2026/9/2
こんにちは。
福井市議会議員選挙に挑戦予定の大谷たかまさです。
消防団員の減少が全国的な課題となる中、総務省消防庁は「機能別消防団員」や「機能別分団」といった制度を進めています。
これは、すべての災害対応や訓練に参加する「基本団員」とは異なり、特定の活動や役割に限って参加する消防団員の仕組みです。
例えば、火災予防や広報を専門に担う団員、消防団OBの経験を生かす団員、そして大規模災害が発生したときに限定して出動する「大規模災害団員」などがあります。消防庁も、通常の消防団員だけでは人員が不足する大規模災害時に活動する分団を制度の一例として紹介しています。
私は、この制度そのものには大きな可能性があると思っています。
一方で、今後必ず検証してほしいことがあります。
それは、「機能別消防団員が何人増えたか」ではなく、「実際の大規模災害でどのように機能したのか」ということです。
■ 消防団員が減る中で増えている「機能別団員」
消防団員は全国的に減少しています。
令和6年4月1日時点の消防団員数は74万6,681人で、前年から1万5,989人減少しました。
一方、機能別消防団員は3万7,580人で、前年から2,890人増加しています。消防庁も、機能別団員の増加が新たな入団者確保につながっているとしています。
社会環境が変化し、仕事を持ちながら昔と同じようにすべての訓練や活動へ参加することが難しい人が増えています。
その中で、「すべてはできないけれど、この役割ならできる」という人に消防団へ参加してもらう考え方は、とても合理的です。
消防団OB。
医療従事者。
建設関係者。
ドローンを扱える人。
大型車両を運転できる人。
平常時は参加が難しくても、大規模災害時なら活動できる人。
こうした人材を地域防災に取り込めるのであれば、消防団の可能性は広がります。
■ 能登半島地震では消防団が大きな役割を果たした
令和6年能登半島地震では、消防団が非常に幅広い活動を行いました。
消防庁によると、石川県では1月1日から31日までに延べ約8,300人の消防団員が活動しました。
また、新潟県では延べ約8,000人、富山県では約2,700人、福井県でも約260人が活動しています。
活動内容も消火だけではありません。
発災直後には、
住民の安否確認。
避難の呼び掛け。
倒壊家屋からの救助。
傷病者の搬送。
火災現場での消火・救助。
その後には、
避難所の見回り。
給水。
炊き出し。
支援物資の搬入。
高齢者支援。
避難者名簿の作成。
家財の搬出。
道路上の障害物撤去。
防犯のための巡回。
など、非常に多岐にわたる活動が行われています。
これは消防団の大きな強みです。
消防団は地域に住んでいる人たちです。
どこに高齢者が住んでいるか。
どの道路が通れるか。
どこに重機があるか。
誰に声を掛ければ地域が動くか。
こうした「地域を知っている」という力は、外部から応援に入った消防隊には簡単に代替できません。
■ では、その中で機能別団員は何をしたのか
ここで私が知りたいのが、本題です。
能登半島地震で消防団が活躍したことは、消防白書からも分かります。
しかし、そのうち何人が基本団員で、何人が機能別団員だったのでしょうか。
大規模災害団員は何人参集したのか。
参集対象者のうち何%が実際に来たのか。
どのような任務を担ったのか。
基本団員の負担をどの程度軽減できたのか。
事前に設定されていた役割と、実際の現場ニーズは一致していたのか。
指揮命令系統は機能したのか。
必要な装備や訓練は十分だったのか。
私は、こうした検証こそ必要だと思っています。
消防庁は能登半島地震後、消防団を含む地域防災力のさらなる充実強化を進めています。
だからこそ、制度をさらに広げるのであれば、実災害での効果も同時に確かめる必要があります。
■ 令和8年熊本地震も、重要な検証機会になる
令和8年7月28日、熊本県では最大震度7の大きな地震が発生しました。
熊本県は直ちに災害対策本部を設置し、消防、警察、自衛隊などと連携して対応を進めています。
現時点では、まだ被災地での対応が続いています。
ですから今すぐ制度の成否を論じる段階ではありません。
まずは人命救助、避難生活、復旧・復興が最優先です。
そのうえで、時間がたち、災害対応を振り返る段階になったときには、今回もぜひ、機能別消防団員や大規模災害団員がどのように活動したのかを検証してほしいと思っています。
大規模災害は、制度の実効性が最もはっきり表れる場面だからです。
■ 「登録人数」が消防力ではない
私は、ここを最も重要なポイントだと思っています。
仮に、ある自治体で機能別団員が100人増えたとします。
数字だけを見れば、「消防団員を100人確保しました」と言えます。
しかし、大規模災害が発生したときに10人しか参集できなかった。
役割が決まっておらず、何をすればよいか分からなかった。
装備がなく、基本団員の補助に入ることもできなかった。
という状態であれば、本当に消防力が100人分増えたと言えるでしょうか。
逆に、30人しかいなくても、30人全員が参集し、
物資輸送。
避難所支援。
情報収集。
交通整理。
ドローンによる被害確認。
などを担い、その分だけ基本団員が救助や消火活動へ集中できたのであれば、大きな意味があります。
つまり、消防団員数と消防力は、必ずしも同じではありません。
必要なのは「名簿上の人数」ではなく、「災害時に動ける人数」です。
■ 基本団員を軽視してはいけない
一方で、機能別団員を増やせば、基本団員が少なくてもよいという話でもありません。
消防庁も、機能別団員は基本団員を補完する制度として位置付けてきました。
基本団員は、日頃から訓練を行い、
消火。
救助。
水防。
避難誘導。
警戒。
さまざまな活動に対応します。
災害が発生したとき、「何が起こるか分からない」という状況に対応できるのが基本団員です。
一方、機能別団員は特定の役割に特化しています。
この二つは競合するものではありません。
基本団員という土台があり、その上に専門的・限定的な機能別団員を組み合わせる。
その形が理想なのだと思います。
■ 検証するなら、何を見るべきか
今後、国や自治体が大規模災害を検証するときには、単純な活動人数だけではなく、少なくとも次のようなことを調べる必要があると思います。
参集率。
発災から活動開始までの時間。
活動内容。
活動時間。
基本団員との役割分担。
訓練内容が現場で役立ったか。
装備は十分だったか。
指揮命令系統に問題はなかったか。
基本団員の負担軽減につながったか。
そして、「この制度がなかった場合と比べて、地域の災害対応力は本当に高まったのか」という視点です。
そこまで見て初めて、制度の効果を評価できると思います。
■ 制度は「作ること」ではなく「機能すること」が目的
消防行政に限った話ではありません。
行政では、
制度を作った。
新しい事業を始めた。
参加者が増えた。
というところまでが成果として語られることがあります。
しかし、本来はその先があります。
その制度によって、市民の命は守られたのか。
現場の負担は減ったのか。
災害対応は速くなったのか。
投入した予算に見合う効果があったのか。
そこまで検証する必要があります。
機能別消防団員という仕組みは、これからの消防団を維持するための重要な選択肢の一つだと思っています。
だからこそ、「消防団員数を増やす政策」として終わらせてほしくありません。
実際の災害で機能し、市民の命や暮らしを守る制度として育てていく。
そのために、能登半島地震、そして今後行われる令和8年熊本地震の検証から、機能別消防団員の活動実績を丁寧に拾い上げ、全国へ共有してほしいと思います。
制度の価値を証明するのは、名簿に書かれた人数ではありません。
災害が起きたとき、実際に地域のために何ができたのか。
そこにこそ、本当の答えがあるのではないでしょうか。
本日もよろしくお願いいたします。
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ホーム>政党・政治家>大谷 たかまさ (オオタニ タカマサ)>「消防団員の数が増えた」で終わらせてはいけない――機能別消防団員は大規模災害で本当に機能したのか