2026/9/8
こんにちは。
福井市議会議員選挙に挑戦予定の大谷たかまさです。
これまで福井アリーナについて、
第1回では「民設民営」という基本的な仕組み。
第2回では「なぜ公費を投入するのか」。
第3回では「サンドーム福井との役割分担」。
第4回では「周辺道路の渋滞」。
第5回では「建設費がどこまで増えてよいのか」。
という順番で考えてきました。
今回は少し視点を変えて、「アリーナが完成した後に、何をもって成功と判断するのか」という問題について考えてみたいと思います。
■ 建物が完成しただけでは「成功」とは言えない
大規模事業では、どうしても建設までの議論に注目が集まります。
建設費はいくらなのか。
公費はいくら入るのか。
いつ完成するのか。
どのような設備になるのか。
もちろん、どれも重要です。
しかし、本来の目的はアリーナという建物を完成させることではありません。
福井アリーナでは、年間来場者数39万人、年間の経済波及効果61億円などが期待されています。
つまり、この事業を評価するのであれば、
完成後に本当に39万人が訪れたのか。
本当に地域経済への効果が生まれたのか。
そこまで確認して初めて、この事業の成果を判断できると思います。
■ 「来場者39万人」の中身を見る必要がある
年間39万人という数字は分かりやすい指標です。
しかし、私は単純な人数だけでは不十分だと思っています。
例えば39万人が来ても、その大半が福井市民で、イベント終了後すぐに帰宅するのであれば、地域経済への波及は限定的かもしれません。
一方で、県外から来た人が、
福井駅周辺で食事をする。
ホテルへ宿泊する。
翌日に県内を観光する。
お土産を買う。
という行動をすれば、新しい消費が県内へ持ち込まれます。
だからこそ、完成後には、「何人来たか」だけではなく、「どこから来て、福井で何をしたのか」まで分析する必要があると思います。
■ 経済波及効果61億円も「予測」である
現在示されている年間61億円という経済波及効果は、事業計画段階の試算です。
年間48億円の需要増加を想定し、そこから一次・二次の波及効果を計算して61億円としています。
当然ですが、これは完成後に実際に61億円が生まれることを保証する数字ではありません。
来場者数。
イベント開催数。
県外客の割合。
宿泊率。
一人当たり消費額。
こうした前提が変われば、実際の効果も変わります。
だから私は、開業後にも改めて実績値を使って検証する必要があると思います。
計画時の予測をそのまま何年も使い続けるのではなく、「実際にはどうだったのか」を毎年確認することが大切です。
■ サンドーム福井とのすみ分けも結果で確認する
第3回では、サンドーム福井との役割分担について考えました。
福井アリーナは4,500~5,000人規模。
サンドーム福井は約9,000人規模。
対象とする市場が違うという説明がされています。
しかし、本当にすみ分けができたかどうかは、完成後にしか分かりません。
例えば、福井アリーナで開催されたコンサートのうち、これまで福井県では開催されていなかったイベントは何件あったのか。
サンドーム福井から福井アリーナへ移ったイベントはなかったのか。
福井県全体として、イベント開催数や来場者数は増えたのか。
こうしたことを確認すれば、「二つの施設が競合したのか、それとも県全体の市場を広げたのか」が見えてきます。
■ 渋滞についても「想定」と「現実」を比べる
交通対策も同じです。
完成前には、
公共交通を利用してもらう。
福井駅から徒歩で来場してもらう。
周辺への自動車流入を抑える。
といった対策が計画されるでしょう。
しかし、重要なのは完成後です。
実際に何%の人が鉄道を利用したのか。
何台の車が周辺へ流入したのか。
どの道路が混雑したのか。
周辺住民からどのような苦情が寄せられたのか。
これを測定し、想定と違えば改善する。
私は、これが必要だと思います。
大規模事業では、事前の予測が外れること自体はあり得ます。
問題なのは、予測が外れた後も同じ対策を続けることです。
■ 市民利用は本当に確保されたのか
福井アリーナはプロスポーツやコンサートだけの施設ではなく、県民・市民の利用も想定されています。
事業計画では、県民・市民利用の枠も組み込まれています。
だからこそ完成後には、
市民が年間何日利用できたのか。
利用料金はいくらだったのか。
学校や部活動、地域スポーツ団体が利用できたのか。
予約が取りにくくなっていないか。
こうした点も確認する必要があります。
行政が公費を投入する理由の一つに「市民が利用できる施設」という公共性があるのであれば、実際に市民が使えているかは非常に重要な評価項目です。
■ 民間事業として自立できているか
そして、もう一つ非常に重要なのが経営です。
第1回でも触れたように、現在の計画では、開業後に運営赤字が出た場合でも行政が赤字補填する仕組みではありません。
だからこそ、
運営収入はいくらだったのか。
想定どおりのイベントを確保できたのか。
維持管理費はいくらかかったのか。
借入金を計画どおり返済できているのか。
という点も重要です。
県議会でも、事業収支や借入返済の実現可能性について議論されています。
民設民営という以上、行政支援がなくても長期的に事業を継続できるのかということは、制度の根幹に関わります。
■ 成功指標を、完成前に決めておくべき
私は、ここが一番大切だと思います。
完成してから、
「人がたくさん来たので成功です」
「にぎわいが生まれました」
と言うだけでは、評価が曖昧になります。
だからこそ、完成する前に、
年間来場者数。
県外来場者数。
宿泊者数。
周辺消費額。
イベント開催数。
サンドーム福井への影響。
公共交通利用率。
周辺道路の交通量。
市民利用日数。
運営収支。
こうした指標をある程度決めておく。
その上で、
1年後。
3年後。
5年後。
と定期的に検証する。
これが、公費を投入する事業として必要なのではないでしょうか。
■ 「できたこと」を成果にしない
行政事業では、
施設を建てた。
制度を作った。
イベントを開催した。
という「実施したこと」が成果として扱われる場合があります。
しかし、本来の政策評価はその先にあります。
施設を建てた結果、何が変わったのか。
市民の暮らしにどのような効果があったのか。
地域経済は本当に活性化したのか。
投入した税金に見合った結果だったのか。
私は、そこまで確認する必要があると思っています。
福井アリーナも同じです。
完成はゴールではなく、むしろ検証のスタートです。
■ 「失敗を認められる仕組み」も必要
そして、少し踏み込んで言えば、政策には、「想定どおりいかなかった」と認められる仕組みも必要だと思います。
もし開業後に、
来場者が想定を大きく下回る。
渋滞が想定以上に深刻になる。
市民利用が進まない。
経済効果が十分に出ない。
ということが分かったのであれば、計画を修正すればよいのです。
イベント誘致の方法を変える。
交通対策を見直す。
市民利用の仕組みを変更する。
周辺店舗との連携を強化する。
行政政策は、最初の計画を守り抜くことが目的ではありません。
結果を見ながら改善し続けることが目的です。
■ 福井アリーナを本当に福井の財産にするために
福井アリーナには、大きな期待が寄せられています。
一方で、多額の民間資金と公費を使う大規模な事業でもあります。
だからこそ、「造ったから成功」でも、「人が来たから成功」でもなく、当初掲げた目的を本当に達成したのかを数字で検証してほしいと思います。
39万人という来場者目標。
61億円という経済波及効果。
中心市街地のにぎわい。
市民利用。
公共交通への転換。
サンドーム福井との役割分担。
そして、民間事業としての持続可能性。
こうしたものを総合的に確認する。
そして想定どおりでなければ改善する。
そこまでやって初めて、福井アリーナを長期的に福井の財産として育てることができるのではないでしょうか。
福井アリーナの議論は、建設するかどうかだけではありません。
建設した後に、どう評価し、どう育てていくのか。
私は、その議論も今の段階から始めておく必要があると思います。
本日もよろしくお願いいたします。
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