2026/5/18
| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員
福井が生んだ幕末の至宝、橋本左内。彼の生誕地である福井市春山地区で開催された講演会に参加し、改めてその精神の原点に触れる機会を得ました。左内が数え年で15歳(満14歳)の時に、己の未熟さを恥じ、生涯の指針として記した『啓発録(けいはつろく)』。そこには、時代を超えて私たちの魂を揺さぶる「自立の哲学」が凝縮されています。
嘉永元年(1848年)、当時14歳の左内は、大坂での適塾留学などを経て、自分の学問の目的や心の持ちようを厳しく律する必要性を感じていました。彼は、それまでの自分の生活を振り返り、親への甘えや目先の楽しみに流される心を「稚心(ちしん)」と呼び、それを根絶することを誓いました。
『啓発録』は、「稚心を去る」「立志」「択友」「振気」「習読」の五則から構成されています。 わずか14歳の少年が、自らの人生を国家や社会のために捧げるための「準備」として、これらの原則を打ち立てたことは驚異的というほかありません。
『啓発録』の核心である五つの原則について、その深い意味を紐解いていきます。
| 五則 | 詳細な解説と意味 |
|---|---|
| 稚心を去る (ちしんをさる) |
「稚心」とは子供じみた心のこと。親への甘え、遊びたい誘惑、楽をしたい怠惰な気持ちを指します。これがあるうちは、どんな学びも身に付かないと左内は断じました。 |
| 立志 (りっし) |
人生の目的を定めること。「自分は何のために生きるのか」という芯を持つことで、周囲の意見や困難に惑わされない強さが生まれます。 |
| 択友 (たくゆう) |
友を選ぶこと。単なる遊び仲間ではなく、互いの過ちを指摘し合い、学問や志を高め合える真の友を持つことの大切さを説いています。 |
| 振気 (しんき) |
気を振るい起こすこと。失敗や困難に直面した際、卑屈にならず、勇気を持って立ち向かう精神力を養うことを求めています。 |
| 習読 (しゅうどく) |
学問に励むこと。ただし、単なる知識の蓄積ではなく、それを実践に活かし、世の中に貢献するための学びであるべきだと強調しています。 |
左内の教えの中で最も峻烈なのは、やはり冒頭の「稚心を去る」です。彼は、どんなに才能があっても、依存心という「稚心」があれば、それは単なる子供の遊びに過ぎないと指摘しました。真の成長は、自分を律する覚悟を決めた瞬間に始まります。
左内はこの『啓発録』を書いた数年後、松平春嶽公の側近として江戸で外交や国政の重責を担うことになります。 彼の言葉が力強かったのは、それが単なる理想論ではなく、14歳の時に決意した己との約束を愚直に守り続けた結果だったからでしょう。
春山地区の展示や地域の皆様の熱意を通じて、左内先生の志が今もこの地に生きていることを実感しました。情報が溢れ、自分を見失いやすい現代だからこそ、この「稚心を去り、志を立てる」という極めてシンプルな原点に立ち返る必要があるのではないでしょうか。
14歳の少年が抱いた壮大な決意を胸に、私自身も日々、己の「稚心」と向き合い、研鑽を積んでまいりたいと思います。
| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員
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