2025/11/18
| 小森さだゆき|参政党所属/高槻市議会議員
「消費税は預かり税だ」と多くの人が思っています。お店が消費者から税金を預かり、国に渡しているというイメージが定着しています。しかし、実際の仕組みを法律や判例から見ていくと、消費税は「預かり税」ではありません。この誤解こそが、制度の不公平や中小企業の苦しさを生む根本原因になっています。
消費税法第5条にはこう書かれています。
「事業者は、国内において行った課税資産の譲渡等について、この法律により、消費税を納める義務がある。」
つまり、納税義務を負うのは消費者ではなく事業者です。国税庁も明言しています。「消費税は、顧客から預かったものではなく、事業者が納める税金です」。
消費者が払っているように見えても、法的にはそうではありません。お店は自分の売上に対して課税され、その分を計算して納付しているのです。
仕入税額控除とは、仕入れの際に払った消費税を差し引いて納税額を計算する仕組みです。たとえばパン屋さんを例に考えてみましょう。
・小麦を仕入れるときに払った税:10円
・パンを売るときに受け取った税:20円
→ 国に納めるのは「20円 − 10円 = 10円」
もし預かり税であれば、受け取った20円すべてを国に納めるはずです。しかし実際には、仕入れで払った税を控除して計算します。つまり、消費者から預かった税金をそのまま国に渡しているわけではありません。この仕組みそのものが、消費税が「預かり税ではない」ことを証明しています。
安藤裕議員(参政党)は、「消費税は価格に転嫁できない」と指摘しています。「転嫁できる」と思われがちですが、実際には価格競争の中で事業者が負担している部分が多くあります。
パン屋さんの例で考えてみましょう。
| 項目 | 内容 | 税抜価格 | 消費税(10%) | 税込価格 |
|---|---|---|---|---|
| ① 小麦などの仕入れ | 材料・電気・包装など | 1,000円 | 100円 | 1,100円 |
| ② パンの販売価格(理想) | 本来200円で売りたい | 200円 | 20円 | 220円 |
| ③ 実際の販売価格(競争のため) | 値上げできず据え置き | 182円 | 18円 | 200円 |
消費税が10%なら、本来220円で売ってもいいはずですが、周りのパン屋やスーパーとの競争のために「税込200円」でしか売れないとします。
その場合の損益を比較すると次のようになります。
| 比較項目 | 税込220円で売れた場合 | 税込200円でしか売れない場合 |
|---|---|---|
| 売上(税抜) | 200円 | 182円 |
| 受け取る消費税 | 20円 | 18円 |
| 支払った消費税(仕入) | 10円 | 10円 |
| 国に納める消費税 | 20−10=10円 | 18−10=8円 |
| 利益(税抜ベース) | 200−100=100円 | 182−100=82円 |
結果として、価格を上げられない分だけ利益が18円減り、その分の税金をパン屋自身が負担していることになります。これが「転嫁できない」という現実です。そしてこれは、消費税が「預かり税ではなく、事業者の税」であることの裏付けでもあります。
さらに深刻なのは、赤字企業でも消費税を納めなければならないという点です。売上が落ちて利益が出ていなくても、課税取引があれば納税義務は発生します。仕入れで払った消費税をすべて控除できるとは限らないため、赤字でも税負担が残ります。
これは、消費税が「事業者の売上に対して課税される税」であり、「預かった税金を渡すだけのものではない」ことを意味します。
レシートに「消費税10円」と書かれているため、消費者は「自分が税金を払っている」と感じます。しかし、それは単に「価格の一部」として表示されているだけで、消費税法上、消費者には納税義務がありません。
経済的には消費者が負担しているように見えても、法的には事業者が納税者です。このズレが、消費税をめぐる最大の誤解になっています。
消費税は、法的にも実務的にも「預かり税」ではありません。事業者が自らの売上に応じて計算し、国に納める「事業者の税」です。消費者は最終的な負担者ではあっても、納税義務者ではないのです。
この構造を理解しなければ、「転嫁できない」「赤字でも払う」といった不公平は解消されません。そしてこの歪みこそが、安藤裕議員が「消費税は欠陥税制だ」と訴える根本なのです。
| 小森さだゆき|参政党所属/高槻市議会議員
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