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デジタル教科書の「正式化」で学校はどう変わるのか 【新温泉町議会議員 寺谷えいいち】

2026/4/28

こんにちは。元教師として教育現場に携わってきた立場から、いま国が進めている「デジタル教科書の正式化」に向けた動きについて考えてみたいと思います。
政府は、中教審の議論などを踏まえ、学習者用デジタル教科書を2030年度頃から正式な教科書として位置付けるための法改正をめざしています。法案が成立すれば、教科書は  
「紙」「デジタル」「紙とデジタルの併用」  
の3つの形が正式に選べる方向で検討されています。これは、教育の在り方を大きく変える可能性を持つ動きです。

■ 現行制度と「デジタルの制約」

現在、学習者用デジタル教科書は、紙の教科書と内容がほぼ同じであることが前提とされています。あくまで「紙のデジタル版」という位置付けで、動画やアニメーションなどは、教科書本体ではなく別のデジタル教材として扱われるのが基本です。
そのため、現場からは「デジタルならではの良さが十分に活かせていない」という声も上がっています。今回の法改正は、こうした制約を見直し、活用の幅を広げることにもつながると期待されています。

■ 現場で感じてきた「デジタルの強み」

私が教師として現場にいた頃も、少しずつICT活用が進んでいましたが、デジタル教材には大きな可能性があると感じていました。
特に印象的なのは、「理解の個別最適化」です。
• 文字の拡大やふりがな表示
• 音声読み上げ
• 図解や動画、アニメーションでの補足
こうした機能は、紙だけでは届きにくい子どもたちの「つまずき」を支えてくれます。発達特性のある子どもや、日本語に不慣れな子どもにとっては、学びのハードルを下げる大きな助けになります。「わからない」が「わかる」に変わる瞬間を支えられる点は、デジタルの大きな価値だと感じています。

■ 一方で、紙にしかない学びもある

とはいえ、現場感覚として「デジタルさえあれば十分」とは決して言えません。紙の教科書には、明確な強みがあります。
• 全体を俯瞰しやすい一覧性
• 「どのページのどのあたりに書いてあったか」で思い出しやすいこと
• 手で書き込み、線を引きながら考えを整理できること
特に「書く」という行為は、単なる作業ではなく、考えを深める大事なプロセスです。近年、デジタル化で手書きの機会が減ることに対して、思考力の低下を懸念する声も出ています。タブレット上でペンを使う方法もありますが、紙ならではの感覚や記憶のしやすさがあることも事実です。

■ 大切なのは「どちらか」ではなく「どう使い分けるか」

今回の制度改正で評価できるのは、「紙かデジタルか」という二者択一ではなく、「併用」という考え方がはっきり示されている点です。
教育の世界では、しばしば
「新しいもの=すべて良い」  
「従来のもの=古いからやめる」
といった極端な議論になりがちですが、本来はそうではありません。
例えば、私の感覚では、
• 初めて学ぶ内容でイメージをつかむ段階 → デジタル(動画・音声・図解など)
• 学んだ内容を整理し、定着させる段階 → 紙(書く・まとめる・見返す)
といった使い分けが考えられます。教科や単元によっても、より適した組み合わせは違ってくるでしょう。大事なのは、「どの場面で、どちらを、どのように使うか」を丁寧に設計することです。

■ 低学年への導入は慎重に

特に気になるのが、小学校低学年への影響です。低学年の子どもたちは、情報を処理する力や、注意をコントロールする力がまだ発達の途中にあります。
実際に、低学年でタブレットを使った授業を行うと、
「画面操作に夢中になってしまう」  
「学習内容より、タブレット自体に意識が向いてしまう」
といった様子が見られることもあります。こうした実態を踏まえると、低学年から一律にデジタル教科書を全面導入するのではなく、導入する学年や教科、時間の長さなどを慎重に検討していく必要があります。

■ 教育は「道具」ではなく「使い方」で決まる

デジタル教科書は、あくまで「学びを支える手段」です。大切なのは、道具そのものではなく、その使い方です。
• 教師が、子どもの実態に合わせて授業をどうデザインするか
• 子どもが、紙とデジタルをどう使いこなし、自分の学びを深めていくか
• 学校全体で、どのような方針のもとに端末や教科書を活用していくか
ここが伴わなければ、どれほど立派な制度や機器が整っても、効果は限定的になってしまいます。

■ まとめ

デジタル教科書の正式化は、確かに大きな転換点です。しかし本当に問われているのは、
「デジタルにするかどうか」ではなく、  
「子どもの学びが深まるかどうか」
です。
制度はまだ審議の途中にありますが、だからこそ今、現場の声や子どもたちの実態を踏まえながら、紙とデジタル、それぞれの良さを活かす教育をどうつくっていくか。慎重でありつつ、前向きに議論を進めていくことが求められていると感じています。
教育は未来への投資です。地域からも現実的な提案と知恵を出し合い、子どもたちにとってよりよい学びの環境を整えていきたいと思います。

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著者

寺谷 えいいち

寺谷 えいいち

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