2026/9/11
こんにちは。
福井市議会議員選挙に挑戦予定の大谷たかまさです。
これまで福井アリーナについて、民設民営の仕組み、公費投入、サンドーム福井との役割分担、交通問題、建設費、完成後の評価、市民利用などについて考えてきました。
今回は、私自身の関心が最も強いテーマの一つでもある、「福井アリーナは災害時にどのような役割を果たすのか」について考えてみたいと思います。
結論から言えば、現在の事業計画では、福井アリーナは平常時のスポーツ・イベント施設だけではなく、災害時には帰宅困難者や物資の一時集結などを担う施設としても想定されています。また、大地震時の損傷を抑えることを目標とした「耐震安全性Ⅱ類」の建物とする方針も示されています。
私は、この防災面の役割について、もっと市民に知られてもよいと思っています。
■ アリーナは「人が集まる施設」だからこそ、災害時にも意味がある
福井アリーナは、平常時にはプロスポーツやコンサート、各種大会、市民利用など、多くの人が集まる施設として計画されています。
延床面積は約1万3,000平方メートル。
プロスポーツ時には約5,000席を備える計画です。
こうした大規模施設には、災害時にも大きな可能性があります。
広い屋内空間がある。
多くの人を収容できる。
トイレがある。
電気設備がある。
物資を集められる空間がある。
福井駅にも近い。
平常時にはイベントのための設備でも、災害時には人や物資を受け入れる拠点として活用できる可能性があります。
■ 現在の計画では「帰宅困難者」と「物資の一時集結」を想定
現在公表されている事業計画では、防災上の配慮として、「災害時における帰宅困難者や物資の一時集結等の役割を担うアリーナ」と明記されています。
これは福井駅近くに整備する施設だからこそ重要だと思います。
例えば大規模地震が発生し、鉄道が止まった場合を考えてみます。
駅周辺には、
県外からの観光客。
通勤・通学者。
コンサートやスポーツ観戦に来ていた人。
買い物中の人。
多くの人が取り残される可能性があります。
特にイベント開催中に災害が起きれば、アリーナ内だけでも数千人がその場にいることになります。
その人たちを安全に留める場所があるのか。
駅周辺の帰宅困難者をどこへ誘導するのか。
こうした問題は、施設完成前から考えておかなければなりません。
■ 「避難所」と「帰宅困難者の一時滞在場所」は同じではない
ここは少し注意が必要です。
大きな建物だからといって、そのまま地域住民が長期間生活する避難所になるとは限りません。
現在公表されている資料で明確に示されているのは、
帰宅困難者への対応。
物資の一時集結。
などです。
したがって、現時点で福井アリーナが一般の指定避難所としてどのように位置付けられるのかについては、別途確認が必要です。
私は、この区別を曖昧にしてはいけないと思います。
「防災にも使えます」
というだけでは、市民には具体的な役割が分かりません。
誰を受け入れるのか。
何時間、何日間を想定しているのか。
誰が開設するのか。
誰が運営するのか。
ここまで決めて初めて、本当に災害時に機能する施設になります。
■ 物資拠点としても可能性がある
もう一つ、計画に示されているのが「物資の一時集結」です。
これは大規模災害では非常に重要です。
全国から支援物資が届いても、
どこに降ろすのか。
誰が仕分けするのか。
どこへ届けるのか。
という物流が機能しなければ、必要な人へ届きません。
能登半島地震でも、道路の寸断や物流網の混乱によって、物資輸送は大きな課題となりました。
広い屋内空間を持つアリーナが、
物資を一時保管する。
配送先ごとに仕分けする。
トラックへ積み替える。
という役割を担えるのであれば、防災上大きな価値があります。
■ ただし「広い建物がある」だけでは防災拠点にはならない
ここで私は、消防職員として災害対応を経験してきた立場から、特に重要だと思うことがあります。
それは、建物だけでは災害対応はできないということです。
例えば物資拠点として使うのであれば、
トラックが進入できるのか。
荷物を降ろせる場所があるのか。
停電時にも照明が使えるのか。
非常用電源は何時間持つのか。
通信手段は確保されているのか。
断水した場合のトイレはどうするのか。
人員は誰が確保するのか。
こうした運用まで考えておかなければなりません。
帰宅困難者を受け入れる場合も同じです。
毛布。
水。
食料。
携帯電話の充電。
情報提供。
トイレ。
要配慮者への対応。
これらが必要になります。
つまり、防災施設としての価値は、建物の大きさではなく、災害時に実際に運用できるかどうかで決まるのです。
■ 「耐震安全性Ⅱ類」とは何を意味するのか
計画では、福井アリーナについて、大地震時の損傷を抑えることを目標とした「耐震安全性Ⅱ類」とすることが示されています。
これは、一般的な建物よりも高い耐震安全性を確保し、大地震後にも建物の機能をできるだけ維持することを念頭に置いた考え方です。
災害時に活用する施設が、地震そのもので使用不能になってしまえば意味がありません。
だからこそ、災害後にも使える建物にすることは重要です。
一方で、耐震性能が高いことと、災害時に実際に施設が使えることは、完全に同じではありません。
建物が無事でも、
電気がない。
水がない。
通信できない。
運営する人がいない。
ということはあり得ます。
したがって、建物性能と運用計画の両方を準備する必要があります。
■ 民設民営の施設を、災害時に誰が動かすのか
ここは福井アリーナならではの重要な論点だと思います。
福井アリーナは民設民営です。
通常時は民間企業が施設を運営します。
では、大規模災害が発生した瞬間、誰の判断で防災利用へ切り替えるのでしょうか。
行政なのか。
施設運営会社なのか。
双方の協定に基づくのか。
開設後の指揮命令は誰が担うのか。
ここが曖昧だと、せっかくの施設を十分活用できない可能性があります。
平常時から行政と運営会社の間で、
どのような災害で。
どのような用途に。
どの範囲を。
どのくらいの期間。
誰の責任で使うのか。
具体的に決めておく必要があります。
■ 防災訓練に実際に使ってほしい
私は、このアリーナが完成したら、ぜひ定期的な防災訓練にも使ってほしいと思います。
例えば、
数千人の帰宅困難者を受け入れる訓練。
大量の支援物資を搬入・仕分けする訓練。
停電を想定した非常電源の確認。
通信訓練。
消防、警察、自衛隊、行政、民間事業者による合同訓練。
こうした訓練を実際に行えば、「計画上は使える」ではなく、「本当に使える」施設になります。
防災計画は、紙に書くだけでは十分ではありません。
実際に人を動かして初めて、問題点が見えてきます。
■ 公費を投入するなら、防災価値も最大限生かしてほしい
福井アリーナには多額の公費が投入されます。
その公共的な価値を考えるとき、
スポーツ。
文化。
経済効果。
まちなかのにぎわい。
だけでなく、防災拠点としての価値も重要だと思います。
普段は市民を楽しませる施設。
災害が起きれば、市民や来訪者を守る施設。
そうなれば、アリーナの公共性はさらに高まります。
福井市の総合計画でも、近年の地震や豪雨を踏まえ、避難所環境や災害時の情報伝達体制など、災害対応力の強化が重要な課題とされています。
せっかく福井駅近くに新しい大規模施設を整備するのであれば、防災面でも最大限活用することを考えるべきです。
■ 「災害時にも使える」から「災害時に使える」へ
私は、ここが最も重要だと思います。
パンフレットに、「災害時にも活用できます」と書くだけなら簡単です。
しかし本当に必要なのは、災害が起きたその日に使える施設にしておくことです。
誰が鍵を開けるのか。
誰が人を誘導するのか。
備蓄はどこにあるのか。
何人受け入れられるのか。
電源や水は何日持つのか。
物資搬入車両はどこから入るのか。
行政と民間の役割はどう分かれるのか。
こうしたことまで具体化し、訓練する。
そこまで準備して初めて、「防災に強いアリーナ」と言えるのではないでしょうか。
福井アリーナをつくるのであれば、平常時だけ価値のある施設ではなく、有事の際にも福井の人たちを支える施設になってほしいと思います。
そのためにも、今後はアリーナの防災機能についても、市民に分かりやすく説明していくことが必要だと考えています。
本日もよろしくお願いいたします。
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