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インド最難関・インド工科大学訪問記

2025/10/18

インド高度人材を考える

| 小森さだゆき|参政党所属/高槻市議会議員


近年、日本では「インドからの労働者流入」や「それに伴う治安の悪化」への懸念がしばしば報じられています。ニュースやSNSではネガティブな話題が先行し、「インド=危険」「混沌」といったイメージが定着しつつあります。

しかし、実際にはその印象を一括りに語ることはできません。いわゆる“労働者階級”と、高度な技能・知識を備えた人材とは全く異なる層です。インドにはIT・AI・工学分野で世界に通用する専門人材が数多くおり、その教育の根幹を担うのが「インド工科大学群(IIT)」です。

世界有数のIT大国であるインドでは、毎年150万人以上が理工系を卒業し、優秀な人材が世界各国の大学や企業で活躍しています。Googleのサンダー・ピチャイCEO、Microsoftのサティア・ナデラCEOもIIT出身であり、教育水準と技術力の高さは世界が認めるところです。さらに、経済学のノーベル賞を受賞したアマルティア・セン博士もIITの精神を礎に学問を究めた人物として知られています。

私は、日本が抱える構造的な人手不足や生産性の課題を考える中で、「この優秀なインド人材を、どのように日本社会に活かせるか」という点に強い関心を持っていました。ニュースや統計だけでは見えてこない現実を確かめるため、今回、インド最難関のインド工科大学デリー校(IIT Delhi)を訪問しました。

 

世界ランキングで見るIITと日本の大学

IITデリーは1961年設立の国立理工系大学で、入学は極めて難関です。全国で約150万人が受験するIIT共通試験(JEE Advanced)を突破しても、合格できるのはわずか数千人。まさにインド最高峰の頭脳が集う場所です。

2024年版のTimes Higher Education(THE)世界大学ランキングでは、「工学・技術(Engineering & Technology)」分野で世界26位にランクイン。東京大学(同22位)や京都大学(同38位)と肩を並べる位置にあります。QS世界大学ランキングでも総合123位前後に位置し、研究力・国際性・雇用実績の各面で高い評価を得ています。

THE世界大学ランキング2024によれば、東京大学は29位、京都大学は55位、大阪大学は175位。分野別で見れば、IITデリーは理工系研究の水準において、すでに日本の主要国立大学と同等レベルに達しているといえます。

現地で感じたこと

訪問当日、大学の国際プログラム部門や外国語教育部門の職員の方々が温かく迎えてくださり、日本語を学ぶ学生たちとも意見交換を行いました。

 

学生たちは皆、真面目で礼儀正しく、日本文化や日本企業への関心が非常に高いのが印象的でした。「京都や大阪の大学で学びたい」と話す学生もおり、実際に筑波大学への留学が決まっている学生もいました。彼らは日本語を熱心に学び、日本での生活や働き方に強い興味を持っています。

「インド人=押しが強い」「自己主張が激しい」といったイメージを持つ人も多いですが、今回出会った学生たちはその真逆でした。控えめで丁寧に話し、相手を思いやる姿勢が印象的で、街中で出会うインド人とは違う印象を受けました。

数字で見るインドの教育力と交流状況

インドでは理工系を中心に、毎年150万人以上の学生が卒業します。その多くはAI・データサイエンス・再生可能エネルギー分野へ進んでいます。

トップ層はアメリカの大手企業に就職し、年収は数千万円規模といわれますが、一方で姉妹校であるインド工科大学ハイデラバード校の卒業生のうち約46%は卒業後に就職が決まっておらず、年収100〜200万円程度の卒業生も少なくないというデータがあります。このように高度人材の中での格差の広がりもまた現実です。

IITデリーでは高度人材教育に力を入れており、博士課程(Ph.D.)および修士課程(M.S. Research)への出願を受け付けています。合格者には月額4〜4.5万ルピー(約8〜9万円)の奨学金が支給され、日本人を含む留学生にも同額が適用されます。宿舎はすべて大学構内にあり、留学生の受け入れと国際交流の拡充を進めている様子がうかがえました。

 

また、IITデリーはHitachi、Yamaha、Densoなど複数の日系企業と共同研究を進めており、半導体・エネルギー・量子技術などの分野で実務的な連携が進行中です。特に半導体メーカーのラピダスとは「半年〜1年のインターンシップを通じて日本での就業体験を提供する新プログラム」を検討しており、教育から雇用へとつなげる動きが始まっています。

 

若い世代の交流を増やすために

日本とインドの関係を深めるためには、単なる労働力としての受け入れではなく、若い世代の相互理解と教育交流が欠かせません。特にインターンシップや交換留学、短期留学などを通じて、互いの文化や価値観を体験できる機会を増やすことが重要です。

しかし現状では、情報を一括して集める仕組みがなく、制度が属人的に運用されているという課題もあります。IIT側も日本の大学との交流を拡大し、短期でも留学や共同プログラムを作りたいと話しており、興味のある高校・大学があれば、私からつなぐことも可能ですのでご連絡ください。

まとめ

インドの高学歴層の若者たちは、勉強熱心で活動的、そして自国に誇りを持っています。その一方で就職難が続き、海外での就業を希望する学生も多いですが、「アメリカやヨーロッパの現状を見ると、日本のように清潔で秩序ある社会で働きたい」という声も多く聞かれました。

私は、このような高学歴で教養ある若いインド人の力は、日本にとっても良い刺激になると感じています。その一方で、農業や運送などの分野での無制限な受け入れには反対の立場です。

インドの“現実”は報道だけでは見えてこず、SNS上でも双方が事実とは異なる主張をしているのが現状です。長年の海外経験を持つ私だからこそ、今後も現場を見て、数字で語り、政策に活かし、日本の国益を守り発展させるために何をすべきかを考えていきたいと思います。

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