2026/2/21
| 小森さだゆき|参政党所属/高槻市議会議員
国際決済銀行(BIS)の発表によると、円の総合的な実力を示す「実質実効為替レート」が、1973年の変動相場制移行後の安値を更新しました。これは、私たちの対外的な購買力が、ピーク時の3分の1、あるいは1ドル360円時代に近い水準まで沈んでいることを意味します。まさに「国力の減退」を象徴する事態です。
かつての日本は、円安局面になれば輸出が伸びて景気が良くなる構造を持っていました。しかし、長年のデフレと円高対応の中で、日本の製造業は拠点を海外へと移す「産業の空洞化」を推し進めてきました。
その結果、現在では円安になっても国内から輸出するモノが不足し、エネルギー価格の高騰も相まって「恒常的な貿易赤字」が定着してしまいました。この赤字を補っているのが、かつては軽視されていた観光収支(インバウンド)であり、今や2000年代の貿易黒字に匹敵する額を稼いでいます。しかし、これは日本が「技術の国」から「観光の国」へ変質せざるを得なかった厳しい現実でもあります。
一部では、積極財政を断行して円安を維持すれば、再び日本の輸出産業が盛り返すという主張があります。しかし、現場の実態を見れば、以下の4つの大きな壁が立ちはだかっていることがわかります。
国内の工場が激減しており、円安になってもすぐに増産できる体制がありません。
かつて世界を席巻した家電産業は海外勢に圧倒され、日本の牙城であった自動車産業も、EVシフトや競争激化でかつてない厳しい状況に置かれています。
仮に企業が国内に工場を作ろうとしても、労働力が確保できなければ投資は行われません。人手不足は製造業の国内回帰を阻む最大の要因の一つです。
原発が停止している現状、電気料金は高騰し、安定供給への不安も拭えません。製造業にとって、高コストで不安定な電力事情は致命的なマイナスです。
さらに、安易な積極財政の継続には大きなリスクが伴います。現在の日本において、さらなる通貨供給や財政出動は、市場での円売りを加速させ、さらなる「過度な円安」を招く恐れがあります。
生産体制が整わない中で円安だけが進めば、輸出の恩恵を受けられないまま、エネルギーや食料品などの「輸入物価の高騰」だけが国民を襲います。これは家計を圧迫し、中小企業の経営をさらに追い詰める結果を招くでしょう。国内投資を重視する高市政権ですが、財政規律を無視した政策は、かえって国民生活を危機に晒すことになりかねません。
今、日本に必要なのは、単なる円安の維持ではなく、利上げにも耐えうる「強靭な経済構造の再構築」です。民間の活力を引き出し、本当の意味での成長力を取り戻せるかどうかが、円の価値、ひいては日本の未来を左右します。
| 小森さだゆき|参政党所属/高槻市議会議員
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