2026/4/22
「最近、救急車が有料化されたらしい」
「軽症で呼ぶとお金を取られるって本当?」
こうした話題を、ニュースやSNSで目にする機会が増えました。
しかし、結論から言えば 日本で救急車そのものが有料化された自治体は存在しません。
では、なぜ「お金を払うケース」が出てきたのか。
今回は、その仕組みと実態を、制度面から分かりやすく整理します。
■救急車は今も原則「無料」
まず大前提として、日本の救急車は、
119番通報
救急車の出動
病院への搬送
この一連の流れに 利用者負担はありません。
これは全国共通で、消防(自治体)が税金で運営する公的サービスだからです。
「救急車に乗ったら運賃を払う」
「距離に応じて料金が決まる」
こうした制度は、日本にはありません。
■では、なぜ「支払い」が発生するのか?
近年話題になっているのは、
救急車ではなく、病院側で発生する追加料金です。
その正体が、
「選定療養費(せんていりょうようひ)」 という制度です。
■選定療養費とは何か
選定療養費とは簡単に言えば、「本来はかかりつけ医や一次医療で対応できる症状なのに、
大きな病院を選んで受診した場合に支払う追加料金」です。
もともと、
・紹介状なしで大病院を受診した場合
・軽症なのに高度医療機関を選んだ場合
に請求される制度でした。
これを 「救急車搬送」にも適用する自治体・病院が出てきた、それが「実質的な有料化」と言われる理由です。
■実際に導入されている自治体の仕組み
【茨城県】県全体での運用
茨城県では、県内の一定規模以上の病院で、救急車で搬送された患者のうち医師が「緊急性が低い」と判断した場合に、7,700円〜13,200円程度の選定療養費が請求されます。
支払いは、
・病院の窓口
・診療費とまとめて
行われます。
重要なのは、救急車の出動費ではなく、病院での追加医療費という点です。
【三重県・松阪市】市単位での導入
松阪市では、市内の複数の基幹病院で、救急車で搬送されたが入院に至らなかった軽症患者に対し、一律7,700円の選定療養費が請求されます。
これも同様に、
・消防は一切お金を取らない
・病院での判断・請求
という仕組みです。
■料金は「誰が」「いつ」払うのか
整理すると、こうなります。
誰が払う?
→ 患者本人(または家族)
誰に払う?
→ 消防ではなく「病院」
いつ払う?
→ 診察後、会計時に医療費と一緒に
どんな場合?
→ 医師が「緊急性が低い」「軽症」と判断した場合のみ
つまり、119番をした時点で請求されることはありません。
■なぜこの仕組みが導入され始めたのか
背景にあるのは、全国共通の課題です。
・救急車出動件数の増加
・軽症・非緊急の搬送が多い
・本当に重症な人への対応が遅れるリスク
この状況を放置すれば、救急医療そのものが立ち行かなくなります。
そのため、消防ではなく医療機関側で「適正利用」を促す仕組みとして、選定療養費が使われ始めたのです。
■「有料化」という言葉が招く誤解
ここで注意すべきなのは、
・救急車が有料になった
・119番をすると請求される
という理解は 誤り だという点です。
正しくは、「救急車は今も無料。ただし、軽症で大病院に搬送された場合、病院で追加料金が発生するケースがある」
これが現実です。
■今後、問われるのは制度より「説明責任」
この仕組みは、使い方を誤れば、
・受診控え
・本来必要な救急要請の躊躇
を生む危険性もあります。
だからこそ、
・どんな場合に請求されるのか
・請求されないケースは何か
・判断は誰が行うのか
を、自治体と医療機関が丁寧に説明し続けることが不可欠です。
■おわりに
救急車は、今も命を守る「最後の砦」です。
有料か無料かという単純な話ではなく、限られた救急資源を本当に必要な人に届ける。
そのための制度設計が、静かに始まっている、そう理解するのが正確でしょう。
福井市議会に挑戦する決意をしました。
大谷たかまさです。
命を守ってきた。
次は暮らしを守る。
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ホーム>政党・政治家>大谷 たかまさ (オオタニ タカマサ)>救急車は本当に有料化されているのか?――「料金を払う仕組み」の正体を正しく整理する