2026/9/7
こんにちは。
福井市議会議員選挙に挑戦予定の大谷たかまさです。
これまで福井アリーナについて、
第1回では「民設民営」という基本的な仕組み。
第2回では「なぜ公費を投入するのか」。
第3回では「サンドーム福井との役割分担」。
第4回では「周辺道路の渋滞」。
という順番で考えてきました。
今回は、これも非常に大きな論点である、「建設費が増えた場合、どこまで公費を投入することが許されるのか」という問題について考えてみたいと思います。
■ 福井アリーナの事業費はすでに大きく増えている
福井アリーナは、当初から現在の150億円という計画だったわけではありません。
2024年2月に示された基本計画案では、設計費と建設費を合わせて105億円程度が想定されていました。
その後、資材価格や人件費の上昇などを踏まえ、2025年8月に公表された事業計画では総事業費150億円となりました。現在の資金計画では、国・県・市が計60億円、民間側が90億円を負担する想定です。
つまり、数年前の想定からすでに事業費は大きく膨らんでいます。
もちろん、近年の建設費高騰は福井だけの問題ではありません。
人件費。
建築資材。
設備機器。
物流費。
さまざまなコストが上がっています。
そのため、「最初の計画から金額が増えた。それだけで計画がおかしい」と単純に判断することも適切ではないと思います。
しかし、公費を投入する事業である以上、「物価が上がったから仕方ない」で終わらせてもいけません。
■ 問題は「いくらになったか」だけではない
私は、建設費の議論で最も重要なのは、増えた金額を誰が負担するのかだと思っています。
例えば、事業費が150億円からさらに10億円増えたとします。
その10億円をすべて民間側が負担するのであれば、行政負担は変わりません。
一方、「事業費が増えたので、県と市にも追加支援をお願いします」となれば、市民の税負担にも関係してきます。
つまり、ニュースで、「建設費が160億円になった」という数字だけを見るのでは不十分です。
知りたいのは、その増額分を誰が負担するのか。
ここです。
■ 民設民営だからこそ、民間側のリスク負担も重要
第1回の記事でも触れましたが、福井アリーナは民設民営が基本です。
民間側が施設を整備し、所有し、運営します。
だからこそ、事業がうまくいった場合には民間側にも利益があります。
一方で、民設民営というのであれば、事業費が膨らんだ場合にも、一定のリスクを民間側が負うことが当然だと思います。
何か問題が起こるたびに行政が追加で支援するのであれば、利益は民間、リスクは行政という構図になりかねません。
これは避けなければならないと思います。
■ 一方で「絶対に追加支援するな」と言い切るのも単純ではない
ただし、この問題も簡単ではありません。
例えば、予想できなかったほどの急激な物価高騰によって、建設費が大幅に上がった場合。
当初の負担割合を完全に固定すると、民間側が事業継続を断念する可能性もあります。
その場合、「ここまで公費を投入して進めてきた事業を止めるのか」という別の問題が生まれます。
だから私は、追加支援を絶対に認めないと最初から結論を決めるのではなく、追加支援が必要になった場合には、
なぜ増えたのか。
民間側はどれだけ追加負担するのか。
規模や仕様を見直せないのか。
完成時期を変更することでコストを抑えられないのか。
行政が追加支援した場合、市民にはどのような追加的な利益があるのか。
そこまで検証した上で判断する必要があると思います。
■ 「建設費を下げる」という選択肢もある
建設費が上がったとき、「予定していたものを、そのまま造るにはさらにお金が必要です」という議論になりがちです。
しかし、選択肢はそれだけではありません。
例えば、
内装の仕様を見直す。
一部設備を簡素化する。
建物の規模を調整する。
後から増設できる設備は、開業時には設置しない。
こうした方法で建設費を抑えることも考えられます。
もちろん、単純なコストカットによって施設の安全性や必要な機能を落としてはいけません。
特に避難設備や消防設備、バリアフリーなどについて削減することはあってはならないと思います。
しかし、「必要な機能」と「あると魅力的な機能」を分けるという視点は必要です。
■ 「ここまで使ったからやめられない」には注意が必要
大規模事業で起こりやすいのが、「ここまでお金を使ったのだから、今さらやめられない」という考え方です。
しかし、本来はこれも分けて考える必要があります。
すでに使ったお金は戻ってきません。
重要なのは、これから追加で投入するお金に、それだけの価値があるのかということです。
仮に当初より事業費が大きく増え、採算性や経済効果の前提まで変わってしまったのであれば、もう一度事業そのものを検証する必要があります。
「最初に決めたから最後まで進める」ではなく、途中でも数字が変われば、その都度立ち止まって確認する。
これは行政事業でも民間事業でも大切なことだと思います。
■ 公費60億円という数字にも中身がある
現在の計画では、総事業費150億円のうち国・県・市で60億円を負担する想定です。
そのうち県については30億円の支援のうち15億円を国の交付金で賄い、実質的な県負担を15億円とする考え方が示されています。
こうした点も、市民へ丁寧に説明する必要があると思います。
単に、「税金60億円」というだけではなく、
国はいくら。
県はいくら。
市はいくら。
それぞれどの制度を使うのか。
市の一般財源はいくら必要なのか。
この内訳が分かれば、市民もより具体的に判断できます。
■ 税金の議論では「他に何ができたか」も必要
第2回でも触れましたが、税金には必ず別の使い道があります。
例えば福井市がアリーナへ15億円を支援するとすれば、その15億円を使って、
道路整備。
防災。
学校施設。
高齢者福祉。
子育て支援。
公共交通。
さまざまな政策を行うこともできます。
だからこそ、「アリーナが良い施設だから」だけでは十分ではありません。
他の政策へ使う場合と比較しても、アリーナへ公費を投入する価値があるのか。
この視点が必要です。
■ 建設費が増えれば「経済効果」も再計算すべき
もう一つ、私は重要だと思っていることがあります。
第2回の記事では、アリーナによる年間約61億円の経済波及効果が想定されていることをご紹介しました。
しかし、事業費が大きく増えれば、公費投入に対して得られる効果の割合も変わります。
例えば、同じ年間61億円の経済波及効果を見込む施設でも、100億円で造れる場合と、200億円かかる場合では、政策としての評価は当然変わります。
事業費を見直すのであれば、
経済効果。
収支。
借入返済。
利用者数。
こうした前提も合わせて再検証する必要があります。
建設費だけ最新の数字になり、経済効果だけ古い前提の数字が残る。
それでは適切な判断はできません。
■ 大切なのは「上限」を決めること
私は、行政が大規模事業を支援する場合には、「どこまでなら支援するのか」という線を明確にすることが非常に重要だと思います。
事業費が増えるたびに少しずつ追加していくと、最終的に当初想定とは全く違う金額になる可能性があります。
だからこそ、行政としての支援額はどこまでなのか。
それを超えた場合には民間が負担するのか。
計画そのものを見直すのか。
こうしたルールをできるだけ早い段階で市民へ示す必要があります。
■ 「完成させること」を目的にしてはいけない
福井アリーナについて最も避けなければならないのは、アリーナを完成させること自体が目的になることだと思います。
本来の目的は、
スポーツ振興。
交流人口の拡大。
福井駅周辺のにぎわい。
地域経済への波及。
市民が利用できる新しい場所。
こうした効果を生み出すことです。
建設費がどれだけ増えても、「もう決めたのだから造る」ではなく、その金額をかけても本来の目的を達成する価値があるのか。
常にそこへ戻って考える必要があります。
私は、福井アリーナに公費を投入すること自体を問題だとは考えていません。
しかし、公費を投入する以上、最初に決めた金額と、その後に必要になった追加負担を曖昧にせず、市民へ説明しながら進めてほしいと思います。
事業費が増えるなら、
なぜ増えたのか。
誰が負担するのか。
代替案はないのか。
そして増額後もなお、公費を投入するだけの価値があるのか。
そこまで確認して初めて、税金を使う大規模事業として納得できるのではないでしょうか。
本日もよろしくお願いいたします。
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