2026/5/11
| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員
私たちの暮らしに欠かせない水道水の安全性をめぐり、大きな転換点を迎えました。
2026年4月1日から、日本でもPFOS(ピーフォス)およびPFOA(ピーフォア)が水道法上の正式な 「水質基準項目」 となりました。これまでは法的な拘束力のない努力目標でしたが、今後は全国の水道事業者に検査と基準遵守が義務付けられます。
これは一歩前進と言えますが、中身を詳しく見ると手放しでは喜べない現実があります。法的地位は上がったものの、基準値そのものは従来の 「50ng/L(ナノグラム/リットル)」のまま据え置かれた からです。今回は、この数値が世界基準と比べていかに乖離しているか、その実態を整理してお伝えします。
世界各国の公共水道におけるPFOSおよびPFOAの基準値を比較すると、日本の立ち位置が明確になります。以下の表にまとめました。
| 国・地域 | 基準値(PFOS+PFOA等) | 日本と比較した厳しさ |
|---|---|---|
| デンマーク | 合計 2ng/L | 25倍厳しい |
| 米国 (EPA) | 個別 4ng/L | 約12倍厳しい |
| スウェーデン | 合計 4ng/L | 12.5倍厳しい |
| ドイツ (2028年以降) | 合計 20ng/L | 2.5倍厳しい |
| 日本 (2026年4月施行) | 合計 50ng/L | 基準(1倍) |
最も厳しいデンマークと比較すると、日本の基準は25倍も緩い水準です。また、世界的な規制を主導する米国の基準と比べても12倍以上の開きがあります。
米国環境保護庁(EPA)は、2024年にPFOAとPFOSの法的基準をそれぞれ 4ng/L と決定しました。これは現在の技術で正確に測定できる最低限のレベルに近い数値です。健康上の目標値については「ゼロ」を掲げており、可能な限り除去するという強い意志が示されています。
欧州連合(EU)では、2026年1月から全加盟国でPFASの監視が義務化されました。EU全体の基準は20種類のPFAS合計で100ng/Lですが、これでも専門家からは「甘すぎる」という声が上がっています。そのため、北欧諸国やドイツなどは独自により厳しい上乗せ基準を採用しています。
特にデンマークなどは 「予防原則」 に基づき、健康被害が完全に証明されていなくても、リスクが疑われる段階で最厳格な基準を適用する姿勢を貫いています。
日本が今回、基準値を50ng/Lに据え置いた背景には、既存の浄水設備での対応可能性や、対策コストへの配慮があると考えられます。仮に米国並みの4ng/Lを基準とした場合、全国の浄水場で巨額の投資が必要となり、それが水道料金の急激な上昇につながる恐れがあるためです。
しかし、安全基準が「対策コスト」によって左右されて良いのでしょうか。世界が「健康リスク」から逆算して基準を作っているなか、日本だけがコストを優先して緩い基準を維持し続けることには大きな疑問が残ります。
日本でも水質基準への格上げが行われたことは評価すべきですが、その基準値が国際標準から大きく取り残されている事実は知っておかなければなりません。水道水は毎日口にするものであり、次世代の健康にも直結します。
1. 日本の基準は世界の最先端に比べて10倍から20倍以上緩いという事実
2. 基準値が「健康」ではなく「コスト」の論理で決まっていないかという視点
3. 国際基準がさらに厳しくなった際、日本の水道事業がどう対応していくのか
私たちはこれらの点について、継続的に声を上げ、議論を深めていく必要があります。安全な水を将来にわたって守り抜くために、行政の動向を厳しくチェックしてまいります。
| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員
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