2026/9/4
こんにちは。
福井市議会議員選挙に挑戦予定の大谷たかまさです。
前回の記事では、福井アリーナについて、「福井市が税金で建設し、行政が運営する市営アリーナではない」という基本的な仕組みを整理しました。
福井アリーナは民設民営を基本とし、民間が整備・所有・運営を担う計画です。
一方で、完全な民間事業でもありません。
2025年8月に示された事業計画では、総事業費150億円に対し、国30億円、福井県15億円、福井市15億円の計60億円を公的資金で賄い、残る90億円を民間側で調達する計画となっています。
では、ここで当然の疑問が出てきます。
「民間が建てて、民間が運営する施設なのに、なぜ税金を投入するのか?」
今回は、この点を考えてみたいと思います。
■ 民間企業のために税金を出すのか
まず、公費投入の是非を考えるときに重要なのは、「誰が所有する施設なのか」だけではなく、「公費を投入することで市民にどのような利益が返ってくるのか」という視点だと思います。
例えば道路や公園であれば、行政が整備して市民が利用するので、税金を使う理由は分かりやすいでしょう。
しかし、福井アリーナは民間所有です。
そのため、「民間企業の施設を税金で支援するのはおかしいのではないか」という疑問が出るのは当然です。
一方、福井市はアリーナを、北陸新幹線開業後の交流人口拡大や福井駅周辺のにぎわい創出につながる中核施設と位置付けています。民間ノウハウを生かしながら、スポーツ、文化、エンターテインメント、コンベンションなどを年間を通じて開催し、地域経済へ波及させることを期待しています。
つまり行政側の考え方は、「民間企業を儲けさせるために支援する」のではなく、「民間投資を呼び込み、その事業によって地域全体へ公共的な効果を生み出すために支援する」というものです。
ここが、公費投入を考える出発点になります。
■ 行政が期待しているのは「アリーナの中」だけではない
アリーナの効果は、入場料収入だけで考えるものではありません。
例えば県外から5,000人がコンサートに来たとします。
その人たちが電車を利用する。
福井駅周辺で食事をする。
ホテルに泊まる。
お土産を買う。
翌日に県内を観光する。
そうなれば、アリーナで発生した消費が、飲食、宿泊、小売、交通、観光などへ広がっていきます。
現在の事業計画では年間来場者数を約39万人と見込み、アリーナ運営による県内の経済波及効果を年間約61億円と試算しています。また、150億円の建設による経済波及効果は約219億円とされています。
行政が公費を投入する根拠の一つは、このような地域全体への効果を期待しているからです。
■ 「経済波及効果61億円=61億円儲かる」ではない
ただし、この数字は注意して見る必要があります。
「年間61億円の経済波及効果」と聞くと、「毎年61億円の利益が福井県に入ってくる」ようにも聞こえますが、そういう意味ではありません。
経済波及効果とは、新しい需要が発生することで、原材料の仕入れ、生産、雇用者所得、消費などへ需要が波及していく効果を産業連関表などを用いて推計したものです。
実際、福井アリーナの61億円という試算も、年間48億円の需要増加を前提として、一次・二次波及効果まで計算したものです。
したがって、「税金を60億円投入すれば、毎年61億円返ってくる」という計算ではありません。
まして、61億円がそのまま県や市の税収になるわけでもありません。
ここは冷静に区別する必要があります。
■ 大切なのは「その消費は本当に新しく生まれるのか」
私は、経済波及効果を見るときに、もう一つ重要な視点があると思っています。
例えば、福井市民がアリーナで5,000円使ったとしても、その5,000円を本来は市内の映画館や飲食店などで使う予定だったのであれば、福井全体で見た消費が丸々5,000円増えたとは限りません。
一方で、これまで福井県に来なかった県外の人がコンサートを目的に福井へ来て、宿泊して飲食してくれたのであれば、新しい需要を県外から持ってきたことになります。
だから私は、「39万人来るか」だけではなく、「どこから来るのか」「何泊するのか」「周辺でいくら使うのか」を見ることが重要だと思います。
アリーナそのものの集客だけでなく、そこで生まれた人の流れを地域経済へどうつなげるか。
ここまでできて初めて、公費を投入する意味が大きくなります。
■ 税金を使うなら「機会費用」も考えなければならない
さらに忘れてはいけないのが、税金には別の使い道もあるということです。
福井市の15億円をアリーナへ使えば、その15億円を別の政策へ使うことはできません。
道路。
防災。
学校。
福祉。
公共交通。
地域コミュニティ。
子育て支援。
税金の使い道はいくらでもあります。
したがって、「アリーナに経済効果があります」だけでは、公費投入の十分な説明にはならないと思います。
重要なのは、「ほかの政策に使う可能性もある税金を、なぜアリーナへ投入することが福井市民にとって有益なのか」という比較です。
ここを行政には丁寧に説明してほしいと思います。
■ 公費を呼び水に、どれだけ民間資金を引き出せるか
一方で、今回の計画には別の見方もできます。
行政だけで150億円の施設を建設するのではありません。
現在の計画では、公的資金60億円に対して、民間側が90億円を調達することになっています。
つまり、公費を「呼び水」として民間資金を引き出し、行政単独ではできない規模の事業を実現するという考え方です。
これは民設民営方式の大きな意味の一つでしょう。
ただし、それが評価できるのは、民間側もしっかりと事業リスクを負うことが前提です。
建設費が増えれば行政負担を増やす。
経営が苦しくなれば行政が支える。
大規模修繕でも行政がお金を出す。
もし将来的にそうなってしまえば、「民設民営」という言葉の意味は薄れてしまいます。
だからこそ、前回の記事で触れた「誰がリスクを負うのか」が重要になります。
■ 私が知りたいのは「いくら使うか」だけではない
福井アリーナについて報道を見ると、どうしても、
「建設費がいくらになった」
「公費がいくら投入される」
という金額が注目されます。
もちろん、非常に重要な情報です。
しかし、市民が本当に判断するためには、その先まで知る必要があります。
その公費によって何を実現するのか。
どれだけ民間投資を引き出せるのか。
県外からどれだけ新しい消費を呼び込めるのか。
その効果は福井駅周辺だけではなく、どこまで広がるのか。
そして、計画した効果が本当に出たのか、完成後に検証するのか。
ここまでセットで考えるべきだと思います。
■ 「税金を使うから反対」「経済効果があるから賛成」ではなく
私は、福井アリーナについて、
「民間施設に税金を使うのだから反対」
という一言だけでも、
「年間61億円の経済波及効果があるのだから賛成」
という一言だけでも、
十分ではないと思っています。
問われるべきなのは、投入する公費に見合う公共的な価値を、本当に福井にもたらせるのか。
ここだと思います。
福井県も、経済界が中心となって進めるアリーナを支援し、交流人口の拡大や地域経済の好循環につなげることを政策目的として掲げています。
であるならば、完成後には、「アリーナができました」で終わるのではなく、
来場者数。
県外客の割合。
宿泊者数。
周辺消費。
経済波及効果。
市民利用。
そして行政が負担した金額。
こうした数字を継続的に検証し、本当に公費を投入しただけの効果があったのか、市民に示していくことも必要だと思います。
税金を投入する以上、事業を始めるときの期待だけではなく、結果まで確認する。
それが行政の責任ではないでしょうか。
次回は、市民の方から私もよく聞く、「サンドーム福井があるのに、なぜ福井アリーナが必要なのか」という疑問について、両施設の規模や役割の違いを整理しながら考えてみたいと思います。
本日もよろしくお願いいたします。
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ホーム>政党・政治家>大谷 たかまさ (オオタニ タカマサ)>【第2回】民設民営なのに、なぜ福井アリーナに税金を投入するのか