2026/4/19
| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員
18世紀末、産業革命が進むイギリスで、ある一冊の本が世界を震撼させました。経済学者トマス・ロバート・マルサスによる『人口論』です。彼が描いた未来は、これまでの明るい成長論とは真逆の、冷徹な「生存の限界」でした。私たちが今直面している資源問題や食料安全保障の原点ともいえる、この理論を整理します。

マルサスの理論は、極めてシンプルな数式のズレから始まります。彼は、人間が生きるために必要な「食料」と、増え続ける「人口」の関係を次のように定義しました。
このスピードの差によって、放っておけば人類は必ず「食料不足による貧困と飢饉」にぶつかるというのが、彼の残酷な結論でした。
マルサスは、人口が食料供給の限界を超えた時、社会には二つの「抑制」が働くと考えました。
| 抑制の種類 | 具体例 |
|---|---|
| 予防的抑制 | 晩婚化、子どもの数を抑える、禁欲など(人間の意志)。 |
| 積極的抑制 | 飢饉、疫病、戦争。(悲劇的な強制力による減少)。 |
つまり、「自ら制限するか、さもなくば悲劇によって減らされるか」という二択を人類に突きつけたのです。この考え方は当時の政策にも影響を与え、安易な救済が人口増を招くという厳しい議論の根拠にもなりました。
幸いなことに、その後の歴史はマルサスの予想を裏切りました。農業技術の飛躍的な向上や、経済発展に伴う出生率の低下によって、先進国は「飢餓の罠」を脱したように見えました。
しかし、現代の視点で見れば、マルサスの警告は終わっていません。地球全体の「環境収容力」や、「エネルギー資源の枯渇」といった問題は、まさに「幾何級数的な消費と、算術級数的な資源再生」のズレから生じているからです。
マルサスが説いたのは、人間もまた自然の一部であり、物理的な限界(資源)の中でしか生きられないという厳しい現実です。
今の日本は「少子化」に悩んでいますが、世界全体を見れば依然として人口は増え続け、食料の争奪戦は激しさを増しています。「いつまでも安く食料を買える」という前提を疑い、自国での供給力を守ること。マルサスの警鐘は、200年以上の時を超えて、今の日本の食料安全保障政策に最も必要な視点を教えてくれています。
| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員
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