2026/5/18
釧路市議会議員の木村はやとです。
所有者が変わることは、日常のどこにでもある話です。中古住宅を買う、車を譲り受ける、土地を相続する——人は様々な理由でモノの所有権を移転させます。それ自体は何も問題ではありません。
では、メガソーラーの所有者移転は何が違うのか。私が釧路市議会で質問を重ねながら気づいたことを、今日はお伝えしたいと思います。
中古住宅を買うとき、あなたは現物を見て、状態を確認して、瑕疵担保責任のもとで購入します。もしアスベストが使われていたなら、それを知った上で引き受けるか、売主に対処を求めるか、判断します。土地の相続でも同じです。土壌汚染があれば、それも含めて相続するのが原則です。
つまり日常の所有者移転では、プラスの資産だけでなく「将来の負債」も引き継ぐのが当たり前の仕組みになっています。
メガソーラーには、撤去・廃棄という「将来の負債」があります。太陽光パネルの耐用年数は20〜30年。廃棄費用は規模によって数千万円から億単位になることもあります。
問題は、所有者が移転するたびに、この廃棄責任が宙に浮いてしまう仕組みになっていることです。

国の固定価格買取制度(FIT)を利用している案件は、2022年から廃棄費用の外部積立制度が始まりました。制度上は所有者移転の際に積立金を引き継ぐ仕組みもあります。完全とは言えませんが、「将来の負債」を見える化しようとする試みはあります。
しかしFITを使わないノンFIT案件は、この積立制度の対象外です。廃棄費用を積み立てる仕組みが、そもそも存在しません。
釧路市のガイドラインベース15件の多くはノンFIT案件です。国の制度の枠外に置かれた案件が、釧路市内では着実に積み重なっています。
FRIDAYデジタル(2025年11月17日)は、釧路湿原周辺の案件を「転売ビジネス」と報じました。建設した事業者が完成と同時に別の法人に売却し、その法人がさらに海外ファンドに売る——。神戸国際大学の中村智彦教授(地域経済論)はこう指摘しています。
「おそらく、最初から転売目的で土地を取得したのだと思います。売ってしまえば、業者に責任はなくなります」
これが、日常の所有者移転との決定的な違いです。家や車や土地の売買では「売ってしまえば責任なし」とはなりません。しかしメガソーラーの現行制度では、転売を繰り返すほど廃棄責任が曖昧になっていく構造があります。
釧路市が進めようとしている一括預入れ制度質権設定契約の条例は、この問題への直接的な回答です。設置の時点で廃棄費用を市内の金融機関に預け入れ、市が質権を設定する。所有者が誰に替わっても、廃棄費用だけは地域に残る仕組みを作る。
家を売るとき、住宅ローンの残債は消えません。それと同じように、メガソーラーを売るとき、廃棄費用という「将来の負債」も消えないようにする。それだけのことです。
所有者移転は悪ではありません。問題は、移転のたびに責任が消えていく制度設計にあります。釧路市の条例は、その穴を塞ぐための、地域からの先駆的な取り組みです。
この記事をシェアする
キムラ ハヤト/43歳/男
ホーム>政党・政治家>木村 はやと (キムラ ハヤト)>家も車も土地も「所有者移転」はある。では、メガソーラーは何が違うのか。