長田 たくや ブログ

議事録で振り返る4年間⑦ 2025年後半――「その目標、本当に追い続ける意味がありますか?」

2026/8/21

兵庫県 川西市議会議員(薬剤師) #長田たくや です。
議事録から、自分の4年間を振り返るシリーズ。今回は2025年後半です。
「そもそも、その数字を上げること自体に意味があるのか?」という質問が増えていました。

99.5%を100%にするために、どこまで人とお金を使うのか。
受診率を上げることと、市民が健康になることは同じなのか。
補助金制度を透明にすることが目的なのか、それとも市民活動が活発になることが目的なのか。

2025年後半は、「KPI(重要業績評価指標)を達成することが仕事になっていないか」という視点がかなり強くなった時期だったように思います。


国保税。「全体95%」だけでは見えない数字
9月の一般質問。まず取り上げたのが、国民健康保険税の収納率でした。
川西市全体では、令和6年度の現年収納率は約95%。

ところが内訳を聞くと、

日本人世帯:約96%
外国人世帯:約85%

という答弁でした。「全体で95%です」だけなら、それほど大きな問題には見えません。
しかし、分母を分けると違う景色が見えます。

そこで次に、「なぜ外国人世帯の収納率が低いのか、原因まで分析していますか?」と聞きました。

言語の問題なのか。
転出や出国が影響しているのか。
支払い能力の問題なのか。
単純な滞納なのか。
国籍によって違いはあるか。

原因によって、打つべき対策は全く違います。
同じ質問の中では、総合医療センターについても確認。

令和7年7月には外国人患者36人が受診しており、開院から令和7年7月までの外国人患者の未収金は16件、約15万円との答弁でした。医療通訳は配置していませんが、翻訳機などで対応していることも確認できました。

同じ制度を利用するのであれば、同じルールで公平に。特に帰国できる国がある外国人については、より厳正に対応すべきです。
そのためにも、まず現状を数字で把握する必要があります。


「透明性」は目的ではなく、手段では?
9月には、公募型補助金についても議論しています。

新しい補助制度ですから、

審査をどうするのか。
不採択になった場合、理由を伝えるのか。
採択後に問題が判明した場合、補助を止める仕組みはあるのか。

といった運用面を確認しました。ただ、私が一番気になったのは、

この制度は、最終的に何を増やしたいのか。

ということです。そこで、

公募型補助金の主な目的は、様々な団体が増え、活動が活発になり、そこに多くの市民が参加することではないか。

と確認しています。

そして、

制度導入前後で団体数がどう変わったのか。
参加する市民がどれだけ増えたのか。

そこまで検証してほしいと求めました。透明性はもちろん大切です。でも、透明性を高めること自体が目的ではありません。
透明性はあくまでサブ的な要素。市民から預かった税金を使って、地域活動がどう活発になったのか。

最後に見るべきなのは結果です。


99.5%を100%にするために、どこまで頑張る?
9月の公営企業会計決算審査では、下水道の水洗化率について質問しています。

川西市の水洗化率は、99.5%。
かなり高い数字です。

もちろん100%になれば理想です。でも残っている0.5%には、

☑高齢世帯で今さら大規模な工事をすることが難しい。
☑家庭ごとの事情がある。
☑そもそも接続する意思がない。

といった、簡単には解決できない事情も考えられます。
そこで私は、「この残り0.5%を上げるために、いつまで人とお金を使うのか」という趣旨の質問をしました。

さらに接続が進んだ場合、下水道事業の収益がどれだけ増えるのかについて確認しています。

目標が100%だから100%を目指す。一見、正しいように見えます。
しかし、99.5%から99.6%にするために多くの職員の時間を使うのであれば、その人員を老朽化した下水道管の維持管理に回した方が、市民の利益が大きいでしょう。

行政にはたくさんの目標がありますが、目標を達成すること自体が目的になってはいけない。
限られた人とお金を、どこに使えば一番効果があるのか。そこを見る必要があります。


健診受診率。「36%」の中身は何?
10月の特別会計決算審査では、国民健康保険の特定健診をかなり細かく聞いています。
川西市の健診受診率は思うように上がっていない。

市は、医療機関で既に同様の検査を受けている人のデータを利用する、いわゆるみなし健診なども活用しています。そこで私は、「受診率36%の中に、実際に健診を受けた人と、別の医療データから健診扱いになった人がそれぞれ何人いるのか」を確認しました。

と質問しています。ここで気になるのは、

受診率という数字を上げることと、市民が健康になることは同じではない

ということです。
国の評価制度があります。そして、受診率を上げれば保険者としての評価にも関係する。
ならば、それも含めて市民に説明したらどうか、と提案しました。

さらに医療費適正化事業では、柔道整復などのレセプトを約1万3,300件点検していました。そこで、「そのうち実際に何件を返戻したのですか?」と聞くと、市は返戻率や返戻枚数の詳細を把握していないとの答弁でした。

1万3,300件チェックしました。
だけでは、成果は分かりません。

チェックした結果、何件問題が見つかり、いくら医療費を適正化できたのか。
そこまであって初めて、事業の効果を評価できます。


約9,000万円のワクチン助成。本当に一律でよい?
9月の一般質問では、高齢者インフルエンザワクチンへの公費助成も取り上げています。

令和6年度は、

接種者2万2,746人
接種率47.0%
公費負担額8,986万9,000円

との答弁でした。約9,000万円…
毎年続く事業として考えると、かなり大きなお金です。

ワクチンに医学的な効果があるか、という話と、その費用を自治体がどこまで税金で負担するのか、を分けて考える必要があると思っています。
そこで、年齢やリスクなどに応じて自己負担額を変える方法もあるのではないか、と提案しました。

全員一律。
隣の市も同じぐらい。
昔からこの金額。

ではなく、川西市の年齢構成、接種率、公費負担、期待される効果を見て、川西市として決める。
そういう考え方があってもよいと思います。

浮いた財源があれば、

☑子育て
☑道路・インフラ
☑公共交通
☑学校施設

別のところにもどんどん使えます。
「続けること」にも政策判断が必要です。


入札不調。「もう選択肢がない」状態で議会に出していないか
新しい北消防署の工事で入札が不調となり、建築資材の高騰などを踏まえて予算を増額する議案が出てきました。

私は、一度目の入札が不調だった後、業者へのヒアリングをしたのに、なぜ同じ条件でもう一度入札したのか。と質問しました。

もちろん、急激な物価高や建設資材高騰は行政の責任ではありません。
ただ、消防署の完成時期は他の公共施設再編ともつながっていました。

そのため議会に出てきた段階では、否決すれば後の事業まで止まりかねないという、非常に判断しにくい状態になっていました。

そこで、「もっと早い段階で、入札不調になった場合の可能性を議会に示せなかったのか」と質問しています。
物価が安定していた時代の公共工事と、今では前提が違います。社会環境が変わるのであれば、行政の仕事の進め方も変えなければならない。

これも2025年後半に強く感じたことでした。


牛乳を「出した」ではなく、「飲まれたか」まで見る
12月の一般質問では、再び学校給食を取り上げました。

特に牛乳です。

市の答弁によると、牛乳を停止している児童・生徒は小中学校とも約2%。
一方、中学校で把握できている未開封の牛乳だけでも、年間平均で約12~20%が廃棄されており、1日当たりでは約300~800本と想定されていました。

これは結構衝撃的な数字でした。
栄養のために必要だから配る。でも、実際には飲まれずに捨てられている。

ならば、「配った」という行政側のアウトプットだけで制度を評価するのではなく、

☑実際に子どもが飲んでいるのか。
☑残食はどれくらいなのか。
☑代替品や選択制という方法はないのか。

まで考えるべきです。
市からも、残食が多い状況を踏まえ、代替品の提供や選択制について検討し、対策を図る必要がある、との答弁がありました。

この質問では、牛乳だけではなく、胚芽精米や国産小麦のパンなどについても取り上げています。
以前質問した国産小麦パンについて、市が納入事業者へ調査した結果、基本的な納入価格は現行品の約1.2倍で、川西市の発注条件ではさらに単価が上がるとの回答も得られました。

以前、「調べてください」と言ったものを、次の議会で「結果、どうでしたか?」と確認する。
これも議会では結構大事なことだと思っています。


保護者支援。「相談に来る人」だけでいいのか
12月には、もう一つ、保護者への教育・啓発について質問しました。
川西市ではペアレントトレーニングや子育て交流会など、様々な事業を実施しています。

ただ、講座に自分から来られる人だけに情報が届いていないか。ということが気になりました。

☑オンラインも組み合わせられないか。
☑参加後、学校や保育施設と必要な情報を共有できないか。
☑どの広報媒体を見て参加したのか分析しているのか。

といったところまで聞いています。

また、川西市の一部の園では、提案した保護者の1日保育体験をすでに実施していました。
ところが、市は参加人数などを一元的には把握していませんでした。

良い取組が既にあるなら、一つの園だけで終わらせず、効果を把握して横に広げるのは必定でしょう。
新しい事業を次々作ることだけが行政ではありません。

既にある良い取組を見つけて、広げることも行政改革です。


2025年後半を振り返って
こうして並べてみると、2025年後半は一つの共通点があります。

国保なら、全体収納率ではなく、内訳を見る。
補助金なら、制度の透明性ではなく、実際に市民活動が増えたかを見る。
下水道なら、99.5%を100%にすること自体に、どれだけ意味があるのかを見る。
健診なら、受診率そのものではなく、その数字の中身と最終的な効果を見る。
医療費適正化なら、1万3,300件を点検したことではなく、何件改善したのかを見る。
ワクチンなら、制度があるから補助するのではなく、約9,000万円の公費投入が妥当なのかを見る。
学校給食なら、牛乳を提供したことではなく、実際に飲まれず捨てられていないかを見る。

つまり、

「行政が設定した目標を達成すること」と、「市民にとって良い結果が出ること」は、必ずしも同じではない。ということです。

数字は大切です。
KPIも必要です。

でも、

数字を上げるために行政があるわけではありません。
市民の生活を良くするために行政があり、その状態を確認するために数字がある。
順番を逆にしてはいけないと思っています。

2023年から議事録を読み返してきました。

税金だからこそ、何となくでは使わない。
数字だからこそ、数字だけを信用しない。
制度だからこそ、制度を守ることを目的にしない。

最終的に、

「それで市民にとって何が良くなったのか」

を見ているなと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な一日でありますように。
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長田 たくや

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選挙 川西市議会議員選挙 (2022/10/16) [当選] 1,680 票
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川西市議会議員選挙

肩書 市議会議員・薬剤師
党派・会派 無所属

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