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【市川市】田中甲市長が語る「政令指定都市を目指す」とは何か

2026/4/23

市川市は人口50万人を超えました。
この数字だけを見ると、「もう政令指定都市を目指せるのではないか」と感じる方もいるかもしれません。

たしかに、地方自治法上、指定都市は「政令で指定する人口50万以上の市」とされています。市川市の住民基本台帳人口も、2026年3月31日現在で50万204人です。つまり、市川市は法令上の最低ラインには立っています。

しかし、ここで大事なのは、法律に書かれた条件と、実際に指定されるために求められる条件は同じではない、ということです。

実際、政令指定都市をめぐる検討資料では、法令上の人口要件とは別に、人口80万人以上で将来的に100万人程度が見込まれること県から移る事務を適正かつ能率的に処理できること大都市経営に対応できる行財政能力行政区の設置体制県と市の意見一致などが、実質的な条件として整理されています。指定都市市長会も、現在の指定都市は「概ね人口70万人以上の20都市」と説明しており、制度の実態としては50万人を少し超えた程度で直ちに指定されるようなものではないことが分かります。

つまり、政令指定都市とは、単に人口条件をクリアすれば自動的になれる制度ではありません。
住民に近いところでより大きな権限を持てる自治拡大の制度である一方、その入口では、国や県に「この市なら任せられる」と認めてもらう必要があります。法律に明記されていない基準まで、実際には一つ一つ越えていかなければ前に進めない。ここに、地方自治を広げる制度でありながら、なお中央集権的な統制が色濃く残っている現実が見えます。

討論会で田中甲市長が、「政令指定都市の前に中核市が必要だ」という趣旨を強く語っていたのも、こうした実務の感覚が背景にあるのだと思います。
地方自治法上、中核市を経なければ政令指定都市になれないという規定はありません。ですが、国の地方分権資料では、権限移譲について、自治体の規模や事務処理能力に応じて段階的に進める考え方が示されています。ですから、総務省の実務感覚としては、まず中核市レベルで県からの重い事務を引き受け、それを円滑に回せることを示すことが、政令指定都市への現実的なロードマップとして見られている可能性が高いのです。

この視点で見ると、田中甲市長の今回の公約も、ばらばらの単発政策ではなく、一つの方向へつながって見えてきます。

道路、病院、学校、児童相談所、保健所、美術館。
一見すると、それぞれ別のテーマに見えるかもしれません。
けれど全体として見ると、県に頼らず、市が自前で大都市機能を持てるようにするための布石として読むことができます。

たとえば、保健所は指定都市になれば市が持つ前提の機能ですし、児童相談所も指定都市が担うべき中核機能です。つまり、この二つを公約に掲げること自体が、県の事務を市で回せる能力を示そうとする動きとして読めます。

また、政令指定都市を本気で視野に入れるなら、先に必要なのは制度の看板ではなく、100万人近い人口を受け止めても都市が詰まらないだけの器です。
市川市自身も、都市計画道路について広域通過交通と地域内交通の分離を図るため整備を進めており、都市計画道路の整備率は約60%としています。さらに総合交通計画では、交通渋滞の解消が課題として位置づけられています。つまり、いまの段階で渋滞だらけの道路問題を放置したまま人口だけを増やすわけにはいかないことを、市自身が認めているのです。

もし本気で政令指定都市を目指すのであれば、まず必要なのは、道路や交通のボトルネックを解消し、病院、学校、防災、福祉などのインフラと行政サービスを、100万人近い都市にも耐えられる形へ育てていくことです。
政令指定都市とは、50万人規模の都市が気軽に次の目標として掲げる制度というより、人口が大きく膨らみ、県を介さず市が直接きめ細かな行政サービスを担わなければ回らなくなった都市に対して、現実に合わせて認められてきた制度だと見る方が自然です。

そう考えると、市川市単独の50万人規模で、すぐに政令指定都市が見えてくるわけではありません。
本気で100万人規模を意識するなら、船橋市や松戸市との合併級の再編まで視野に入るような、非常に大きな話になります。そこまで行けば、単なる制度変更ではなく、地図を書き換えるレベルです。だからこそ、田中甲市長の政令指定都市構想は、近い将来にすぐ実現する計画というより、かなり巨大な将来構想として理解すべきものだと思います。

そして私は、この構想の背景には、もう一つの強い問題意識があると見ています。
それは、千葉県に任せたままでは、市川市民が不利益を受け続ける分野があるという現実です。

特に児童相談所については、たかさんがこれまで繰り返し発信してきた通り、市川児童相談所の運営には、閉鎖性、不透明な判断、説明責任の弱さ、長期保護や面会制限の問題など、単なる改善論では済まない深刻な構造的欠陥があると考えています。しかも問題は、子どもや保護者への対応だけではありません。元職員の訴訟では、千葉地裁が県の安全配慮義務違反を認めたと報じられており、職員の労務管理の面から見ても、組織的な問題が可視化されています。

県立高校の問題も似ています。
千葉県の公立高校入試では二次募集が多数出ており、学校によっては定員充足に苦戦しています。もし県立高校を市立に変え、市として特色ある教育を育てていけるなら、それは単なる負担の付け替えではなく、市川市の教育機能を自前で磨き上げる長期投資として読むことができます。IB対応による海外大学進学や、スポーツによるブランド形成などを視野に入れるなら、何年もかけて「市川市の看板高校」を育てていく発想も十分あり得ます。

美術館も同じです。
「不要な箱モノだ」という批判は分かります。
けれど、大きな都市を本気で目指すなら、道路や病院だけではなく、文化施設もまた都市の器の一部です。文化も教育も福祉も含めて、「この都市は県に頼らず、自前で大都市機能を持てるのか」が問われるのであって、そこに一貫した方向性を見ることはできます。

つまり、今回の公約は、その場しのぎの単発政策の寄せ集めではありません。
何年かかるか分からない政令指定都市構想に向けて、市が県の事務を担える能力と、100万人規模の都市を支えられる器を、少しずつ整えていく布石として読むことができます。

もちろん、政令指定都市にはメリットだけでなくデメリットもあります。
メリットは、市が県を通さずに決められる範囲が広がり、保健、福祉、児相、都市計画などを住民に近いところで一体的に担えることです。意思決定も早くなり、大都市に見合った税財源を求める立場も強くなります。
一方で、県が担ってきた重い事務を自前で回すため、人材、組織、庁舎、区役所体制、情報システムなどに大きな負担が生じます。しかも、指定都市側からは、増えた仕事に比べて税財源措置が十分ではないという不満も長く出されています。つまり、政令指定都市とは、権限が増える代わりに、責任と負担も一気に増える制度です。

なお、この話と「不交付団体」であることは同じではありません。
不交付団体かどうかは主に財政力の話です。
一方で、政令指定都市は自治制度と行政能力の話です。財政が強いことはプラス材料にはなっても、それだけで指定都市になれるわけではありません。政令指定都市に必要なのは、人口規模、都市機能、行政能力、県との調整、区の設置を含む総合力です。

私は、田中甲市長の「政令指定都市を目指す」という言葉を軽くは見ません。
それは、市川市の自治のあり方を大きく変える可能性を持つ構想だからです。
けれど同時に、それは人口50万人を超えたからすぐ届くような話でもありません。国や県が事実上重視する高いハードルを一つ一つ越え、長い時間をかけて認めてもらわなければ届かない、大きな夢でもあります。

夢を語ることは大切です。
しかし、その夢がどれほど大きく、どれほど遠く、どれほど難しいのかを、市民が正しく知ることもまた大切です。
そして、もし千葉県の運営によって実際に市川市民が不利益を受けているのであれば、「県の管轄だから」と放置することは許されません。市民の不利益を自分たちの責任で是正しようとする。その延長線上に、田中甲市長の政令指定都市構想を見ることもできるのではないでしょうか。

政令指定都市は、人口だけで決まる称号ではありません。自治を広げる制度であると同時に、県に頼らず市が大都市機能を担えることを示さなければ届かない、高い壁のある制度です。

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著者

たか さん

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肩書 令和6年行政書士試験合格者、千葉県登録養育里親、メンタル心理カウンセラー、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、千葉県市川市中央倫理法人会幹事
党派・会派 無所属
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