2026/5/16
| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員
最近、相続税の是非について議論を耳にすることが増えました。「二重課税ではないか」「努力して築いた資産を守るべきだ」という反対意見も理解できます。しかし、私は相続税の是非を論じる前に、まずはその歴史的背景を深く知る必要があると考えています。なぜ、日本はこれほどまでに厳しい相続税制度を維持してきたのでしょうか。
戦後、日本の相続税が大きく変貌を遂げた背景には、単なる財源確保ではない、極めて政治的・社会的な理由がありました。それが「共産主義との戦い」という側面です。
戦後の混乱期、世界的に共産主義の勢力が増す中で、日本が革命を避け、民主主義国家として安定するためには、富の極端な集中を排除し、誰もがチャンスを持てる社会を作る必要がありました。1950年のシャウプ勧告によって導入された最高税率90%という驚異的な数字は、まさに「富の再分配」を徹底することで社会の安定を図ろうとした、当時の切実な国家戦略でもあったのです。
私は18年間にわたり、イギリス、シンガポール、タイ、オーストラリアなど海外で生活し、働いてきました。特に東南アジアや香港、シンガポールといった地域を目の当たりにして感じたのは、相続税がない(あるいは極めて低い)社会がもたらす弊害です。
これらの国々では、一度築かれた富が代々そのまま引き継がれるため、「格差が完全に固定化」されている現実があります。生まれた家によって人生の選択肢が決まってしまう社会。それは、個人の努力が報われにくい、停滞した社会でもあります。私は、こうした状況は社会全体にとって決して健全ではないと強く感じてきました。
私自身の話をさせていただきます。かつて祖父が他界した際、我が家もかなり高額な相続税を納めました。私が生まれる前の話ではありましたが、家系としてその負担の重さを実感する場面は多々ありました。しかし今振り返れば、私はそれでも良かったのだと確信しています。
一部の特権階級だけが富を独占し続けるのではなく、適切な税制によって富が循環し、それが「公教育の充実」などの形で社会全体に還元される。これこそが、次世代に平等なスタートラインを用意するために必要な仕組みだと信じているからです。
ただ、今の日本の制度が完璧だとは思いません。私が提案したいのは、相続税を単に「なくす」ことではなく、海外のようにトラスト(信託)や公益財団法人の制度をもっと拡充させることです。
教育、文化振興、国際交流など、その人が「これこそが日本の未来に必要だ」と信じる分野に対して、資産をより直接的に投じられるシステムを作るべきです。国が一律に税として徴収するだけでなく、個人の意志によって「正しく、納得のいく形」で社会に還元される選択肢を増やすこと。それこそが、格差固定を防ぎながら、同時に日本の文化や教育を豊かにしていく道ではないでしょうか。
| 比較項目 | 現状の相続税制度 | 私が目指す「意志ある還元」 |
|---|---|---|
| 資金の使途 | 国が一般財源として徴収 | 教育・文化・国際交流など指定可能 |
| 個人の納得感 | 負担感のみが先行しやすい | 自分の意志で未来に投資できる |
| 社会への影響 | 富の再分配(受動的) | 社会課題の解決(能動的) |
相続税は、日本という国が格差の固定される不条理な社会にならないための「安全装置」です。しかし、これからの時代は、その安全装置をさらに進化させ、個人の意志が社会をより良くしていく「前向きな循環」へと繋げていかなければなりません。
誰もが等しく質の高い教育を受けられ、かつ、築いた富が納得できる形で未来の日本を支える。そんな制度のあり方について、これからも声を上げ続けてまいります。
| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員
この記事をシェアする
ホーム>政党・政治家>小森 さだゆき (コモリ サダユキ)>共産主義の対抗から相続税は強まった?