2025/12/12
こんにちは。兵庫県川西市議会議員の長田たくや(ながたく)です。
高い薬ほど良い薬——そんなイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか?

実におもしろい論文がありました。糖尿病の新しくて高い薬(SGLT2阻害薬)と、古くて安い薬(ビグアナイド系:BG)を比較したところ、将来的な心筋梗塞や脳卒中などの予防効果に大きな差がなかったというデータです。しかも、コスト面では大きな違いがありましたというお話です。
■ 試験結果
静岡県の国保データ(230万人)から、新しく値段の高い SGLT2阻害薬を服用している623人、古くて安い BG系薬を服用している623人を調査対象としました。
参照:2型糖尿病患者における心血管イベント、脳血管イベント、糖尿病性腎症、網膜症、神経障害、および治療費に対するビグアナイド薬とSGLT2阻害薬の有効性の比較
最長で7年半追跡調査を行い、脳・心血管イベントや糖尿病特有の合併症、死亡などを比較。
結果は以下の通りでした。
✓ SGLT2阻害薬:35例
✓ BG系薬:44例
この差には有意差がなく、予防効果はほぼ同等でした。
血圧や血糖値は、”下げること自体”が主目的ではありません。下げることによって将来起こるであろう大病を防ぐために薬を使うのです。これを「真のエンドポイント」と言います。それに差がなかったということは非常に重要な観点なのです。
一方、1日あたりの薬剤費中央値は、
✓ SGLT2阻害薬:184.0円(P < 0.001)
✓ BG系薬:124.7円
つまり、高い薬を使っても、費用に見合う差は出なかったということです。
■ 重要なデータ
もちろん、SGLT2阻害薬の有用性や画期的な作用(例:心不全・腎保護)は確かにありますし、浮腫がひどい症例などには非常に適しています。SGLT阻害薬は1日1回。一方、BG系薬は1日2~3回服用しなければならず、また錠剤も大きいため服薬遵守が難しくなる弱点もあります。
とはいえ、単に「血糖値が高いから」というだけでSGLT阻害薬を選択するには、コスパが悪すぎるという点が明確になりました。
■ 有効な医療費の削減方法
OTC類似薬を保険から除外する――そんな小手先の議論よりも、今回のようなデータを活用し、薬価の高い薬ほど使う場面を限定していく工夫こそ、健全な医療費削減につながると私は考えます。健康診断なども、「真のエンドポイント」を踏まえた事業にしてほしいところです。
■ 参考してほいし当ブログ
なお、SGLT阻害薬もBG系薬も当ブログでまとめていますので、どんな薬なのか気になる方はぜひお読みください。専門家じゃなくても読めるように、かつ、わりとマニアックな内容にしていますので、ご一読いただければ幸いです。
【くすり】 SNS広告で「やせる薬」と紹介 【メトホルミン】
【くすり】 SGLT-2阻害薬ダイエット 【糖の再吸収システムは人間のすごさ】

本論文には静岡県民のデータであり、結論を全国へそのまま適用すべきではない——という(一応の)エクスキューズはあります。まぁ、おそらく日本人的な配慮でしょう。しかし、高い薬と安い薬で“差が出ない”なら、薬だけではなくて、やはり生活習慣や知識こそが最重要であるというメッセージは重いと思います。
健康診断も、税金を使って毎年行っているのに、その効果検証が十分ではありません。医療費削減は、このような「根本」から考えるべきだと強く感じています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な1日でありますように。
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