2026/9/11
| 小森さだゆき | 高槻市議会議員
東京都世田谷区が、住居専用地域における民泊の営業規制を緩和する条例改正の素案をまとめたことが報じられました。
現在、世田谷区では住居専用地域での民泊営業は平日が原則禁止されていますが、家主が住みながら管理する「家主居住型」など一定の条件を満たす場合、平日を含め年間180日まで営業できるようにする方向です。
一方、高槻市では逆に、市民の生活環境を守るため、2026年4月1日から独自の条例によって民泊を大きく制限しています。
私はこの条例ができる前の2025年9月、高槻市議会の本会議で民泊について取り上げ、問題が大きくなる前に規制を含めた対策を行う必要性を訴えました。
今回は、世田谷区のニュースとあわせて、高槻市でどのような民泊規制を行っているのかを紹介します。
報道によると、東京都世田谷区は、住居専用地域における民泊の営業規制を緩和する条例改正を検討しています。
現在は、住居専用地域では平日の民泊営業が原則禁止され、土日祝日など年間120日程度に制限されています。
これを、家主が住みながら管理する「家主居住型」など、適正な運営を行う一定の事業者については、平日を含め年間180日まで営業できるようにするという内容です。
東京都内では、新宿区が住宅地や学校周辺で民泊を原則禁止する方向で検討するなど、逆に規制を強化する自治体もあります。
民泊をどこまで認めるのかについて、自治体によって対応が分かれています。
一方、高槻市では2026年4月1日から、
「高槻市住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例」
を施行しています。
高槻市では民泊を全面禁止したわけではありませんが、住宅地などでは非常に厳しい制限を設けました。
第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域などでは、民泊を通年で制限しています。
さらに、旅館業法で定められた一定の施設の敷地の周囲100メートル以内についても、通年で制限されます。
住宅地の生活環境を守ることを優先した条例です。
高槻市の条例で特徴的なのは、住居専用地域以外についても民泊を自由に営業できるわけではないことです。
条例では、その他の地域で営業できる期間を、
4月27日から5月6日まで。
8月11日から8月20日まで。
12月28日から翌年1月6日まで。
に限定しています。
国の住宅宿泊事業法では年間180日まで営業できますが、高槻市では独自条例によって、さらに大きく営業期間を制限しています。
市民の生活環境と民泊事業とのバランスを取るための高槻市独自のルールです。
高槻市の条例は、営業できる区域や期間だけを定めたものではありません。
新しく民泊を始めようとする人は、その住宅が民泊として使用されることについて、近隣住民にあらかじめ対面または書面で説明しなければなりません。
また、周辺住民から苦情や問い合わせがあった場合には、誠実かつ速やかに対応することも求められています。
民泊によって発生するごみについても、事業者が適正に処理することが条例に明記されています。
さらに、市長は必要に応じて事業者に業務改善を命じることができ、命令に違反した場合には業務停止、一定の場合には事業廃止を命じることもできます。
単に「近隣住民に配慮してください」というだけではなく、市が実際に対応できる仕組みまで条例で整備しました。
この条例が施行される約半年前の2025年9月。
私は高槻市議会本会議で、民泊について一般質問を行いました。
当時、高槻市内には24件の住宅宿泊事業、いわゆる民泊がありました。
市からは、民泊に関する騒音やごみなどの苦情については把握していないとの答弁がありました。
しかし私は、
「まだ問題が起きていないから対策しない」のではなく、問題が起きる前にルールを作る必要があるのではないか。
と考えました。
大阪市や京都市など、すでに民泊が多く存在する地域では、騒音、ごみ、深夜の出入りなどをめぐり、周辺住民とのトラブルが問題となっていました。
高槻市でも同じような状況になってから対応を始めるのでは遅いと考え、本会議で民泊の実態や消防、建築、固定資産税、大阪府との連携などについて質問しました。
そして、問題が顕在化する前に規制を含めた予防的な対策を検討する必要性を訴えました。
その後の流れを見ると、
2025年9月、私が高槻市議会本会議で民泊について取り上げました。
そして約3か月後の2025年12月、高槻市は民泊を規制する条例の素案をまとめ、パブリックコメントを実施しました。
パブリックコメントは2025年12月22日から2026年1月21日まで行われました。
その後、条例が制定され、2026年4月1日から施行されました。
つまり、
2025年9月 本会議で民泊の問題と予防的な対策の必要性を質問。
↓
2025年12月 高槻市が条例素案を公表し、パブリックコメントを実施。
↓
2026年3月 条例制定。
↓
2026年4月1日 条例施行。
という流れです。
本会議で民泊規制の必要性を訴えてから約半年後、高槻市では実際に民泊を制限する条例が施行されました。
私が高槻市議会の過去の本会議について確認した範囲では、令和になって以降、私が2025年9月に質問するまで、民泊について営業区域や営業期間を制限することを求めた本会議質問は確認できませんでした。
もちろん、市役所内部では、それ以前から住宅宿泊事業について情報収集や検討をしていた部分もあると思います。
そのため、私は「私一人の質問だけで条例ができた」と言うつもりはありません。
実際に条例を制度として作ったのは高槻市であり、担当された職員の皆さんによる検討や調整があって実現したものです。
しかし、市議会議員の役割は、すでに大きな問題になったことだけを取り上げることではありません。
他の地域で起きている問題を見ながら、高槻でも同じ問題が起きる可能性があるのであれば、早い段階で議会から問題提起し、行政に対応を求めることも大切な仕事です。
今回、私が本会議で民泊規制の必要性を訴え、その後、高槻市が具体的な条例を制定したことは、大きな前進だったと考えています。
私は、民泊そのものをすべて否定しているわけではありません。
観光客の受け入れや空き家の活用、地域経済への効果など、メリットもあります。
しかし、そのために地域住民の生活環境が犠牲になってはいけません。
特に住宅地では、騒音、ごみ、深夜の出入り、駐車、管理者不在時のトラブルなどが起きる可能性があります。
事業者の利益も大切です。
観光客の利便性も大切です。
そして、そこに暮らしている市民が安心して生活できることも大切です。
そのバランスを取るために、自治体が地域の実情に応じたルールを作ることが重要だと考えています。
今回の世田谷区のニュースを見ると、自治体によって民泊に対する考え方が大きく異なることが分かります。
世田谷区では、一定の条件を満たす民泊について規制を緩和する方向です。
一方、高槻市では2026年4月から、住宅地を中心として民泊を厳しく制限する条例を施行しました。
私は、高槻市のような住宅都市では、問題が深刻化してから後追いで規制するよりも、問題が起きる前に市民の生活環境を守るルールを作っておくことが重要だと考えています。
「問題が起きてから対応する」のではなく、「問題が起きる前に備える」。
今回、高槻市がしっかりと条例を制定したことは評価したいと思います。
そして、条例は作って終わりではありません。
無届の民泊が行われていないか。
近隣住民への説明が適切に行われているか。
騒音やごみなどの問題が発生していないか。
市が条例に基づいて適切に対応できているか。
今後は条例が実際に機能しているのかについても、議会からしっかり確認していきたいと思います。
【参考】
高槻市「高槻市住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例」を制定しました
| 小森さだゆき | 高槻市議会議員
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