かな自然環境とそこに生息する生き物のつながりや、その変化を把握する上で重要と捉えています。
 現在、金沢市生物多様性地域計画には、市民ウオッチャー制度による動植物の生息情報の収集が盛り込まれておりますが、生息状況の調査には様々な手法がございますことから、関係団体や他都市の調査事例などを参考にし、今年度実施する本計画の中間見直しの中で、専門家の意見をお聞きしながら、必要な調査について検討していきたいと考えております。私からは以上です。

川端 淑愛環境局長:伏見川水系のPFASの汚染のその後について、昨年度下半期以降の濃度測定結果の推移の評価並びに汚染源施設の対策の進捗についてのお尋ねがございました。
 PFOSおよびPFORが高濃度で検出された伏見川上流3地点では、昨年度下半期以降2回、水質調査の結果が出ており、令和7年5月に1万ナノグラム/Lと最も高い濃度を検出した地点での濃度は、令和7年12月が3,500ナノグラム/L、令和8年3月が2,807ナノグラム/Lと推移しております。依然として、国が定める指針値の50ナノグラム/Lを大きく超過していることから、引き続き、国の手引に基づき水質調査を実施するとともに、市民の不安に寄り添い、適切な情報発信に努めてまいります。
 また、排出源である、産業廃棄物処理施設の事業者は、遮水シート等を敷設し、雨水の浸透を防止する対策工事を行う予定でありますが、令和7年8月の大雨により、処理施設への道路が崩壊し、通行止めとなり、迂回を余儀なくされております。事業者からは、迂回路は幅員が狭く、対策工事に必要な資材や重機の搬入が困難なことから、通行止め道路の規制解除を待って対策を行うと聞いております。本市としては、道路が復旧次第、対策工事に着手するよう事業者に要請してまいります。以上でございます。

◪議会議案「教育基本法第14条第2項の運用方針及び認定基準の明確化を求める」意見書案

【提案理由説明 】
議席番号32番 みらい金沢 森 一敏

 提出会派を代表し、ただいま上程されました議会議案第3号 教育基本法第14条第2項の運用方針及び認定基準の明確化を求める意見書案の提案理由を説明いたします。
 一昨日の6月23日は、81周年の沖縄慰霊の日でありました。沖縄県知事公室平和・地域外交推進課は、公式ホームページに沖縄戦の概説を掲載しています。それによれば、1945年3月26日、那覇市西方の慶良間諸島に、4月1日に沖縄本島中部の読谷村に米軍が上陸して以降、首里城をめぐる40日間の激戦を経て、南部地域が住民を巻き込んだ凄惨な地上戦となりました。守備隊である第32軍の牛島中将が自決し、組織的な戦闘が終結したこの6月23日が沖縄慰霊の日と定められ、沖縄県民9万4,000人、沖縄出身者もふくむ日本軍9万4,136人、アメリカ軍1万2,520人に上る戦争犠牲者を慰霊し、国の内外に対し、不再戦と平和を誓ってきたのです。

 私は、読谷村のチビチリガマ、南部南風原の地下壕に設置された陸軍病院の跡、その分室として600人以上の負傷兵を収容した糸数壕(アブチラガマ)をフィールドワークした経験があります。また、当時、鉄血勤皇隊員とともに医療に当たった経験を人命軽視の玉砕主義への悲憤と慟哭を記した『青年医学徒の沖縄戦回想記』の著者、金沢赤十字病院名誉院長遠藤幸三さんの最晩年の証言をお聞きしたことも思い出されます。
 玉城デニー知事は、沖縄全戦没者追悼式における平和宣言で次のように述べました。「沖縄戦の実相にふれるたびに、戦争というものはこれほど残忍でこれほど汚辱にまみれたものはありません。全てを失ったと言っても過言ではない81年前のあのときから、今日のような美しい島々を取り戻すまでに、先人たちの懸命な努力があったことを、私たちは忘れてはなりません。しかしながら、沖縄には今なお広大な米軍基地が存在し、過重な基地負担と基地から派生する諸問題により人間の安全保障が脅かされる現状が続いています。戦争という手段を否定し、戦争によらない課題解決を追求することにより、日本国憲法にうたわれる恒久の平和とその過程としての核廃絶を目指すことは、空虚な理想論などではなく、取り組むべき責務として求められているのです。」

 沖縄が希求する平和とは、鉄の暴風に県民すべてが巻き込まれた沖縄戦史の継承と、その歴史と切れ目なく今日に持ち越されてきた基地の島の解決であることが訴えられました。私たちも沖縄の過去と現在に学び、向き合うことが求められていると思います。次の時代を生きる子どもたちの学びが殊更に重要であることは論を待ちません。
 このように、平和のうちに共に生きられる未来を拓こうと自治体を挙げて大義に挑む沖縄において、その現地学習の最中に海難事故により若い命を含み尊い人命が失われたことは、かえすがえすも痛切の念に堪えません。二度と事故を起こさないための検証と再発防止策が徹底されねばなりません。
 しかしながら同時に、文部科学省が、同志社国際高校の辺野古現地学習を、政治活動を禁じた教育基本法第14条第2項に違反すると初めて認定し、是正指導を行ったことは、戦争の惨禍から生まれた教育における憲法とも評される教育基本法立法の精神をいかに認識し、その尊重の立場に立った判断であったのか、深い疑問を禁じ得ません。

 教育基本法は、教育の目的を、教育は人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民を育成することと謳い、2006年の法改正でも、この規範は維持されました。この目的条項と対をなすのが、第14条です。主権在民を担う主権者たる良識ある公民に必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならないと政治教育の責務を明記した上で、その第2項で、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動に限って禁じているのです。ここには、「政治的中立」なる文言はありません。第15条の宗教教育も同様の趣旨をもって規定されています。
 因みに、1954年制定の義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法でも、その第3条で禁じているのは、特定の政党を支持させる等の教育の教唆及びせん動としています。今回の事案において、教育基本法第14条第2項に違反したと認定した教育とは一体何を指すのか、何が抵触したのか判然としません。

 教育基本法を考えるうえで、さらに重要なのは、旧法第10条教育行政「教育は不当な支配に服することなく国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。」改正基本法では第16条「教育は不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものである。」との規定です。教育の独立性の確保です。
 これは、戦前の軍国主義に教育が統制動員され、多くの国民が戦地に駆り出されたことの反省が立法の精神です。この根幹の立法趣旨が、教育実践に対する行政権力の介入を抑制し、教育基本法違反との認定と是正指導を80年間にわたって行わせてこなかったのです。今回の文部科学省見解と是正指導は、教育行政に求められる教育の独立性の尊重を踏み越える政治的介入ではないかとの疑念や批判が上がっているゆえんです。
 報道によれば、すでに修学旅行等で行われる平和学習の現地学習において、基地問題をはじめ現代の課題をコースから外したり、ガイド内容で触れないように求める教育現場の萎縮が始まっていると伝えられています。今日の政治問題を学習対象から避ける動きです。これを誘発した文部科学省の違反認定と是正指導は、教育基本法の立法趣旨に矛盾しない教育内容に対する行政判断であったのかが問われています。教育行政が恣意的に法規定を解釈し、権限を濫用することは許されません。
 私たちみらい金沢は、こうした傾向が広がれば、子どもたちに保障されねばならない主権者たる良識ある公民に必要な政治的教養を身につける機会を奪い、国の意思に従順な国民が育成されるおそれを憂慮するものです。それを防ぐには、文部科学省は今回の教育基本法第14条第2項違反の認定を検証したうえで、教育の自主性の尊重を基本として、日本全国の教育機関が明確に理解できる認定基準の提示が求められると考えます。

 よって、本意見書では、そうした立場から、国に対して、教育基本法第14条第2項の運用方針と認定基準を明確化する責任を果たすよう求めるものです。議員各位におかれては、本意見書の趣旨をご賢察のうえ、満場のご賛同をもって採択いただけますよう要請し、提案理由説明といたします。

 

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著者

森 かずとし

森 かずとし

選挙 金沢市議会議員選挙 (2023/04/23) [当選] 4,413 票
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金沢市議会議員選挙

肩書 社会民主党石川県連合副代表 市民の政策研究会共同代表
党派・会派 無所属
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