長田 たくや ブログ

【視察報告】 伊丹空港② 【騒音問題について勉強しました】

2025/2/8

こんにちは。兵庫県川西市議会議員の長田たくや(ながたく)です。
先日、今期に所属する飛行場対策周辺整備調査特別委員会の管外視察で、伊丹空港(大阪国際空港)を訪れました。

長くなったため、2回に分けて報告します。
歴史編
補償編(本記事)

本稿では、騒音問題の補償を中心にお伝えします。川西市南部は伊丹空港の飛行ルートにあり、かつては24時間運用・旧型ジェット・国際線等により、生活を脅かすレベルの騒音が発生していました。


■ 南部協と「10市協」の発足・経緯
1964年、伊丹空港のジェット機騒音にさらされた久代地区自治会連合会は、最初の住民組織である飛行機騒音防止推進対策協議会(のち川西市南部地区飛行場対策協議会=南部協)を結成し、現在もさらなる騒音低下空港廃止を訴えています。

引用:yahoo map

続いて市側も大阪国際空港騒音対策協議会(8市協)を発足(川西・伊丹・宝塚・尼崎・西宮・豊中・池田・箕面)。
1971年に大阪・吹田・芦屋が加わり11市協へ。

2005年には一定の騒音問題は片付いたとして、「大阪国際空港周辺都市対策協議会」に改称。
しかし、まだ騒音基準を超える場合もあるにもかかわらず、名前を変えるのはいかがなものかという意見も。
参照:大阪国際空港騒音対策協議会(11市協)の名称変更に関する申し入れ

2012年、橋下知事時代に大阪市が脱退し、現在は「10市協」に。
関空統合やリニア開通見込みがある中で、「空港廃止の検討を削除」するよう国に要望したことが要因とされています。

引用:産経新聞

このあたりは騒音問題、住民生活、経済界の思惑…など、少し伏魔殿化している様相が伺えます。

一方、伊丹市は2007年に「空港と共生する都市宣言」を表明。空港廃止は断固として避けたいのでしょう。
経済と生活のせめぎ合いの中、法廷闘争・運用努力・技術革新が重なって環境改善が進んではいます。しかし、市街地のど真ん中にある空港というリスクは変わらないままですね。

■ 騒音リアルタイムチェック
周辺のリアルタイム騒音を確認できるサイトがあります(リンク)。
深夜帯は概ね静穏ですが瞬間的に70dB近い騒音も(トラックですかね)。日中は機影に赤枠が付き、ざっと見て70dB超の地点も散見されました。

■ 周辺環境の対策事業
騒音レベルに応じた区域設定があり、レベル別に法定補償が異なります。
【法に基づく補償】
第1種区域(Lden 62dB以上):住宅の防音工事助成
第2種区域(Lden 73dB以上):移転補償➡川西市に関係します
第3種区域(Lden 76dB以上):緩衝緑地帯の整備
航空環境基準57dB以上:教育施設等の防音工事や共同利用施設の整備助成

【伊丹空港独自の補償】
公園整備や、無料健康診断(1200名程度/年)を実施。
これらは国の環境事業を補完する役割を担い、空港の駐車場収入を地域に還元しています。その他、地域イベントへの参加などの努力をされているようです。

下図が実際の区域です。

あれ?川西市には軽い第3種区域しかないじゃん!―――実は時代とともに区域が縮小した結果なのです。

■ 宅地進展と騒音区域
1960年代以降、万博開催を機に宅地・工場開発がモリモリ加速。1964年のジェット機就航で騒音が深刻化する中でも、人口急増に対応するため利便性の高い土地に開発が進みました。

引用:大阪国際空港周辺地域の移転補償跡地の利用実態とその課題 

こうしてみますと、最初から思い切って開発禁止区域を決めてしまったらよかったのでしょうが、法律が追い付いていなかったのかなぁといった印象を受けました。土地の所有権が強く、コントロールが難しかったのかもしれませんね。

1967年航空機騒音防止法が制定され前述した区域が設定されます。
ジェット機の増加という現実に追い付かず、1974年に騒音別に3層区分で再度設定します。
その後、川西市南部が第2種区域に入り、1982年までに国が買い取る移転補償が実施されました。

以降、運用の工夫とジェット機の世代交代(うるさい子がいなくなる)により、騒音区域はみるみると縮小。
私が生まれた1982年が対象区域のピークだったようですね。

どちらもかっこいい飛行機だけどね・・・

川西市では移転補償で空いた土地が点在し、虫食い状になった地域も残りました。
細分化された未利用地は扱いが難しく、まちづくりの課題となっています。

Google mapだとこんな感じ

未利用地については、川西市南部地域整備実施計画(リンク)を作成し検討を進めてはいるようですが…
2004年に書かれた参照論文によりますと(リンク

未利用跡地の割合が約 8 割と高い。未利用跡地のほとんどは、二つの旧社宅地区に集中している極めて小規模なものである。国・県・市はこの 2 地区に関して空港周辺地区整備計画を策定する意向を持っていたが、住民の同意が得られず実現していない。 

計画区域外に限らず、移転補償跡地の一時使用が進まないのは、新たに利用する場合、国から有償で借りることになったからである。府県や各市の深刻な財政事情を考慮すると、この有償化の影響は大きいと考えられる。

私、このあたりはまだまだ勉強不足なので、現在はどのようになっているかまで把握はできていません。
国も「そっか、返すわ」って無償でくれたらいいのにね(あかんか)。

2012年7月:
移転補償跡地は、国から新関空会社に所有権が移転され、同社が管理することとなりました。
2013年4月:
川西市は、新関空会社と「川西市南部地域のまちづくりの推進に関する基本合意」「大阪国際空港周辺場外用地(川西市域)の取扱いに関する覚書」を締結し、移転補償跡地を活用したまちづくりに本格的に取り組むこととなりました。

ただ、抜本的な解決には至らず、小さな土地問題として今なお続いているのです。


伊丹の騒音補償は、住民の粘り強い運動と、運用改善・技術革新の積み重ねで形になってきました。
一方で、市街地空港の存続希望論や廃止論、川西市にとっては移転跡地の未利用など、現在進行形の課題も残ります。
視察を通じてあらためて色々なことを知るきっかけとなりました。
Ldenという単位については、また気が向いたら解説します(笑)

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な1日でありますように。
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著者

長田 たくや

長田 たくや

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肩書 参政党の市議会議員で薬剤師でもあります
党派・会派 参政党

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