2025/10/3
自民党総裁選で国政に注目が集まっています。外交や防衛も重要ですが、私たちの暮らしに最も直結するテーマのひとつは「税制」です。
税制は単なる数字の調整ではなく、国家のあり方そのものを映し出す鏡です。だからこそ、この機会に「消費税」と「法人税」の役割を冷静に見直したいと思います。
消費税は1989年に3%で導入され、現在は10%。
2023年度当初予算では、消費税収23.4兆円、所得税収21.0兆円、法人税収14.6兆円。消費税が最大の税収項目です。
消費税は売上に応じて課税されるため、赤字企業でも納税義務が生じます。
また収入に関わらず一律に課されるため、低所得層ほど負担が重い「逆進性」があります。
さらに2023年10月から始まったインボイス制度により、仕入税額控除の要件が厳格化し、小規模事業者の資金繰り負担が増したことも指摘されています。
消費税導入前(1989年)の法人税率は国税42%、地方税を含めた実効税率は約50%超。
現在(2025年)の国の法人税率は23.2%、地方税を含む実効税率は約29.7%。
この30余年で法人税は20ポイント以上引き下げられる一方、消費税はゼロから10%に。
税の重心が「利益課税」から「売上課税」に移り、強者ではなく弱者に負担が集中する構造になっています。
法人税は経営者や企業の問題と思われがちですが、実際には労働者の給与やボーナスとも密接に関わっています。
昭和の時代、法人税が高かった頃には「税金で取られるくらいなら」と期末に特別ボーナスを出したり、設備投資を行った経営者が多くいました。
法人税は企業に「利益を内部に溜め込まず、人件費や投資に回す」動機を与えていたのです。
よく聞かれるのは「法人税を上げると企業が海外に拠点を移す」という説です。
しかし研究や国際制度を見れば、この主張は過度に単純化されています。
実証研究では、企業の海外進出の主因は「市場規模」「人件費」「物流コスト」であり、税率は決定的要因ではないとされています。
国際的な課税ルール(移転価格規制・外国税額控除・OECDのBEPS対策)によって単純な租税回避は難しくなっています。
拠点移転のコストは莫大で、現実には限定的です。
**OECD/G20の法人税最低税率合意(15%)**が各国で実装されつつあり、極端な税率競争は抑制される方向にあります。
「法人税を上げればすぐ海外に逃げる」というのは誤解に近いのです。
税金の本来の役割は「富の再分配」です。余力のある強者からいただき、弱者に分配することで社会全体の安定を保つことが目的でした。
しかし現行制度は逆に、
法人税引き下げで強者(利益を出す企業)の負担は軽く、内部留保は積み上がる。
消費税増税で弱者(低所得層・中小事業者)の負担が重くなる。
この流れを正すために必要なのは、
消費税の減税や生活必需品への軽減税率
法人税引き上げと、賃上げ・設備投資を行えば実質的に負担を軽くできるインセンティブ設計
増収分の教育・福祉・地域投資への重点配分
これこそが制度設計としての再分配の回復です。
税制は国家観を映す制度です。
公平を重視するのか
成長を優先するのか
格差是正を目指すのか
政治家は、自らの国家観に基づき、どのような税制を敷くのかを語らなければなりません。
しかし現状、私たち有権者は候補者の国家観や制度設計を比較できず、投票はしばしばイメージや印象に左右されています。
だからこそ、現職・新人を問わず、立候補するすべての国会議員候補は「どのような国をつくりたいのか、そのためにどのような税制を敷くのか」を語る責任があります。
そして私たち有権者は、その政策を冷静に比較し、判断する権利を持っています。
民主主義を健全に機能させるために、政治家に求められる責任はここにあります。
あなたは総裁選候補者に、どのような税制を語ってほしいと思いますか?
ぜひ Xにてリプライでご意見をお聞かせください。
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マツシタ マサヒロ/43歳/男
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