2026/6/22
王寺町議会の令和8年第2回定例会(6月8日~17日)において、本会議2日目に一般質問があり、「男性のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン予防接種費用の助成」について質問し、健康子育て支援部長、再質問には町長からもそれぞれ回答いただきました。
【質問】 ヒトパピローマウイルス(HPV)は、主に性行為によって感染するウイルスである。性行為を経験する年頃になれば、男女を問わず、多くの人がHPVに感染する。ウイルスの遺伝子型は200種類以上あり、ほとんどは問題を起こさないが、その一部は子宮頸がんのほか肛門がん、尖圭コンジローマなどの疾患の原因となることが分かっている。男性がワクチンを接種することで、肛門がん、尖圭コンジローマなどの原因と考えられているHPVへの感染予防が期待できる。加えて、男性がワクチン接種による感染予防をすることで、性交渉によるHPV感染から女性を守り、子宮頸がんの予防にもつながる可能性がある。HPVワクチンの男性の定期接種化については、令和4年8月から国の厚生科学審議会で議論が開始され、現在も継続審議となっている。令和6年3月には、予防接種推進専門協議会が厚生労働省へ「男性接種の定期接種化に関する要望書」を提出され、その後も構成する学会での検討を重ねられ、令和7年10月に、予防接種推進専門協議会及び関連学術団体が男性の定期接種の速やかな導入を改めて要望された。要望書には、「子宮頸がんはほとんどが、その他のがんは少なくとも半数以上がHPVを原因とするものであり、その多くがHPVワクチンの導入で予防できると期待されている。現在、日本以外のG7諸国では、男性を対象としたHPVワクチンの定期接種が導入されており、世界では81か国で導入されている。現在は、公平性の観点から、定期接種への導入を検討するに当たっては、男女の区別のないワクチン接種機会の提供、HPV関連疾患予防の責任の男女双方での分担等も大切と考えられている。日本では、女性に対する定期接種の積極的勧奨を再開した後も、接種率の伸びは緩徐(ゆっくり)で、女性接種だけでは子宮頸がんの予防効果に限界がある可能性が示されている。男性に定期接種を拡大することにより、国民全体の子宮頸がんをはじめとしたHPV関連がんへの罹患、死亡を減らすことが期待される。」とある。例えば9価ワクチン、シルガード9の場合、1回目の接種を15歳になるまでに受ける場合、1回目の接種後から6か月の間隔を空けて、合計2回接種する。1回当たりの接種費用は3万円程度かかる。1回目の接種を15歳になってから受ける場合、1回目の接種後から2か月、2回目の接種後から4か月の間隔を空けて、合計3回接種する。このように接種費用が高額であるため、男性の接種を促進するには、費用助成が不可欠であり、男性の接種費用を独自に助成する自治体が増えており、東京都は、自治体が接種費用を助成する場合の補助事業を令和6年度から開始した。奈良県内においても、天理市が令和6年度から県内で初めて助成を開始され、令和8年度からは全額補助に拡充、奈良市においても、令和8年度から一部助成を開始された。日本では、年間約3千人もの女性が子宮頸がんで命を落としている。この事実は、先進国の中でも際立って深刻な状況が続いている。子宮頸がんの罹患率及び死亡率は、北米、西欧、オーストラリアなどと比較すると高く、近年では、子宮頸がんが多いことで知られていた韓国よりも高くなっている。子宮頸がんの年次推移の国際比較においても、諸外国では減少が続いているのに対し、日本では逆に増加が続いている。このような中、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの男性への接種は、男性への感染、HPV関連がんの予防だけでなく、女性への感染、子宮頸がんの予防にもつながることから、子宮頸がんとHPVワクチンに関する情報を分かりやすく発信し、正しい理解につなげるとともに、男性への定期接種化に先駆けた町のワクチン費用の助成について考えを伺う。
【回答】 (健康子育て支援部長) HPVワクチンの予防接種は、現在、日本では小学校6年生から高校1年生相当の女子を対象に、予防接種法に基づく定期接種として実施している。使用するワクチンは、シルガード9という9価ワクチンで、接種回数は、接種開始時期によって2回または3回となっており、規定の接種回数を完了することで、子宮頸がんの原因の80から90%を防ぐと言われている。本町の予防接種費用助成については、これまでの一般質問でも述べているとおり、ワクチン接種の効果が科学的に明確であることはもちろんのこと、感染力が高いことから地域の集団感染予防に有効であること、また、子育て施策など町の重要施策との関連性等を考慮の上、決定している。現在、任意接種費用助成としては、子どものおたふく風邪と子どものインフルエンザワクチンに対して助成しており、どちらも、先ほど述べた地域の集団感染予防に有効であること、子育て施策など町の重要施策との関連性等を考慮して助成している。その点から考えると、男性へのHPVは、空気感染や飛沫感染のような感染経路ではないため、HPVワクチンの予防接種が地域の集団感染予防に有効であるとの見極めまでには至っていない。現在、国において、HPVワクチンの男性への接種による費用対効果や安全性等についても、引き続き、最新のエビデンスを広く収集して議論がされていく状況である。町単独の政策として考える場合、国の動向を注視し、費用対効果や安全性を見極めることも重要と考えており、議員ご提案の「男性へのHPVワクチンの予防接種費用の助成」については、まずは国の議論の動向や奈良市及び天理市の施策効果を引き続き注視しながら、少子化対策の貢献度も勘案しつつ、助成の在り方を検討したいと考えている。また、議員もお述べのとおり、女性のHPVワクチンの接種率は低い状況であるため、まずその接種率を上げることを最優先に取り組んでいきたいと考えている。現在、義務教育学校6年生の女子に対するHPVワクチンの個別通知の実施や町公式ホームページにて予防接種の内容を周知しているが、今後は、対象者へ接種の再勧奨通知を増やすことで、接種忘れを防止し、さらにHPVワクチンの有効性等について周知していく。
【再質問】 定期接種である女性のHPVワクチンの令和8年3月時点、高校1年相当の王寺町の接種率、そして国・県の接種率は?
【回答】 (健康子育て支援部長) 高校1年生までに1回でも接種された方で計算した接種率は、令和7年度において高校1年生になっている方は、45.7%、国は、53.9%と厚生労働省の資料に出ているので、比較すると、王寺町の接種率は若干低い。
【再質問】 エムスリー株式会社のウェブサイト、ワクチンJAPANの数値(接種率)を確認した。その場合、高校1年生相当であるが、国いわゆる全国が55.2%、県が49.1%、お述べの王寺町が45.7%。奈良県は47都道府県中38番目で、全国的にも低い状況である。しかも、王寺町は奈良県よりも低いことから、かなり低い状況であるのが分かった。政府広報オンラインでは、直近令和8年4月1日に「子宮頸がんの予防に有効なHPVワクチンとは?」と題して、HPVワクチンの効果、有効性と子宮頸がん検診の重要性を啓発されている。また、同日に「予防しよう!子宮頸がん!」と題した動画で、国がワクチン接種を積極的に推奨していることを接種対象世代にも分かりやすく紹介している。一方、王寺町のホームページを見ると、対象者、接種回数、接種方法、費用(無料)、健康被害救済制度について掲載しているものの、残念ながら、子宮頸がんの予防とか、このワクチンの有効性についての記載が全くない。これでは、国がワクチン接種を積極的に推奨しているのにかかわらず、王寺町はどうなのかなと思えてしまうが如何か?
【回答】 (健康子育て支援部長) ホームページにもう少し情報をたくさん載せたほうがいいとご指摘いただいているので、それも含めまして、改善させていただきたい。
【再質問】 もう少しとは全然思っていない。かなり改善が必要ではないかと質問している。他の団体のホームページを見ると、男性にHPVのワクチン助成をしている、していないにかかわらず、子宮頸がんを防ぐためにはワクチン接種によるHPVの感染予防と子宮頸がん検診で早く見つけて治療することが大切である。9価ワクチンは子宮頸がんの原因の80%から90%のHPV感染を防ぐなど、子宮頸がんの予防、ワクチンの有効性を発信されている。例えば、宮崎市は、令和7年4月から男子のHPVワクチン接種費用の全額助成を行っている。子宮頸がんワクチン、子宮頸がん検診について、女性の命と健康を守るために、若い世代へ正しい情報を届けるとともに、HPVワクチンの接種を推奨している。令和6年度の接種件数は、令和4年度と比べて4.7倍と増加しており、子宮頸がん検診の受診率と併せて接種率を上げていくことで、子宮頸がんに苦しむ女性を減らすことにつながるよう、市のホームページや厚生労働省のリーフレットでワクチンの有効性及び安全性等について確認、理解の上、接種をご検討してくださいと啓発している。このように、女性の命と健康を守るために、町ホームページにおいても子宮頸がんワクチン、子宮頸がん検診について、若い世代へ正しい情報を届けるとともに、HPVワクチンの接種を国と同様に推奨されてはどうか?
【回答】 (健康子育て支援部長) おっしゃるとおりと思うので、ホームページは改善させていただきたい。
【再質問】 注視していく。町長に伺う。町の任意接種費用助成の基本的な考え方の答弁を受けたが、女性のHPVワクチン接種は、予防接種法においては、感染力や重篤性の大きいことから、蔓延予防に比重を置いたA類疾病区分の定期接種となっている。感染し、長期間経過後に死に至る可能性の高い疾病となることがあり、重大な社会的損失を生じさせるものである。加えてお述べのように、町の重要施策である子育て施策にも大きな影響を与えるものであり、生涯に1度、最大3回の男性への接種費用の助成について、費用対効果は十分あるのではないか。国の定期接種化にはまだ時間を要する中、国の財政措置に先駆けた王寺町独自の助成をぜひ実施していただきたいが如何か?
【回答】 (町長) 県や市町村の能力では及ばないところがあるので、国のレベルで、全国的に科学的な効果をまず検証して、その効果にきちっとお墨つきをいただくことを見極めるのが、まず一番大事と思っている。そして、やはり小学校6年から高校1年までの女性の方の、まずは接種率をどう上げていくのかが一番喫緊の課題だと思っている。できる手立てはいろいろ講じていきたいので、部長にも当然いろいろ指示しているところである。
【要望】 町長にも回答いただいたように、おたふく風邪とか子どものインフルエンザについては、任意接種でありながら町独自の助成を、今まさしく子育て世代に対する必要な施策ということで実施していただいている。先ほど申し上げたように、まだ国の定期接種化というのは時間がかかってしまうので、今すぐは、答弁のようになかなか難しい問題ではあるが、町医師会の先生方にも今回の質問に対してご相談いただいて、ご意見を尊重しながら、できれば前倒しで進めていただきたい。最後に王寺町においても、HPVワクチンの接種を推奨していく上で、若い世代へ正しい情報を届けるとともに、一日も早い男性への予防接種費用の助成の実現をお願いして質問を終わる。
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