2026/7/14

「どうせ投票しても、何も変わらない」
そのような言葉を耳にすることがあります。
自分一人が投票しても結果は変わらない。誰に投票すればよいのか分からない。政治は一部の人だけで動いていて、自分の暮らしとは関係がない。
そう感じている方も、少なくないと思います。
しかし私は、政治活動を通じて、自分自身の選挙だけでなく、国政選挙や地方選挙の現場に触れる中で、投票には候補者の当落を決めること以外にも、大きな意味があると感じてきました。
それは、投票に参加する人が増えるほど、政治家が向き合わなければならない有権者の範囲も広がるということです。
選挙では、候補者がどれほど立派な政策を掲げていても、最終的には得票数によって当落が決まります。
投票率が低い選挙では、毎回欠かさず投票する固定支持層や、組織としてまとまった票の影響力が、相対的に大きくなります。
例えば、ある候補者を継続して支持する人が一定数いる場合、全体の投票数が少なければ、その票が選挙結果に占める割合は大きくなります。
反対に、これまで投票に行かなかった人たちが広く参加すれば、同じ固定票であっても、全体に占める割合は小さくなります。

もちろん、支持者を増やし、組織をつくり、信頼関係を築くこと自体が悪いわけではありません。日頃の政治活動を積み重ねてきた結果でもあります。
ただ、投票に参加する人が一部に限られれば、選挙結果に反映される民意の幅も狭くなりやすい。
私は、そこに低投票率の大きな課題があると考えています。
ここは、少し厳しい現実もお伝えしなければなりません。
投票率が低い状態では、政治家にとって、確実に投票する支持者の声を重視することが、選挙戦略として合理的になりやすい面があります。
これは、特定の候補者や政党、組織を批判するための話ではありません。
政治家個人の性格や道徳心だけの問題でもありません。
投票する人が限られていれば、その限られた票を確実に集めることが、当選へ近づく現実的な方法になります。これは、低投票率によって生まれやすい選挙の構造上の傾向です。
私は政治活動を通じて、国政・地方を問わず、さまざまな選挙の現場を見てきました。
その中で、投票率が低いほど、継続的に投票する層や、安定した支持基盤を持つ側の影響が相対的に大きくなることを実感してきました。
だからこそ、政治家に「幅広い市民の声を聞いてほしい」と求めるだけでは足りないと思っています。
幅広い市民の声を無視できない環境を、有権者自身が投票によってつくる。
それが、投票率を上げる大きな意味です。
私が本庄市議会議員選挙に立候補した理由の一つに、投票率を少しでも高めたいという思いがありました。
特に、私と同じ子育て世代の方々に、政治や市政をもっと身近に感じていただきたいと考えていました。
子どもたちの教育、子育て支援、学校給食、地域の安全、働く環境、将来のまちづくり。
政治や市議会で話し合われていることは、子育て世代の暮らしとも深くつながっています。

しかし、仕事や家事、育児に追われる中で、政治について知る時間を取ることが難しい方も多いと思います。
だからこそ、選挙期間中も、自分への支持をお願いするだけではなく、まず投票所へ足を運び、自分の意思を一票として示すことの大切さを訴えてきました。
今回、私は市議会議員に当選することができました。
一票を託してくださった皆さんには、改めて感謝しています。同時に、その一票の重みと責任を感じています。
一方で、本庄市議会議員選挙の投票率は42.90%でした。前回の47.99%から、5.09ポイント低下しています。

有権者の半数以上が投票に参加しない中で、市議会議員が選ばれたことになります。
当選という結果を得ることはできましたが、立候補した際の目標の一つだった「投票率の向上」は、果たすことができませんでした。
そのことには、率直に悔しさがあります。
もちろん、投票に行かなかった理由は一人ひとり異なります。
仕事や家庭の事情があった方、投票したいと思える候補者が見つからなかった方、政治や選挙を身近に感じられなかった方もいると思います。
そして、投票率の低さを、有権者だけの責任にするべきではありません。
政治家や議会の側にも、日頃の活動や政策を十分に伝えられているのか、市民の皆さんに政治を身近に感じてもらう努力ができているのか、振り返る責任があります。
私自身も、その一人です。
投票率の向上は、選挙の直前だけ「投票に行きましょう」と呼びかけても実現できません。
市議会で何が話し合われているのか。
税金の使い道は、どのように決まるのか。
市長と市議会は、どのような関係なのか。
市民の声は、どのように市政へ届くのか。
こうした政治や議会の仕組みを、普段から分かりやすく伝えていく必要があります。
特に、仕事や子育てに忙しく、政治に触れる機会が少ない世代にも、市政と日々の暮らしがつながっていることを伝えていきたいと思っています。
自分に投票してくださった方だけでなく、別の候補者を選んだ方、投票先を決められなかった方、そして今回投票に行かなかった方にも、市政に関心を持っていただきたい。
選挙が終わり、自分が議員になったからといって、この姿勢が変わることはありません。
むしろ、議員になった今だからこそ、果たせなかった目標に向けて活動を続ける責任があると考えています。
これまで投票に行かなかった人や、特定の政党や団体に属していない人たちまで選挙に参加するようになれば、政治家は、より幅広い有権者の声に向き合う必要が出てきます。
子育て、教育、福祉、防災、道路、公園、地域経済、働き方。
多くの市民が投票に参加するほど、政治家はさまざまな暮らしの課題を意識し、政策として応えていかなければなりません。

つまり、投票率を上げることは、単に選挙を盛り上げることではありません。
政治家を、より多くの市民の方へ向かせることでもあります。
選挙は、政治家を選ぶためだけの仕組みではありません。
政治家の行動や、政治が優先する課題を方向づける仕組みでもあるのです。
私には、これからの人生を通して取り組んでいきたいことがあります。
それは、投票率を少しでも高めていくことです。
選挙になれば、多くの人が自然に政治へ関心を持ち、自分の意思で一票を投じる。
投票することが一部の人だけの行動ではなく、社会の当たり前になる。
私は、そのような社会を目指したいと考えています。
もちろん、投票率は一人の政治家の力だけで大きく変えられるものではありません。
それでも、政治と暮らしのつながりを伝えること、市議会や行政の仕組みを分かりやすく発信すること、選挙が終わった後も投票することの意義を訴え続けることはできます。
すぐに結果が出なくても、その積み重ねには意味があると思っています。
今回の選挙で果たせなかった目標に、これからの議員活動を通じて少しずつ近づいていく。
投票率の向上を一時的な目標ではなく、これからも長く取り組んでいく活動の柱にしていきます。
このシリーズでは、本庄市を例にしながら、市議会や地方政治の仕組みを、できるだけ分かりやすくお伝えしていきます。
政治を一部の人だけのものにしないために、一人でも多くの方が自分の意思を一票として示す社会をつくる。
そのために、私はこれからも日頃の活動と発信を積み重ねていきます。
次回は、市民が「市長」と「市議会議員」という二つの代表を選ぶ、地方自治の「二元代表制」について、本庄市を例に分かりやすくお伝えします。
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